ランクアップ(1)
「じゃあランクアップしたいと思いまーす!」
「「「イエェェェ~イ!!」」」
僕の高らかな宣言に、みんなのテンションがアゲアゲにチョベリバした。
「よーし。では……」
これだけ盛り上がってるんだ。メチャクチャカッコいい能力じゃなきゃ、恰好がつかない。
僕は深く息を吸って精神を統一させた。
ため込んだエネルギーを、一気に外へとはき出す。
「ランクアップ……ッ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!
ゴゴゴ……。
ゴ……ゴ。
……。
あれ?
「ランクアップゥゥゥゥゥゥ……ッ!!」
しかし何も起こらない。おかしいなぁ……。
予定では”龍殺し”とかになってるんだけどなぁ。
全く変化が起こらないことに頭をかかえていると、リコちゃんがヒョコっと顔を出した。
「ウシオお兄ちゃん、何してるです?」
「え? 何って、ランクアップだけど……」
「ランクアップはそんな方法じゃないですよ?」
「エ……ッ!?」
そうなの!?
ランクアップって、超サ○ヤ人みたいなノリだと思ってたのに!?
「……おい見たか、あのウシオのランクアップの仕方。子供の発想かよ(笑)」
「気をためたら変身ってか? ははっ、うける~(爆笑)」
「いやぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
恥ずかしいぃぃぃぃぃぃぃッ!
安易にするんじゃなかった……ッ!
「リ、リコちゃんっ。コーくんにやり方を教えてあげてっ?」
「わかりましたです!」
気を遣ってくれたのか、イッちゃんがリコちゃんに説明を促してくれた。
うぅ……。
「ランクアップはですね、こう手を顔にかざしながら」
「うんうん」
リコちゃんの言葉に耳を傾けていると、彼女の声質がいきなり変わって、
「邪悪なる魔者よ。漆黒の雷を伴って我に降霊せよ。生命……ッ!! ――――ってやるです」
何それドラゴンボ○ルごっこより恥ずかしいんですけど。
けれど、リコちゃんは本気のようで、無垢な瞳を輝かせて僕のほうを見つめてくる。
「ウシオお兄ちゃん!」
「ぐ…………ッ」
まなざしが痛いよォォォォォッ!
や、やるしかないのか……。
みんながクスクスと笑いを殺している中、僕は涙目になりながら恥を捨てた。
「じゃ、邪悪なる魔者よ。漆黒の雷を伴って我に降霊せよッ! 生命ゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
その瞬間、バヂイッっと雷に打たれたかのように僕の身体は光を放ち始める。
うおォォォォォォォッ!
力がみなぎるぞォォォォォォォォォォォォォッ!!
輝きはすぐに消え失せた。
中から姿を現した僕を見て、みんなが目を見張る。
僕の服装は、忍者服よりもさらにシンプルになっていた。短めの半袖に動きやすい生地で作られたそれは、チャイナ服に近い。黒を基調として、蒼いラインがアクセントになっている。
それに加え長めの黒いマフラーをしたその外見は――――、
「『暗殺者』でしょうか……?」
僕はこの日、『忍者』の能力を持った『暗殺者』へと変身した。




