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Case EX:「僕等のいる未来」

 爽やかな晴れの空、心地よい暖かさの北の大地。 ここは、とある式典の行われるホール。









 まだ、その準備もろくに整っていないうちから、その建物の階段を、息を切らせて登って来た背広姿の青年が…。











 「ありゃ…、、、ちょっと早すぎたかなぁ…?? まだ、誰もいないってかぁ…。。。」











 その青年の名は「柊あきら」だった。 今日はここに「大切な人の、大切な日」なので、意気揚々と会場を訪れたのだった…。








 だが、如何せん早すぎたようだ。 辺りを見渡しても、知っている人は誰もいない。 仕方なく自販機からコーヒーを買い、ソファーにくつろいでいると、背後からひとりの若い女性が声を掛けて来た。








 「あはは…ww あんた、やっぱりあたしより早く来てたんだねーwww」











 …その声の主は「織畑愛莉」だ。 彼女もやはり、今日という大切な日のために、故郷へ帰って来たのだった。





 二人とも中学校の同級生。 しかも、当時から恋仲で、現在22歳。








 特に再会を懐かしがるわけでもなく、淡々と会話を交わしていた。 まぁ、二人は毎日のように何らかのやりとりがあったので、リアルに会うことにもさほど感動を覚えなかったらしい。











 「しっかし、あんたの性格変わってないなーwww 何かとせっかちで、物事を我慢できない困った奴なんだからなーwww どうせ今日だって、夕べから眠れないでいて、朝になったら待ちきれなくてすっ飛んで来たってとこなんでしょ…ww」








 「なっ…、何だよ…www いいじゃんか、別に…。 だって、この待ち焦がれていた晴れの日だもの。 嫌でも早く来たくなっちゃったさ…。」








 「クスッ…ww そうだよね。 実はあたしだって同じ♪ あきらのこと、笑えないよねwww …それにしても、けっこう急なことで、びっくりしちゃったよねー」








 「ああ。 まさか、親友の隆太が、ずっと年上の涼子さんと、こんなに早く”結婚します!”って宣言してきて、俺達に結婚式の招待状をくれるとはな~…。 何て言うか…、マジすか!?って感じだよな。。。 これまで何度か隆太には会ってるけれど、俺の心の中じゃあ、あいつって、中学校時代の頃の、どこか幼い印象そのままなんだよなーww」











 愛莉は、鼻で笑うような仕草を見せて、あきらの隣に座って話した…。











 「あんただって人の事言えるかよーww あたしだって、あきらに告られた時のこと、ずっと忘れられないでいるし、今だってこうして付き合ってる…。 あたしの中にだって、その頃のあきらも隆太もいるんだよ。 その点あたしなんて、我ながら成長したと思ってるよ! 高校から大学に行って、一応まともな仕事に就いて…、あきらとの未来も…、真剣に考えて…。」








 「うん…。 でも、何度かケンカしちゃったこともあったよな…ww お互いに浮気してんじゃねーwwって、1か月ぐらい、口もきかなかったことあったよなーwww」








 「そうそうww あの時はあたし達、マジで終わったと思ったよ。 でも悲しかったんだよ。 ずっと好きだったあきらが、他の誰かにとられちゃったら、一生ものの後悔引きずることになるんだから…」








 「あ、ああ…。 俺だって、愛莉がもうちょっと冗談わかってくれると思ってたけど、意外にそういう話にはシビアだったなんて…。 まったく、そんな愛莉が今じゃ自分で音楽バンド取り纏めるリーダーだってんだから、色々と笑えちゃうよなぁ…www」








