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〜平穏な日々〜

「いろんなお店があるわね〜、あの店とかいいんじゃない?」


「そうですね、雰囲気もいいですし、服はあそこで買いますか」


街でも結構人気がある服店、ラーディンズに立ち寄る。


「これなんか良さそうね、一回着てみて」


そう言ってアルマが手に取ったのは、黒の混じった赤いチェックのスカートに、ラインの入った黒いシャツ、そしてフードの付いた黒いロングコート。

 着替えてみてアルマに見せる。


「どうですか?」


「うん、あなたならなんでも似合うわね」


「自分で見る限り、どこかの密偵ですかね。フードをかぶってしまえば、この通り」


 その時俺は、元世げんせの漫画の主人公を思い出していた。

 あぁ、小さい頃、あの漫画の必殺技を頑張って練習してたっけ。


「じゃあ、可愛いからこれも買いましょうか!」


「はぁ...わかりました」


 確かに鏡で見る自分は可愛い。俺が元の世界でこんな女の子がいたら、絶対好きになってしまうだろうというほど。……うん、買うか。それにしても、まるでコスプレだな。と言うかロイカさんは、俺を着せ替えたいだけなんだろうな。


「じゃあ、次はこれ、白いシャツにホットパンツその上に革ジャン。ちなみに、この革はキリエグマの革を鞣して作った一級品よ」


-試着-


よし、買おう


「どうでしょう」


「うん、これも買いましょうか!」


 そのあと黒と白のバトルドレスも試着しどっちも買った。8金貨、10銀だった。


「あ、そうだわ。一番大事なこと忘れてた。学院の制服買わなきゃ」


「どこで買うんですか?」


「ここの向かいの、グリム服店よ。行きましょうか」


「あの、この服はこのままで?」


 今は、最後に試着した黒いバトルドレスを着ている。試着して気に入ったら、着て帰ってもいいというのでとりあえず着ている。


「えぇ、良いわよ」


「ところで、アルマは何も買わなくてよかったの?」


「わたしには、あの魔法があるから買う必要はないわ」


 あの魔法とは、いろんなものを取り出したり収納できる魔法のことだ。それで納得した。


「あの、すみません。ウェイルス学院の制服を私のとこの子の分、二着お願いできますか?」


「あいよ、ちょっと待っとくれ。」


 グリム服店の店主らしきおばちゃんが何やら呪文を唱え始めた。詠唱が終わり、光が渦を巻き縮小するとそこには制服が2着浮かんでいた。


「ほれ、お主らのサイズにぴったりじゃよ」


 制服を広げて見てみると、赤のチェック柄のスカートに、リボン付きの白のワイシャツ、その上からローブを着る形になっている。リボンは脱着可能だ。


「ありがとうございます」


そう言うとアルマは金貨6枚をおばちゃんに渡す。


「すぐに、ぼろにするんじゃないよ」


 それを捨て台詞におばちゃんは店の奥へ消えた。


「不思議な人でしたね。それにしても、アルマは、この街に詳しいですね」


「何年間ここを見守ってたと思うのよ、そのくらい当たり前よ」


「そうなんですか。あ、さっきから思ってたんですが、お金はどこから来てるんですか?」


「私は女神よ?しかもこの世界を見守る。この世界のお金なんて、一瞬でパッとつくれるわよ」


 …女神すげぇ、でもこの人は、女神らしからぬ一面が多いんだよな。それに、お金を勝手に作っても良いのか?

  まぁ、女神だからな、大丈夫と言うことだろう。余計な詮索はしないでおこう。


「あとは下着ね、専門店のミヤシマに行きましょう」


「はい」


 やけに名前が日本っぽいな。


「いらっしゃいませ」


「この子に合う下着を上下セットで5着ほどお願いします」


「かしこまりました」


 店員は綺麗な美人のお姉さんだった。目は黒く、髪は薄いピンク色をしている。


「どのようなものがいいでしょうか?」


 お姉さんが俺に聞いてくる。


「派手じゃなく地味な感じのものでお願いします」


「かしこまりました。では、少々お待ちください」


 〜数分後


「お待たせしました。このようなものでよろしいでしょうか?」


「はい。ありがとうございます」


 出てきたのは、元の世界とあまり変わらない感じの無地や縞模様の下着。

 

