《51話》
誤字や脱字があると思いますが、よろしくお願いしますm(_ _)m
今頃、彼らは魔物の群勢と戦っている頃かな。
ま、彼らなら直ぐに終わらせて何も無かったかのように戻って来るだろうね。
さて、残った東エリアに向かおかな。
優しく零の頭を撫でるサティアに「行ってくるよ」と、言い転移ゲートに向かう。
だがサティアが見たクロノスの背中は、哀愁を帯びたものだった。背中は小さく、身長も低い。だけど────その背中で背負っているのは何千を超える天使と神の希望や願いだ。
”世界が永久でありますように”と”下界の人々が幸せでありますように”と、そんな希望や願いを一身に背負っている。
クロノスは転移ゲートの手前で、足を止め後ろを振り返る。
「サティア」
優し声で、返事をする
「何?....」
視線を床に落とし、涙を堪えてから
ゆっくりと視線をサティアに向ける。
そして、少し震えた声でこう言った。
「──────行ってくる」
サティアはこの言葉を聞いて、クロノスの真意を悟った。
自然と涙が溢れ、胸が苦しくなった。
クロノスはそう言った後、転移ゲートを使い東エリアに向かった。
サティアと零だけになったこの場で、サティアは必死に溢れ出る悲しみの声を堪えながら涙を流す。流れ出た涙は、零の頬を伝い自分の脚に落ちる。
─ザナトルーセ─
ごめん、サティア─────
今この世界でアイツを倒せるのは、僕だけなんだ。
僕の人生色々な事があった──
懐かしいものだね....
僕にとってこの世界は、自分の家族達が住む場所だ。
神界だけじゃない。下界や冥府だって僕の家族にとって、とても大事な場所だ。それを、アイツらは────破壊しようとしてる。零君には僕の跡を継いで、神並びに天使達の希望や願いを背負える”2代目神王”として皆を引っ張っていって欲しい。
僕はこの戦で死ぬだろう
戦死ってやつだ
死んだ後は輪廻転生の輪に乗って、新たな器を見つける。
そして、神王クロノスはクロノスという名を忘れ
新たな名を憶え新たな人生を歩む。
出来れば、転生先は────地球がいいな
ただの人として生き、ただの人として死にたい。
物思いに耽っていると、大量の魔物が姿を現した。
来たか───
僕が用があるのは、魔物の一番奥にいる奴だ
─???side─
この神気────クロノスか
ハハッ、面白い。これは、ヘルグラン様にいい手土産が出来そうだ。
─クロノスside─
多分僕の神気を感じて、今頃笑みを浮かべてるだろう。
やっぱりアイツの神気は、禍々しくて底が知れないな。
「さてと、雑魚処理を始めようか」
初めにクロノスに牙を向けたのは、狼の魔物だった。
漆黒の毛並みと、尻尾が二又であることから”ブレッドフェンリル”である事が分かった。
再び鋭い牙を向け跳び、襲い掛かる。
だがクロノスはそのまま歩きだす
威圧的な殺気をブレッドフェンリルに放つ
この殺気を受けたブレッドフェンリルは、体の底からこみ上げてくる恐れが全身に渡る。
ブレッドフェンリルが怯んだ所をクロノスは、ブレッドフェンリルの首根っこを掴み力を入れる。
ギシギシという音を立て、”クゥーン”という声を出しながらブレッドフェンリルは窒息し、絶命する。
屍体となったブレッドフェンリルを、そこら辺に放り投げる。その光景を目の当たりにした他のブレッドフェンリルらは、一歩また一歩と体をひいていく。
スキル威圧を出しながら、クロノスはブレッドフェンリルらに問う。
「まだやるか?」
ブレッドフェンリルは束の間の沈黙の後、必死にどこかへ行ってしまう。
威圧を解いて、空気を吸って吐いた時だった
尋常ではない速さで飛んで来る炎の球体
クロノスは左手の甲を使い、炎の球体を弾く。
弾かれ、地面に直撃した炎の球体は大爆発が起きる。
魔法か....