 「なな…、、、てめぇーwww 何が言いたいんだゴルァ…!!!!(笑)」








 「ひえーーーwww 愛莉がマジギレすると最悪だからなーwww 逃げろ逃げろwww」








 「待たんかーい!!www …きゃぁっ…!!」











 勢いに乗って会場を走ってしまった愛莉は、履き慣れない靴のせいもあってか、床にすっ転んでしまった。








 あきらは咄嗟に、愛莉に駆け寄って「大丈夫か?」と声を掛ける。 しかし、どうも一言多いあきらは、つい口が滑って…「そんな自分に合わない高級な靴なんて履くからコケるんだよww 式の最中にドジるんじゃねぇぞww」








 「テッメーェ…www!!」











 愛莉は興奮して、あきらのネクタイを引っ張った。 「ぎえええっ…ww わわわ…悪かった…許せ、愛莉ぃ…」














 ??「…まったく…。アンタ達はいつまでもおめでたいバカップルやってるんだから…。やれやれだわ。」











 …その時、ふと二人が眼前を見ると、スラリと伸びた脚に、美しいドレスを着て、インテリそうなメガネをかけた長身の女性が…。











 あきら「あの…、、、えっと、、、ど、どちら様でしたっけ??」








 ??「おいっwww!! あれだけ長い間一緒に友達同士だったウチを忘れるとかふざけんなってのっ!!」








 愛莉「えっ…!? …も、、、もしかして、友加里なの…!?」








 「あったり前じゃん!! もしかしなくても、浅倉友加里様だっつーの!!!!」














 …そう。 彼らに声を掛けたのは、誰であろう、浅倉友加里その者だった。 無論、彼らとは長い付き合いの親友で、友加里もまた、今日という特別な日のために、おめかししてここを訪れたのだった。











 友加里「久しぶりだね~。何だか二人とも、暫く見ないでいたけれど、ちっとも変わってないね。」








 愛莉「友加里が変わり過ぎなんだよ~ww 確か以前会ったのって、何年も前のことだったよね…。 成人式の時も、みんなの都合が合わなくて再会できなくて…。 友加里…。 元気にしてた…?」








 あきら「うわぁ…ww 友加里…。 別人みたいだぜ…。 中学の頃と全然違うや…。 そう言えば、作曲家になるって言ってたけど、あれからどうしてたんだい?」








 友加里「うん… そのね…。。。」











 友加里は、少し俯きながら、その先を話そうとしなかった。 あきら達も、事情が気にはなったが、あえて聞かずにおこうとしていたら、そこへ美しいタキシード姿の、でも少し小柄な青年が、手を振りながら駆けつけてきた。











 「隆太!!」











 隆太「み、、、みんな…ww 今日はありがとう!! みんな…、本当に久しぶりだね。 元気にしてたかい?」











 …今日の主役、小野隆太の登場に、その場は一気に活気づいた。











 あきら「しっかし驚いたよなぁ…。 まだ俺達の年齢だと、結婚なんて当分先だと思ってたのに、隆太って、見た目以上に積極的なんだな…。」








 愛莉「ホントだね。 でも隆太、立派だよ。 あれから10年近く経っても、一人の相手のことを好きであり続けたってこととか、絶対に涼子さんと結婚するっていう目的、叶えちゃったんだもんねー。」








 友加里「そうだよ。 ウチ、あれからずっとずっと、1日だって隆太のことを考えない日はなかったよ…。 実はね、ウチ、一応、作曲家として活動してるんだよ…。 ほら! ウチは、そのことずっと将来の夢だって言ってたでしょう? …でも、現実ってめっちゃ厳しい…。。。 音楽の勉強も大変だったけど、それ以上に、一つのCDをまともに売るってことが、どれだけ難しいかってことが、身に染みてわかったよ…。 ウチ、今は主に同人音楽っていうジャンルで、DTMで演奏したゲーム音楽のアレンジ曲とかをコミケとかで売ってるんだよ。 でもさ…、そういう会場で、お客さんに何て言われたと思う…?」











