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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第4章 王宮の手触り
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こんにちは、アンダーワールド(2)

「…………アクト1終了。これよりアクト2に移行する」

「……来るぞッ!!」


 ドッッ!!!!


 リュウが構えろと叫んだ直後、大男が地を蹴った。

 夕日が差す中、激しく砂ぼこりが舞う。


 バギイッ!!


 気が付けば、大男は隣のシオンに重い拳を繰り出していた。

 青ざめたリュウは、思わず彼の名を呼ぶ。


「……大丈夫か、シオン!?」


 砂のカーテンが薄れていく。明瞭になった視界は、シオンが大男の拳を、黒い無機質な盾で防ぐのに成功したことを物語っていた。

 リュウはすぐに、それがシオンの能力だと気づく。


「……『影を操る能力』。シオンのやつ、やるじゃねえか」

「見てないで早く助けろ!? こちとらギリギリなんだよ!」


 歯をギリギリと食いしばってこらえているシオンが、涙ながらにそう助けを求める。

 リュウはすぐさま、戦闘態勢の頭に切り替えた。


「ナツミ! 頼む!!」

「承知の助! おりゃ~!」


 リュウの声に応じ、ナツミは即座に行動に移る。柔軟な身体を折り曲げ、手を地に伏せた。すると次の瞬間、大男の四方八方から取り囲むように地面から鉄格子が飛び出す。それらは勢いよく統合し、蓋をするように鉄格子が出現して、ガシャコンっと、大男を即興の檻に閉じ込めた。


「ふぉー!! ナツミちゃん、かっこいいな!!」

「えへへ~! そうかな~?」


 興奮するシオンに、ナツミは照れ隠しに舌をペロ☆っと出した。

 二人の様子に、さすがのリュウも頭をかかえてため息をつく。


「……お前らな、仮にも戦闘中なんだぞ。いくら身動きを封じたとはいえ、もしかすると檻が壊されるかもしれな――――」

「…………フンッ!(パキンっ)」

「……ほらもういわんこっちゃないッ!」


 案の定、大男はその剛腕で鉄格子を掴み、折り曲げてしまった。

 表情を一切変えず、大男が檻から脱出する。


「あっちゃ~、ダメだったか~! 私も無理だろうなって思ってたんだよね~!」

「……無理だと思ったことをするんじゃねえ!」

「それじゃ、本気で行くとしますか!」

「……最初からそうしろ!」


 間髪入れずリュウがツッコむ中、ナツミが身体をほぐすように腕を伸ばした。

 彼女の表情から、余念が無くなる。


「大男さんやい、ひと泡吹かせてあげるから! 『蜘蛛の檻』……ッ!!」


 広げたナツミの両手に、白い毛糸のようなものが生まれる。

 彼女はそれを、勢いよく大男に向かって投げつけた。


「…………」


 しかし、彼女の肩の力では、大男にヒットするほどの豪速球は出せない。

 白い塊は軽々とよけられ、無残にも地面にべちゃりと付着した。


「も~! よけないでよ! ほらほらっ!」


 ベチャベチャァ……っ


 次々に球を生み出していくが、彼女の技は滑稽なまでに散っていった。

 それはそれは、辺り一面、雪が積もったよう白くなるほどに。


「あっちゃぁ……大失敗だよぉ~」

「……ナツミ。あとで説教だか――――」

「なんて、言うワケないじゃん」


 調子のいいナツミに呆れ、リュウがそう告げたとき――――かぶせるようにしてナツミが言った。

 胸の前で、勢いよく指を組む。


「『捕食』!!」


 ズア――…………っ!!


「……なっ!?」

「…………っ」


 ナツミが呪文のようにそう唱えると、ゴミのように散らばっていた白い塊が一気にはじけた。一歩でも動けばがんじがらめになってしまうような、白い糸がはりめぐらされる。


「…………鋭いな」

「そっ! この糸の切れ味はハンパじゃないから下手して動かないほうがいいよ~?」


 大男は四方八方に広がる糸を観察した。

 一方で、ナツミの技に度肝を抜かれたシオンとリュウが口々に感想を漏らす。


「ナツミちゃん……ッ!! あんた、マジかっけぇ……ッ!!」

「ま、これって罠専用の技なんだけどね。意外と使い道があるのカモ」

「……お前、いつの間にそんな技を身に付けてたんだよ?」

「う~ん……」


 何気ないリュウの質問に、ナツミはほおに手をあてて考えた。

 と、悪戯っぽく笑って、答えを返す。


「私たち女子も、男子に負けないよう頑張ってたってコト!」


 彼女の言葉に、二人は言葉を失った。

 考えてみれば簡単にわかることだが、彼らは目から鱗の心境に陥った。

 それと同時に。

 手には力がこもり、口からは笑みがこぼれる。

 負けてられない。

 今度は俺たちが見せつける番だ、と。


 ブチイイイッ!!


 いくつもの糸のちぎれる音が鳴り響く。まさかと思い、三人は大男のほうへと急いで振り返る。

 思った通り、辺り一面にはりめぐらされた糸が崩れていた。ナツミの技を破った大男の腕は、ゴリラのように変化している。

 彼は、珍しくも自身の言葉を口にした。


「…………見事なものだ。敵ながらにしていい技だった」

「……それはドーモ」


 ナツミの顔には、少しばかりの悔しさがにじみ出ていた。

 しかし、焦りの表情は一切ない。

 まだまだこれからだとでもいわんばかりだ。

 それを一瞥したリュウとシオンの二人は、ニヤッと口をつりあげた。

 ナツミと大男の間に入って、彼を真正面から見据える。

 夕焼けが、まぶしいばかりに彼ら二人を照らし出す。

 リュウとシオンの二人は、声をそろえてこう言った。



「「――――今度は、俺たちがいくぜ」」



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