「まさか僕の攻撃が弾かれるなんて、思ってもいなかったよ。流石、神々の頂きに君臨する神王だ」
「そうか。で?───君誰?」
「僕かい?僕はセレ────堕天使だよ」
自分は堕天使だと言う少年が、宙を浮きながらいるのを視界に映す。
「堕天使ねぇ....」
疑いの目を向けると
「あぁ、翼かい?翼はしまっているんだ───────ほら」
クロノスの視界に映し出された六翼の翼。
紺碧の翼から舞い落ちる羽
どうやら、本当に堕天使のようだね。
今日で2回目か、堕天使と戦うのは....。
「君が堕天使なのは、分かった。それで?僕になんの用だい?」
「なんの用かいって?そんなのはさ、一つしかないんだよ」
セレスはニコニコと笑いながら、クロノスの問いに応える。
「──────君を殺す!」
ニコニコとあどけない表情を浮かべていたセレ。
だが、そんな表情とは一変───狂気じみた目に不敵な笑み。
そんな貌をして、迫り来る。
だが、クロノスは一切怯まずに一歩また一歩と前に進む。
「死ねぇぇぇぇえ!!!」
魔法を拳に付与して、殴り掛かる。
「今急いでるんだよね....だからさ、直ぐに終わらせるね。」
「何言ってんだァァ!!?」
「『獄拷問』」
そう呟いた瞬間セレの両腕は、ないも無い空間から現れた鎖によって拘束される。どこからともなくとして現れた椅子に強制的に座らさせられ、肘置きに両腕が固定される。突然空間に空いた穴から、白衣を身に纏う男が現れる。
男は真っ直ぐ、椅子に拘束されているセレの元に歩み寄る。
「クッ!何で!何で外れないんだよ!」
必死に踠くセレ。
そして、クロノスは
「僕は行く。こいつは任せたよ」
《ウン》
「待て!クロノス!」
喚くセレを放って、遠くの方から漂う禍々しい神気を辿り進む。
クロノスが進む中、セレの状況は
「クソつ!」
《オマエ、コロス》
「君、何言ってんのかなァ?」
キレ気味のセレ
だがそんなことは気にしない白衣の男。
「早くこの拘束を解け」
白衣の男はその要求に応えずに、一撃、頬に打ち込む。
「お前....」
殺気を男に放つセレ
だが白衣の男は気にもせずに、指を鳴らす。
《コレカラ、オマエヲ、ゴウモンスル》
白衣の男は両腕をクロスする
すると、いつの間にか白衣の男の手には8本の短剣があった。
手に持つ短剣を離すと、短剣は宙に浮く。
そして、宙に浮くたんとを1本手にする。
《イタミヲシレ、クツウヲシレ》
短剣を大きく振り上げ、セレの右手の甲に勢いよく短剣を刺し込む。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
短剣はセレの手を貫通し、椅子の肘置きに刺さる。
白衣の男は、既に貫通した短剣を時計回りに動かす。
「ア゛ァァァァァッ!!!!」
肉がグチャグチャになり、皮も動かした方向に動いたような状態になった。手からは血が溢れ、白衣の男は短剣を引き抜く。引き抜かれた後の手は、真ん中に穴が空いた状態だった。白衣の男は左手にも同じことをする
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
虚ろな目となったセレに、白衣の男は最後の拷問をする。
8本の短剣をセレに突き刺す。セレの紅蓮の双眸に2本、心臓に1本、喉に1本、足の甲に2本、両太ももに2本と、刺した。
セレの顔は酷く醜いものとなった。ヨダレが垂れ、鼻水を垂らす。
そして、最後に白衣の男は手刀でセレの首を切り落とす。
地面に転がるセレの頭部。
切り口である首元から、大量の血が溢れ、流れでる。
拷問を行った場所一帯は、血の海と化した。
そして、白衣の───いや、紅衣を羽織って元いた世界に戻る。
ありがとうございましたm(_ _)m