 …女の子の下着ってこんな感じなんだ...。


「フブキ、更衣室に行って着替えてきて、代金払っておくから」


「わかりました」


 俺は恥ずかしさを抱きつつも、更衣室に行き、着替える


「いくらになりますか?」


「えっと、5着で、金貨2枚と銀貨5枚です」


「これで」


「はい。ちょうどお預かりいたしました」


「フブキ着替え終わった?」


「はい。ですが、少し胸に違和感が」


 下着には、どちらも、伸縮適応魔法という魔法がかけられていて、サイズはぴったりなのだが、やはり落ち着かない。


「まぁ、そのうち慣れるわよ。じゃあ帰りましょうか」


「わかりました」


「またのご来店をお待ちしております」


 店員の挨拶を背に店を出る。そういえば日本っぽい名前の店だったけどまったく関係なかったな…


「フブキ」


「はい?なんでしょうか?」


「生理用のナプキンは私のをあげるから、そっちを使って。現代のものの方が性能いいから。それに、天界のじゃ合わないでしょ?」


「はい。わかりました。でも、」


「なに?」


「街を歩きながら話すことではないかと。ただでさえ今は、なぜか皆注目してるんですから。恥ずかしいです」


 そう、俺たちが歩いてると男女関係なくほぼ全員振り向くのだ、なぜだ?


「それもそうね。でも、注目されてるのはあなたのせいよ?」


「ん?なぜですか?」


「鈍感ね。あなたが可愛すぎるからに決まってるじゃない」


「私じゃなくてアルマの方がいい人もいるみたいですよ。アルマも可愛いのですから。その自覚を持ってください」


「ヒビキにはその自覚があるの?私にはあるわよ?」


街人A「あの背の高い子アルマっていうんだ。可愛いなぁ」


街人B「でも、黒髪のヒビキちゃんって子も可愛いよな〜」


街人C「あの服、ベタリエルフォームスじゃない?どこかのお嬢様なのかしら?」


街人D「あれだけの美人なんだから、きっとそうよ」


「どっちもどっちですね」


「そうみたいね」


 アルマがはにかむ。


 〜女目線で見ると実に頭にくる言い合いである。


「そうだわ、カフェによっていかない?」


「いいですね、うさぎ肉を抜きにすれば、この世界の食べ物は初めてですから楽しみです♪」


 そして、大通りのカフェへと移動した。


「可愛いお店ね」


「ですね」


 俺たちは街の一角にあるカフェ【寝つきいい狐】立ち寄った。

店に入って一番びっくりしたことそれは、狐人族(こびとぞく)という種族の存在だ。


「狐の人、ですか?」


「そうよ。言い忘れていたけど、この世界には獣人という種族がいて、この狐人族以外にも猫人族や犬人族、他にも人魚族など、たくさんの種族がいるわ」


「そうなんですか。興味深いですね」


「まぁ、獣人っていうだけでで迫害を受けたり、差別されたりする人もいるのよね」


「そう、なんですか…」


 どの世界にも自分たちとの違いを差別する人がいるんだな...。


 過去の思い出したくもない記憶に、無理やり蓋をする。


「でも、この国ではほとんどないから安心してね」


「わかりました。お気遣いありがとうございます。さて、気分直しに色々注文しちゃましょうか!」


「そうね!」


「私は決まりました。アルマはきまりましたか?」


「えぇ、きまったわ」


「じゃあ注文しましょう。すみませーん!」


 俺達は異世界独自の、スイーツや飲み物を次々に頼み、異世界カフェを堪能してから宿に戻った。音で知った事だが、寝つきいい狐はかなり高級な店なんだそうだ。なるほど、だから会計の時あれほどの金額になったのか。

 

 宿でまったりしていると、扉がノックされ、ディーナちゃんが夜食の支度が整ったことを告げにくる。


「アルマさんヒビキさん、お夜食できました」


「はーい。今行くわ。ヒビキ行きましょ」


「はい」


 一階に下りると、いい匂いが漂ってきた。テーブルには、見たこともない、美味しそうな料理が並べられていた。


「美味しそうですね」


「えぇ、じゃあさっそくいただこうかしら」


 席に着き食前の号令をする。


「「いただきます」」


「”イタダキマス”か、なんだそりゃ?」


そうか、異世界じゃあいただきますなんて言わないのか。


「私たちの故郷では、食べる前に手を合わせていただきますっていうんです。ね、アルマ?」


「モグモグモグモグ、うん?」


 もう食べてるし。しかし、うまそうに食べるなぁ。


「へぇーそうなんか。じゃあ、ゆっくり味わってくれよな。」


「はい」

 

さてと、俺も食べよう。

 ナイフで切るとそこから肉汁が噴き出す。牛肉ではなさそうだな、肉自体が何層も重なり合って、肉汁を閉じ込めている。

 肉を口に運び、咀嚼する。噛むたびに濃厚な味が広がり、幾層にも折り重なる肉のリボンがほどけていくかような、心地良い感触が舌をを刺激する。ソースもまたステーキの味を引き立ててる。濃厚だが、しつこくなく、後味はすっきりしている。