 …少し、友加里の表情が曇ったが、彼らは彼女の話をそのまま聞くことにした。











 「女の子が興味だけで鳴らした音楽なんていらない…とか、どうせMIDIの流し込みだろ、誰だってできるさ…とか、果てには、枕営業のサービスつけてくれたら買ってやる…なんて、セクハラ同然なことまで言われたんだ…。 でも、悠月さん(友加里が師事している作曲家・悠月あゆみ)からは、その言葉自体はギャグみたいなものだけど、聞く人はそれだけ”本物”を求めているから、遊び半分で鳴らした音楽なんて絶対に聴きたくないっていうのが根底にあるから、なかなか今のうちは聴いてもらうこと自体が難しいんだって…。 悠月さんも今まで、何人の後輩がその壁を越えられずに音楽の世界から去ったかわからないって言ってた…。」








 「…友加里…。」  隆太は、かつての”恋人”であり、現在の”親友”でもある彼女の憂鬱に、何か励ましの言葉をかけてあげたかったが、自分にとっては専門外な話ゆえに、なかなか「頑張れよ!!」以外の台詞が出てこない…。








 だが、友加里は至って強気な口調で話を続けた。








 「でも、ウチ、絶対にあきらめないよ!! せっかくここまで頑張って来たんだし、何度か同人で音楽出しているうちに、それなりの評価も受けたし、名前も知られるようになってきたんだ。 この調子でいけば、どこからか大きな仕事のオファーが来たり、大舞台での活躍のチャンスをつかんだりできそうなんだよ。 今はまだ不完全な自分だけど、絶対に叶えるって決めた夢、もうちょっとで本物になりそうなんだ。 ウチ、どんなに辛くても、絶対に負けないよ!! 悠月さん、将来は私に”ゆかりりスタジオ”っていう音楽事務所か、バンドを立ち上げさせるって言ってくれたんだ!!」











 …隆太たちは、友加里の気丈な精神を窺い、その心の強さは、当時から変わっていないことを知った。











 あきら「すげぇな友加里…。 俺、そのうち友加里の出したCD買うから、サインぐらいしてくれよな(笑)♪ さすがに、どっかのアイドルグループみたいに、握手券とかはつかないよな…? そんなに何枚も一気に買えねぇし…ww ってか、普通に握手ならここでも出来るし…。 あ、ちなみに俺、つい最近大学を卒業してさ…、今はバイトしながら、水泳のコーチの見習いやってるんだ。 基本的に幼稚園児とか小学生に、水泳の基礎を教えてるんだけど、俺、今でも社会人の水泳大会に出場してて、それなりの成績修めてるんだ。 先輩が言ってたけど、この調子なら、仕事も上手くできそうだし、一流アスリートになれる可能性もあるって!!」








 愛莉「そうそう。 あきらは水泳一筋なんだよね~。 あたしはあれから、高校で音楽の勉強してたよ。 つい最近になって、中学の時に事故で痛めた怪我が完治したから、水泳も始めたんだ。 時々あきらと会って、彼氏にコーチしてもらってるんだ♪一緒に手を取り合って、時々、あきらに急接近されてドキっとしたり、あきらが…あ、、、ごめん…。 惚気ちゃって…。 他にも、大学で音楽のサークル入ってた関係で、スウィートショコラガーデンっていうバンドを復活させようと思ったんだけど、その話を由真さんにしたら、あたしは独立したんだから、バンドの名前も新しくつけた方がいいって言われて…。 ”あいりぃらば~ずばんど”っていう、音楽ならジャンルを問わずに楽しもうっていうバンドのリーダーやってるんだ。勿論、インディーズバンドだし、メンバーも音楽初心者だらけだよ。 ま、水泳でオリンピックに出るっていうのは、まだ遠い未来の話になりそうだけど、きっと叶えたいって思ってるから、あたし、絶対にあきらめないっ!!」











