カミサマとの大問題
暑かったり風が強くなったり
シントは箍が外れているので一般市民では相手にすらなりません
それを苦にもしない後輩くんがヤバい
何かを考え込んでいた先輩が肩から飛び降りた
明らかにスイッチが入ったままなのに妙に静かにしていたから嫌な予感がする
『どうしたんですか?』
「既に味わったカミサマだからね、別にいいかなと」
やっぱりそうなんですね
獅堂が困ってるな、当たり前だが
あまり好ましくない存在だが協力しないといけないのに新しく協力者になるかもと期待していたヒトが以前にそのカミサマと揉め事を起こしていたんだから
たぶん大丈夫だけどな
「とりあえず会いに行こうか。向こうの出方で決めよう。反目するなら別行動と獅堂くんも言っていたからね」
『それなら俺と獅堂がついて行きますよ』
おや、獅堂が悩んでるな
でもほぼ決定だと思うぞ
「それには及ばない、後輩くん。ちょっと思い付いたことがあるんだ。独りの方がやりやすい」
え、それは大問題
この状況で独りになりたいってこれは絶対にやらかすつもりだ
『独りでって言うのは俺も置いて行くという意味でいいんですか?』
「そうだよ、後輩くんはボクだけの物だって宣言してくれたからね。どれだけ離れていてもボクを最優先にしてくれるだろう?」
さて、どうしたものか
確実にやらかすことが分かっているけれど無理について行こうとすると更なる大惨事を引き起こしかねない
『何をするつもりなのか教えてもらえますか?』
「何もかもが解った状態というのは詰まらないものだと思わないかい。でも他ならぬ後輩くんの頼みだからね。この街に居るはずの昔馴染みに顔見せに行くつもりだということは教えておいてあげよう」
既知の何者かがいて会うときに他の誰かが居るとまずいと
『それなら先輩の好きにすればいいんじゃないですかね。その代わりにこちらは先輩を置いてさっさと解決してしまいますよ。とりあえずチェックを受けてしまいましょう、獅堂』
悩んでる悩んでる
でもチェックはしないといけないんだよな?
無意味かもしれないけれど万が一があると困るから
「ああ、種を植えられてしまっているか簡単にチェックできる方法があるんだ」
種?種をってまさか
「君たちが知っているのかは解らないけれど華裂くカミサマの領域内ではその種を植えられてしまっている可能性がある。発芽しても直ぐには問題が無いとはいえそのタイミングは向こう側が握ることになるからね」
これ知っていて黙っていましたよね、先輩
影響無いってそういうことか
「チェック方法は簡単で幾つかの質問に答えることと火にかざしてもらえばいい、植えられていればその箇所が蠢くのでそれで解る」
簡単だな、簡単だけど蠢くのか種なのに
流石はカミサマ謹製だな
『火にかざすだけじゃダメなのか?』
「そうだね、体内だと隠し通される可能性がある。それは質問で簡単に解るのだけれどね。簡潔にいくよこの街の食事や飲水を取ったりは?」
『俺も先輩も無いな』
「華裂くカミサマやシントと直接接触した」
『殴り合ったな、近くに居たから先輩も実質そうなるか』
「身体の何処かに熱っぽいところがあったりは?」
『俺にはない』
「ボクもないね」
「この街に来てからデキモノが出来ていたりは?」
『ねーな』
「見ての通り綺麗なものだよ」
「とりあえずは問題は無いかな、火にかざしてから臨時対策室に向かおうか」
火ねぇ
そう言えば街についた時に何か火みたいな光が見えたんだよな
あれって何だったんだろうな
「こちら側の部屋で確認してもらえる。火を使う以上は火傷の危険はあるから巫山戯たりはしないで欲しい」
別々に確認するのな
結託されたりすると困るからか?
まあとっとと済ませるか
部屋に入ると無表情の駅員とスーツの男がいた
「はじめまして 、私は五十嵐弥勒だよ。統合政府から派遣されて来た危険指定カミサマ対策課のエージェントだ。早速だけどこちらだ」
『竜胆椿だ、短い間かもしれないがよろしく。それにしてもいきなり危険指定なんだな』
「それについては実は前からこの街の内偵を進めていたというだけの話だよ」
『前から?なんでまた』
「聞いたことはないかな、この街で巫に触れるとという話」
先輩が何か言っていたな
嘆いて消し飛ばすんだったか
「アレはデマだ、本当に隠したいことから目を背けさせる為にね」
誰がそんなことを
「この街の市長がデマの発生源だ」
単純に殴って終わりという訳にはいかなそうだ
ご拝読ありがとうございます
ちなみに巨人は戦車ぐらいのイメージなので後輩くんが強すぎるだけ
獅堂くん達ではあんなに簡単にはいかない