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俺のコミュレベ-2億!?  作者: 海星
3/62

3-俺が平凡じゃなくなる!?

ようやく家の近くまで帰ってきた。そしてふと気づく。

「な、なんかやけに静かだな」

普段、この時間帯は、遊んでいる近所の子供やご飯の準備をする気配があったはずだ。人だって少しは通っていた。

「心の傷が深すぎて気づかなかったけど…結構ヤバくね?」

想像してみて欲しい、全く人気がない街を。車も通らず少し暗い中を電灯が照らしている様子を。

「か、かなり不気味だし」

まるで、何かが起きる前触れのような、嵐の前の静けさのような、俺だけ取り残されてしまったかのような。

「と、とにかく家に!」

怖くなった俺は駆け出した。

安心したかった。

悪夢のようなこの空間から脱出したかった。

家に入れば、自分の部屋にいれば、何かに守られるような気がして。



「悪夢のような場所とは失礼だなぁ。折角キミを呼んであげたのに」

ふと後ろから声が聞こえる。

俺?呼んだ?どういうことだ?

「だからぁー、この世界はボクが作ったもので、そこにキミを呼んであげたって言ってるの!」

「さ、さっきから俺の心を読んでくるお前は何者だあー!」

振り返った俺の目にうつ……あれ?何もいない。

え、ガチホラー?

「ホラーじゃなーい!もうちょい下だよ!しーたー!」

下?

「うぉ⁉︎」

目線を下に落とすと、そこには…妖精…みたいなやつがいた。

「ボクは妖精みたいじゃなくて妖精だー‼︎」




──────────────────




なるほど、状況はある程度把握した。この自称妖精は『フェア』。

妖精だからって安直すぎるだろ。

「ふん!安直で悪かったね」

どうやら心も読めるらしい。

手のひらくらいの大きさのフェアは、紫色のツインテールにクリクリとした目。フリフリの付いた水着みたいなのを身につけている。あとボクっ娘だ。

ちょっと未だにこれが現実とは信じられていない。

というか、信じる方が無理がある。

あと、いくら俺でも、さすがに手のひらサイズの女の子にドキドキしたりしないからね?ちょっとしか。


…女の子って意識したら、だんだん頭が真っ白になってきたぞ?

「そ、そ、そ、それで?ふぇ、フェアさんがぼ、ぼくにな、な、なんの用でしょう⁉︎」

声が裏返ってしまった。コミュ障、早く治したい…

「よくぞ聞いてくれたね!」

「ふぁ、はい⁉︎」

は、恥ずかしい。帰りたい。

「うーん、これじゃあ話がすすまないなぁ。それ!」

彼女はそう言って指を鳴らす。すると、俺の頭の霧みたいなのが晴れていくような気がした。

「い、今俺に何をしたんですか?」

…普通に話せてる⁉︎

「ふふーん。すごいだろ?もっとボクを尊敬しなさい!」

「はい!」

まさか、こんなところで俺のコミュ障が治るなんて!人生こんなこともあるもんだな!

今まで良いことも悪いことも無かった人生。ここで俺にも運がまわってきたってことか!

「あ、あの〜。喜んでるところ悪いんだけどね?これ、今ボクと話しやすいようにやっただけだから、元の世界に戻ったら効果消えてるからね?」

え。

「のぉぉぉおおぉぉぉ!」

やっぱりそんなうまい話はないのか?

まぁ「俺だから」なのかもな…

「ま、まぁ、そんなにガッカリしないでよ!そんなことよりもっといい話を持ってきたんだからさ!」

「?」

いい話?俺のコミュ障が治る以上にいい話なんてあるのか?

「それがあるんだって!ちなみに、何だと思います?」

逆に問おう。何故この状況で、俺が何か分かると思ったんだ?ヒントもないしな。

てかまた心を読まれてしまった。

この世界では嘘とかはつけなさそうだ。今のところつく気もないが。

というか、心を読まれるってことは、変なこと考えられないってことだよな?

って、あぁ考え出したらもう止まらない…

「ちょっ!輝さん⁉︎こんな時になに想像してるんですか⁉︎」

「しょ、しょうがないだろ⁉︎男子高校生の頭の中なんてこんなもんだよ!」

あぁ恥ずかしい。

「も、もう話が進まないよ。」




──────────────────




「それで?俺はなんでこんなへんてこりんの場所に連れてこられたんだ?」

未だに話が見えてこない。全く、誰のせいだと思ってるんだ。

俺のせいだ。

「へんてこりんって…じゃあ言っちゃいますよ?」

ゴクリ。


「私は……」

「な、なんだってぇー!」

「ま、まだ言ってないよ」

これ、やりたくなるよね。

お約束の一つだ。

「それで?何をするために連れてきたんだ?」

「もー、なんでこう話の腰を、え、あ、はいそうですね。で、でわ。ご、ゴホン」

ドキドキ。

「ボクは」

ドキドキドキドキ。


「キミの願いを叶えにきたのです!」

…って

「ええええぇぇぇぇぇぇええぇぇ⁉︎」

ね、願いを叶えてくれる?

マジで?

本当に?

「うん!何でも、1つだけ!」

これが噂の『平凡の誘惑者』ってヤツか?

本当だったのか?

ただの噂だと思ってたけど、とうとう平凡な俺の所にも来たってことか?

「ほ、本当に願いを叶えてくれるのか⁉︎」

「はい!」

なるほど。

ふっ。一般人ならここで悩みまくるところだけど俺は違う。

ここで答えるべき回答は1つだ。

「叶えら」

「あ、叶えられる願いを増やしてくれーとかは無しですよ?あと世界のバランスもとんなくちゃいけないので、無茶すぎるお願いも無理です」

な、なんやてぇ!?毎回アニメとか見てて回数増やしてもらえよ!って思うけどルール違反だったのか⁉︎

まぁそりゃよく考えたらそうだけどさ。いくらでも願いを叶えられたらチートだ。

「さあ、なんかありますか?輝さん?例えばー、コミュ障を直してくれ!とか、スポーツ万能にしてくれ!とか、最強の頭脳をくれ!とか」

むむむ。いつも脳内でシミュレーションしてることだけど、いざ本当に自分に起こるとなかなかいいのが浮かばないもんだな。

「まぁ、1つだけだしね!じっくり悩んでよ!」

欲しいもの?

能力?

誰にも負けない何か、とか?




…負けない?




俺は負けたくない?




何に?




俺より強いヤツ?




どうすれば?




俺が強ければ?






…いや…戦わなければ?







そして、答えにたどり着く。俺にはこれがピッタリな気がする。






俺が…欲しい…力は…!

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