 友加里「ふ~ん♪ みんな、良かったね~。 あの頃なりたかった自分に、ちゃんとなれているんだね。 あ、そう言えば隆太って、あれからどうしてたの…?」











 隆太は、少しみんなの華々しさに羨ましさを感じつつ話した。








 「僕は…、何というか、、、普通に、高校は商業系の資格取って、水泳部に入って泳ぎを続けてた。 涼子さんが…、あ、、、いや、、、涼子が、そうしろってずっと言ってたから…。 その後は専門学校行って、経営学とかも勉強したよ。 涼子の家業、宿屋だから…。 それで、二十歳はたちの時に、結婚してくれって告白したんだけど、その時は断られちゃって…。 まだお互いにやり残してることあるからって…。 でも、涼子も32歳になって、早く結婚したくなったって言うし、僕だって彼女に支えられたり、支えたりしながら、絶対に幸せになろうよ!!って、しっかりと瞳を見て話したら、いいよ…って言ってくれた…。 平凡であまり特徴のない僕だけど、涼子が宇宙で一番好きな人だ!!って、思い切って話したんだ…」











 …皆は、少し戸惑ったものの、それが隆太にとっての幸せであると確信した。 そして、隆太は少し泣きそうになってしまったが、その瞬間、あきらは彼の手を握り…








 「よかったな!!隆太!! 涼子さんと、幸せにな!!」








 愛莉も…。「よかったね隆太♪ 幸せな家庭を築いてね。 たまには、私達も宿に遊びに行ってもいいよね? あ、お邪魔かな…ww?」














 友加里は、瞳に涙を浮かべながら…。











 「クスン…。 ウチ、初恋は見事に失恋しちゃったね…。 でもいいんだ…。 隆太がちゃんと、幸せになってくれたんだから…。 ウチは…、実は現在絶賛婚活中なんだけど…、音楽活動とか作曲の仕事も忙しくてね…。 なかなか、これといった異性に出会えないでいるんだよね…。 けど、私にも必ずチャンスはあるって信じてるよ♪」











 「友加里…。 これからもずっと、親友でいようね。 絶対だよ!! 男女の間に友情はあるかないかってよく話題になるけど、僕には、あるって思う!! 友加里と過ごした毎日のこと、一生忘れないよ…!!」











 「隆太ぁぁぁっ!!」











 二人は、涙しながらその場で暫し抱き合った。 お互いに抱いていた夢が、いま、現実のものとなって自分達の手の中にある。 かつてのあらゆる思い出も脳裏を過ぎったが、今はもう、みんなが”幸せだよ!”と言えていることに、感動の気持ちを隠し切れないでいるのだ。














 …と、そんな4人を見ていた若い男女が、拍手をしながら彼らに駆け寄って来た。 それは誰であろう、愛莉の兄、愛希と、その妻で、隆太の姉の、流美である。 二人は昨年末に、長い恋愛を経てゴールインした。 ちなみに、愛希は隆太が婿に行ってしまうことで、自分の実家の周りに男手のなくなることを心配して、それまで勤めていた仙台の会社を退社し、実家に流美と共に暮らしている。 地元で新しい仕事を探すのは困難の連続であったが、苦しい経験があると、その都度二人は励まし合って来た。











 愛希「隆太くん、俺達の結婚の後、すぐに涼子さんにプロポーズしたんだよね。 ひょっとして、俺達のことを見てて、待ちきれなくなったのかな??」








 流美「ちょっとww ウチの弟ってそこまで我慢きかないとかって言いたいの~?」








 愛希「そんなんじゃねぇってww いや、単に俺達が、結婚したいって気持ちを後押ししたのかなぁってね。 だとしたら俺達って、ちょっとした恋のキューピッドになれたってことじゃんwww」








 流美「まぁwww うふふふっ…ww うっ…!!!うえっ…!! …ゴホンゴホン…!!!!」











 …流美は突如咳き込み、その場にうずくまった。 何事かと慌てて、隆太たちも彼女に駆け寄った。











 流美「…心配ないよ。 ちょっとお腹の赤ちゃんが、一緒に騒いじゃっただけだから…。」











 流美は現在、妊娠5か月。 友加里たちは最初気が付かなかったが、流美は新しい命を授かり、お腹が膨れている…。














 友加里は、思い切って流美のお腹に近づき、膨らんだお腹を撫でながら… 「うわぁ…、私達もいずれは、こういう経験するんだろうなぁ…。 でも、大丈夫かなぁ…。。。 何だか自信ないなぁ…。」