「ゴクン。うん。美味しい」


「そうか、うまいか!うちのかみさんも喜ぶな!はっはっはっー」


スープやデザートに舌鼓を打ち、またも異世界料理を堪能した。元の世界にはないような食材でこそ出せる味、大変美味だ。


 アルマも食べ終わり二人で手をあわせる。アルマはスープやステーキを2度ほどお代わりしていた。よく食べる女神様だ。


「「ごちそうさまでした」」


「食べ終わったら、ゴチソウサマデシタか。おもしれぇ風習だな」


「そうですかね?いつも、こうしていたので、これが普通なんですよね」


「確かにいつもこうしてたわね。...バルドさん、ステーキ大変美味しかったわ」


「おう!」


 バルドさんが笑顔になる。バルドさんの笑顔は真夏の太陽のようだな。


「では、私たちは戻ります。フブキ、いこ」


「はい」


 皿を返却口に片して、足早に部屋に戻る。


「いや〜食べたわ〜」


「美味しかったですよね。特にあのステーキ」


「えぇ、ステーキだけじゃなくスープも美味しかったわ」


アルマはベットに大の字になりながら言う。幸せそうだ。


「そういえば、学院の試験って、いつなんですか?」


「……4日後よ…」


「なんの準備もしなくていいんですか?」


「1つ言うとすれば満点はとっちゃダメよ。あまり目立っても困るから、そうねぇ何個か教科あるけど全部80点前後の点数でね。私もそうするつもりだから」


「わかりました。では、そろそろ寝る準備しましょう」


「そうね、この宿には確かにお風呂があったはずよ。一緒に行きましょう」


「え、ででも、お、私は、」


「いいじゃない、女どうしでしょ」


「...はい」


 もう、アルマって人、いや神は。…まぁ、いいか。


 二人でお風呂の脱衣所に行く、元世とは僅かに異なり、脱衣籠はスーパーのカゴのように重なっており、カゴの蓋と一緒にセットになっている。

 棚はなく、長机が壁に沿って設置してある。


「脱いだものは、籠の中に入れておいてね私が洗っておくから」


「はい」


 俺は服に手をかけ、脱ぎ始める。服を脱ぎ終わり、脱衣所の鏡の前で、ふと自分の胸に手を当て、つい揉んでしまった。…柔らかい…、自分の胸を見て、綺麗だと思った。何気なく手を下の方にやろうとすると。


「フーブーキ!」


「きゃっ」


アルマが、後ろから俺の胸を揉んできた。


「おや?可愛い声じゃない」


「ちがっ、それはアルマが後ろから、も、揉んできたからだ!」


反射的に出した声が、…もう完璧に女の子だ……俺は本当に元に戻れるのだろうか?。


「ごめんって、ほら行こっ」


「は、はい」


 布で前を隠しながらかつアルマを警戒して歩く。アルマ…俺よりも結構…胸大きいな、はっ、イカンイカン。

俺が胸の大きさを比べてどうする。

体を洗い終わり風呂に浸かる。


「アルマ」


「何?」


「この宿は、なんで客が少ないのかな」


「確かにそうよね。部屋も綺麗だし、ご飯も美味しい、それにお風呂まである。 なんでかしらね」


ナレーション「なぜ、客が少ないのか。それは二人が原因であった。今日はたまたま昼まで休みだった。響達が通ったときちょうど開店だったのだ。そして、他の客は彼女達の美しさからどこかの令嬢だと勘違いししまい、宿を貸し切ってしまったと、またまた勘違いしてしまったのである。だから、今日は客が一人もいなかったのである。」


「まぁ、ただの偶然かもしれないわね。そんな深く考えなくてもいいわよ」


「そうですね。私はそろそろ出ます」


「じゃあ私もでるわ」


脱衣所で髪の毛を拭き、体を拭く。寝間着はアルマに借りた。なぜか浴衣だった。鏡の前に立つと、水が滴る髪に、赤くなった頬、色っぽいな。


「部屋に戻るわよ」


「あ、今行きます」


部屋に戻りアルマに借りたを乾かしてもらう。


「三つ編みしてあげるから後ろ向いて」


「三つ編みですか?」


なぜ三つ編みを?


「三つ編みして寝ると朝、髪が絡まらないのよ」


「なるほど」


 アルマに三つ編みをしてもらい布団に入る。


「今日は楽しかったです」


「そうね、でも、明日は楽しむだけじゃないわよ」


「何をするんですか?」


「冒険者登録よ」


「冒険者ですか、かっこいい響ですね」


「ふふ、詳細は明日のお楽しみ。じゃあ、おやすみ、フブキ」


「おやすみなさい、アルマ」


 俺達は夢の世界へと意識を手放す。

次回、やっぱりベタ

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