先輩襲来
はじめまして
なんとなくで書きはじめました
彼と彼女ともう一人の物語
元々はシナリオで使おうと思っていたのですが不評だったので流れてしまったものを再構築したものになります
インターホンが鳴った時計を見るとまだ午前2時前だ
どうやら先輩が来たらしい待ち合わせは午前5時のはずなんだが
「おーい」と呼びかけながらガチャガチャとドアノブを回す音が聞こえる
相変わらず落ち着きのないヒトだ
一際大きくガチャンという音が聞こえる
「おや?」と思っているとトトトと廊下を小走りにこちらに向かってくる
「起きているかい?準備はできているだろうね?」
ノックすらせずにリビングに入ってくる先輩
少しばかり苛立ちながらその小さな体躯を見下ろす
先輩はこちらの胸元を見て首を傾げた後に見上げてくる
何故か目を見開いて俺の頭を凝視してくる驚いているようだ
「なるほど、今回はこう来たか」
意味不明だ俺の頭がなんだというのか
起きて直ぐに頭は洗ったし歯を磨き爪も磨いた
身だしなみに問題は無いはずだ
「まあ些細なことだね、それよりも準備はできているかい?今から出発するよ」
流石に待って欲しい朝食もまだだ
そもそも待ち合わせの時間までまだ3時間もある
なんて落ち着きがないのだろう
これでは遠足前の待ちきれない子どもじゃないか
とても成人しているとは思えない実は見た目通りの年齢だと言われても誰も驚かないだろう
とりあえず朝食がまだだと伝えることにする
「朝食?後輩くんはこんな早くから食べるのかい?まだ午前2時だよ?」
あなたが午前5時を待ち合わせ時間に指定したのでそれに合わせて準備しているんですよ
こちらは3時過ぎてから食べるつもりでしたよ
その様子だと先輩は朝食もまだなんですね
『先輩の分も準備するので座って待っていて下さい』
先輩はじっとこちらの口元を凝視してくる
一体なんなんだこのヒトはまさか俺が自分だけ朝食を取るような薄情者だとでも
溜息を吐きながらキッチンへ向かう
そんな俺についてくる先輩
カルガモか!!
『このキッチン妙に狭いんだからリビングで待っていて下さい』
「はーい」と気のない返事をしながらも素直にリビングに戻っていく先輩
さて何を作ろうか俺だけなら卵とサラダで良かったんだが先輩もいるし何か火を通したものの方がいいだろう
ハムと卵に火を通しレタスを適当にちぎってトマトを4分割にしておく
これにトーストとコーヒーでまあ形になるだろう
特に配置を気にせずテーブルに並べていく
「ふむ、朝食はご飯派なんだけどね」
嫌なら食べなくていいですよ?いやホントに
なんなの?このヒト
とりあえずこちら側にトーストを持ってこようとする
「待ちたまえ、食べないとは言っていないじゃないか後輩くんはせっかちだな、そんなだと損するよ」
若干苛立ちながら邪魔な椅子を脇にどけて席につく
そしてパクリと呑み込む
先輩は椅子に座って足をぶらぶらさせながらトーストを齧り始める
『で、今回は何処に何をしに行くんですか?いきなり当日にメールで5泊予定で旅行の準備をしておいてくれと送られても混乱しかできないんですよ』
「んー?食べながら喋るのはよくないよ後輩くん、あと飲み込まずにきちんと噛みたまえ」
何を言っているんだこのヒトは本当に訳がわからないな
「まあいいか、そうだね田端教授から聞いたんだけどこの時期に扶桑のある街でカミマツリがあるそうなんだ」
教授情報という時点で既に嫌な予感がひしひしと
「それでね、日高くんが言うには丁度カミマツリの最終日に嫌な星がかかるそうなんだ」
それはそれは星詠みの日高さんが嫌な星を
「カミマツリの日に嫌な星がかかるなんて是非とも見に行かないと勿体ないじゃないか、それで護衛を兼ねて後輩くんについてきてもらおうと思ったんだよ」
今からでも断りたい
もうやだこのヒト
ご拝読ありがとうございます
なんとなくで始めたので完全に不定期になるかと思います
え?先輩も後輩もおかしい?
それでいいんです