 隆太とあきら、愛莉も近づき、流美のお腹を優しく撫でて…








 あきら「歳月って、なんだか怖いな…(笑) ついこの前まで、学校通ってた俺達も、大人になって、結婚とか子供とかの話してるんだからなぁ…」








 愛莉「そうだよ。 あたし達も早く結婚しようね♪ あ、そのためには、お互いにしっかりと生活を安定させないとね…。 両親だってあたし達のこといいカンジで見てくれているし、後はタイミング一つだと思うよ…。」








 隆太「そうだね。 二人の結婚式の時には、絶対呼んでくれよ。 何だったら僕が式の司会やるからさ…。








 愛莉「ありがとう♪ でも隆太ぁ? 流美さんの赤ちゃん生まれたら、隆太はおじさんになっちゃうんだよ~? その辺の気持ちはどうお考えなの~?」








 隆太「ううっ…、、、。。。  やっぱり、歳月って、怖いwww」














 「あははははっ…www」














 鮮やかな日差しの射し込む会場に、ひときわ明るい笑い声がこだました。




















 …そして、涼子はというと…。











 夕子(涼子の親友)「ねぇねぇ涼子ぉ!! やっぱり隆太くんをお婿に貰うんだね~♪ アタシも涼一さんと結婚した時、話してたんだよ。 涼子と隆太くんなら、ちゃんとやっていけるってね!! 隆太くんはまだ精神的には幼いんだから、ちゃーーーんと涼子が見てあげなきゃだめだよ~ww」








 鮎美(涼子の親友)「夕子ったらぁ(笑)ww その辺は大丈夫だって。 余計なお世話しないで、後は二人の幸せを願いましょうよ♪ …でも涼子ぉ…、うらやましいぞぉ~♪ 自分よりうんと若い旦那様ゲットとか~(*^^*)♪ その点あたしは…、、、はぁ~…。。。デッドストックは行き場に困るねぇ…。」








 夕子「な、何言ってるんだか…。 実はいい感じの仲な彼氏いるってこと、知ってるんだよ…。」








 鮎美「ゲゲッ…!! な、、、ナイショだよ~ww その話ぃ~ww」











 涼子は、クスっと笑いながら、控室の窓を開けて、その風を感じていた。








 夕子は、少し虚ろな表情の涼子に、「どうしたの?」…と、声をかけた。














 「うん…。 いま、西の風が吹いているでしょう。 この風は、隆太くん…あ、いや、、、隆太の地元の外ヶ浜から吹いて来るんだよ。 逆に、東風の時は、私の実家のある浅虫から外ヶ浜へ…。 つまり、お互いの気持ちは、いつも風に乗って行き交っていたんだなぁ…って思うと、私と隆太が結ばれる”赤い糸”っていうか、”青い風”みたいなものが、ずっと昔からあったんだなぁ…ってね♪」








 鮎美「わぁ…ww 涼子ったらロマンチストぉ~♪」








 夕子「ホントww 宿屋じゃなく詩人になれば売れたかもwww」











 涼子「あははっww それはないよww だってあたしは、詩人でこそないけれど、これから新しい旅にでる冒険者になるんだもの。 大切なAiつと一緒の…ね。」











 …その話を、部屋の傍らで聞いていた彼女の兄、涼一が涼子のもとへやってきて…。








 「涼子…。 俺、、、実の兄だからこそお前にこんなこと言うのが恥ずかしくて仕方ないんだけど…。 涼子!! 絶対に幸せになれよ!! 隆太くんはとてもいい青年になってくれた。 無論、まだ若いから、何かと至らないところもあるだろうが、そんな時はお前がしっかりと支えてやってくれよ。 もちろん俺だって力になるさ!! 隆太くんの友達も、さっき何年ぶりかで再会して、みんなで喜び合ってたよ。 彼には人望もあるし、人としての優しさもある。 それは人間にとってすごく大事なことなんだし、ずっと幸せでいられるための、かけがえのない宝物なんだからな…。」











