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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第3部【ロストライフの入り口編】 - 第6章 影分身の亡骸を求めて
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サバイバルケイドロ(1)

「おにいちゃん、『けいどろ』しようです!」

「へ?」


 メイドさんのいつもの部屋でのんびりしていると、リコちゃんにそう声をかけられた。その後ろから仲良し三人組が期待のまなざしで僕のほうを見つめてくる。

 不意なことに少々戸惑ったが、ちょうど暇だったので僕は快諾した。


「やったです! おにいちゃんもやるです!」

「いっしょにあそぶの久しぶり」

「ぼ、ぼくあんまりしゃべったことないから……」

「大丈夫だルン。ウシオさん、マヌケだから」

「ライくん、聞こえてるからね?」


 にしてもヒナタちゃんのいう通りみんなと遊ぶのはいつぶりかなあ。ルンくんと話した記憶もあんまりないから、ずいぶんと前なんだろう。

 ここ最近は思いつめることばっかりだったし、いい気分転換になるかもしれない。

 もともと僕はやりたいようにやるタイプだ。

 楽しまなくちゃ損だね!


「よーし、それじゃあ誰が『警察』か『泥棒』か決めようじゃないか!」

「「「おーっ!」」」


 ノリよく四人のちびっ子たちが腕をつきあげてくれた。


 けいどろとは……逃げる側の『泥棒』と追いかける側の『警察』を決め、時間内制限を設ける。時間内に逃げ切れば『泥棒』側の勝ちで、全員を捕まえられれば『警察』側が勝ちの鬼ごっこの派生形。


 公正なチーム分けの結果、


『警察』……僕、ルンくん

『泥棒』……リコちゃん、ライくん、ヒナタちゃん


 といった形になった。


「頑張ろうね、ルンくん」

「……は、はぃ……」


 ……なんか僕、めちゃくちゃ怖がられてる。何も悪いことしてない気がするんだけどなぁ……?


「気にすんな、ウシオさん。ルンのやつ、人見知りなんだよ」

「そ、そうなの?」


 ルンくんとのチームワークが勝敗のカギになる。

 今はそう思うことにしよう。


「それで、ルールはどうするの?」

「ふっふっふ、もちろん考えてるですよ!」


 猫耳をぴょこぴょこ動かせて胸を張るリコちゃん。

 なんだか自信ありげな感じだけど。


「逃走範囲はこの王宮内にかぎります! 外に出るとスリルがへっちゃいますから!」


 なるほど、一理ありますな。

 だけど、


「メンバー的にけっこう激闘になる気がするんだけど、王宮の物とか壊しちゃダメだよ?」


 ヒナタちゃんはイヌの半獣人で、ルンくんは抑えてるとはいえ堕天使の獣人でもある。リコちゃんだって猫耳が隠せてない獣人だし、ライくんの実力は申し分ない。

 本気で逃亡劇が繰り出されるとすれば、まわりがめちゃくちゃになるのが目に見えていた。

 リコちゃんはそこのところも考慮してくれていたみたいで、


「そこでルール二です! 物を壊したり傷つけたりしたら即脱落になるです!」

「まあ妥当だよな」


 ライくんに賛同で、確かに僕たちに適した素晴らしいルールだ。ギリギリを楽しみながら力のコントロールの修行にもなる。

 リコちゃんたちの獣人を操る練習にもなるだろう。


「わかった。じゃあさっそく始めよっか!」

「みんな~、何してるの~?」

「ナツミちゃんおねえちゃん!」


 そこで、にひひと笑みを浮かべてきたのは本物の警察官であるナツミちゃんだ。今は『探偵』っぽい衣装だけど。その後ろにはリュウもついている。


「けいどろやるですよ!」

「へ~、楽しそうね。私たちもまぜてもらってもいい?」

「もちろんです!」


 遊び相手が増えて他のみんなも笑顔の花を咲かせていた。


「……いや俺はやるとか言ってないんだけど」

「え~っ! やろうよリュウ」

「おにいちゃん!」


 ナツミちゃんとリコちゃんのダブルプレッシャーに迫られて一歩退くリュウ。

 うむ。敵わんわ。


「……わかったよ。ただ手を抜く気はないからな」

「「やたーっ!」」


 リコちゃんとナツミちゃんが手を合わせる。

 ……そういえばリュウの奴、いつの間にナツミちゃんと仲直りしたんだろ。喧嘩こそしてないけど、最近はずっと気まずそうだったのに。

 先日の『リュウシオ分身事件』で何か変化があったりしたのかな?

 とまあ、そんなことを考えていると三人がこちらに合流してきた。


「ナツミちゃんおねえちゃんが『警察』で、リュウおにいちゃんが『泥棒』です!」


 能力のまんまなんだ……。


「昔の衣装ならもっと分かりやすかったのにね」

「ん~っ? じゃあ変えよっか」


 流れるようにナツミちゃんがくるりと身をひるがえすと、


「じゃーんっ! 久しぶりに着てみました!」


『探偵』の衣装が『警官』のものへと変化した。

 忘れてた! 僕たち『冒険者』の服は思うままに変えることが出来るんだ。


「……久しぶりに見たな、お前のその恰好」

「どうどう? 似合う~っ?」

「……いいんじゃねえの」

「ひゃっ!?」


 珍しい。リュウがストレートにそんなこと言うなんて。

 からかうつもりだったナツミちゃんなんて面食らって顔が真っ赤になっていた。


「……んじゃ俺も『囚人』になるか」

「僕も『忍者』に」


 二人して昔の衣装へと変身する。


「うわーっ、なんか懐かしいね~っ!」

「……ランクアップしたとき以来だな」

「なんだかリュウたちに会った時を思い出すよ」


 この服で僕たちの長い旅路が始まったんだよね。

 シオンにも見せてやりたかったな。


「……うし。そんじゃ始めるとしますか」

「はいです!」

「っしゃーやるぜー!」

「わたし、おにいちゃんにいいとこ見せる……っ!」


 リュウ率いる『泥棒』のメンツが気合いをいれて動き出した。

 残ったのは僕とナツミちゃんとルンくん。

 開始まで残り一分だ。


「絶対勝とうね、二人とも~!」

「もちろんだよナツミちゃん」

「が、がんばります……っ」


 こうして、僕たちのサバイバルケイドロが幕を開けた。

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