 「そうだよね…。 ありがとう。 お兄ちゃん…。 Aiつ…、、、初対面の時から、私を見る瞳の色がすっごくキラキラしてたんだよね…。 真剣に恋しちゃってるってことと、その恋のために直向きな心を持っているってこと…、直感的にビビっときたんだよね…。 実際、その通りの男の子だったし、出会ってすぐの頃から、何だか単なる、弟の生まれ変わりとは違って思えてたんだ…。 ぶっちゃけ、隆太って幼いし、人当たりも良くて女子にもモテるから、私みたいな年増は、いつか見限られるって思ったこともあったけど、杞憂だったね…。 心の中のAiつって、まだ出会った時の12歳のままなんだけど、こうして、結ばれる日が来るなんて、あたし、、、あたし、、、」











 「ま、お前の目に狂いはなかったってことだよなww 流石は俺の妹様だwww …、、、絶対に、幸せになってくれよ…!! 何だかんだ言いながら、俺だって嬉しいし、淋しいし、ちょっぴり不安だし…。 だけど、お前なら大丈夫だって信じてる!! ずっと信じてきた隆太くんだ。 あとはしっかりと、手を取り合って頑張って行けば未来永劫さ!!」











 「うっ…。。。 お兄ちゃん…。。。    グスン…、、、    うわぁぁぁぁぁーーーーーーん…。。。」














 …涼子は、涙を浮かべながら、少しだけ涼一と抱き合った。 そして、そろそろ式が始まることを告げられ、会場へと向かった。








 なお、涼子の胸元には、かつて病に倒れ、亡くなってしまった彼女の弟の写真が入れられていた。














 「あんたの分も、幸せになってあげるからね…。」























 「それではお待たせしました!! 新郎新婦の入場でございま~す!!」











 結婚式の司会を務めるのは、隆太たちの先輩であった杏奈である。 結婚式の話を聞いて、何と自ら司会を買って出たのだ。 そこは杏奈らしい、どこか豪快で世話好きな性格が出ていると言えるものだった。











 バージンロードを一歩一歩、隆太と涼子は手を繋ぎながら歩く。











 投げかけられるは無数の祝福の言葉であった。 式場には隆太が高校時代以降に知り合った友人もいれば、かつて「スウィートショコラガーデン」のメンバーだった、由真や麻衣子といった面々も…。











 あきら「おめでとう~!! 隆太~~~!! 幸せにな~~~!!」








 愛莉「隆太おめでとう~~~!! ずっとずっと笑顔でいるんだよ~♪」








 友加里「隆太~~~!! 3年以内に離婚したらご祝儀返金してもらうからなーーー(笑)ww …って、、、コホン…ww じょーだんww ジョーダンww 幸せになれよーーー!! 隆太おめでとうーーー!!!!」

















 二人の新たなる門出に、絶え間ない拍手と祝いの声が響き渡った…。














 そして、ウェディングケーキへの入刀の瞬間。














 隆太と涼子は、お互いの瞳を見つめ合い、こう言った。














 「涼子…。 僕、最高に幸せだよ…♪」














 「隆太…。 私だって、幸せだよ…♪」




















 二人の心の中には、暖かい喜びの気持ちがいっぱいに広がり、明るい光が途切れることなく射し込んでいた。

















 そして、素晴らしき親友たちの暖かい祝福の声も、いつまでも心の中に響き渡っていた。
















 ありがとう!! 僕等の青春よ!!










- Happy End -



 ※ここまでお読み頂きまして、誠にありがとうございました。

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