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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第3部【ロストライフの入り口編】 - 第3章 日常は存在しない
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獣な子供たち(6)


 リコちゃんを傷つけることなく捕らえる方法。

 僕は二人に向かって簡単に説明を行う。


「いい? リコちゃんは物体をすり抜ける能力なんだよね」

「…………それはそうだが」

「捕まえたってすぐに逃げられるだけだぞ」

「それは物理的な問題だよ。だったら、精神的にせめればいい」


 精神的に……? とシャバーニとライくんが顔を訝しめる。

 字面だけ見れば陰湿な作戦に聞こえるかもしれない。僕が思いついたのはむしろ爽やかなほうだ。


「まあ、見ててよ。すぐにわかるから」

「アンタがいうなら信用するけどさ」

「ありがとうライくん」


 二人より数歩前に出て、リコちゃんと対峙する。

 ……あ、そうそう。


「ライくん、先に謝っておくね」

「…………は?」


 彼が言葉の真意を理解する前に、僕は術を発動した。


「変化の術!!(ボフンっ)」


 煙玉を使用したかのように分厚い煙に覆われる。

 視界の晴れたその先の僕は、


「どうだい、リコ」

「にゃあうあ!?」


 ライくんのヌード姿だった。

 上手い具合に葉っぱ一枚が大切な部分を隠している。

 これが僕の秘策。

 同級生であるライくんの裸を見せることで彼女の動きを止める!!


「ちょっ!! なにやってんだよウシオさん!! アンタはバカかっ!?」


 もちろん本人はこのようにご立腹なわけですが。

 実際のところ、リコちゃんの視線は僕に(ライくんの姿だけど)釘づけだ。四足歩行の体勢でしっぽを左右にフリフリしている。

 ふふんっ。女の子とはいえ、さすがにライくんの裸には興奮するよね。


「まじでウシオ!! いい加減にもとに戻れよ!!」

「あっ、激しく動くと葉っぱがとれちゃうって」


 わさわさと揺さぶってくるライくん。

 顔は真っ赤で目がぐるぐる回っている。まるでリュウみたいだ。


「と、とにかく。イッちゃんが来るまで我慢しないと」


 ライくんを必死に説得する。

 しかし、


「にゃおおおおおおおん!!!」


 えっ! 突然リコちゃんが吠えだしたんだけど!?


「暴走してんじゃねえか! ウシオのバカ!!」

「そ、そんな……っ。ライくんの裸で興奮しすぎたのかな……?」

「んなこと言ってる場合か!! リコのやつ、どんどん獣っぽくなってるぞ!!」


 ライくんの言うように、リコちゃんの身体に変化が訪れていた。

 背骨は徐々に曲がっていき、生えていなかった箇所に毛並みが見られ始める。

 顔つきもより獣人に近づいていって。


「…………これはもう戦うしかないでごわすよ」

「で、でもっ!!」


 ぬっと横に出てきたシャバーニに諭される……いや、なんで鼻血出してるんだよ。

 僕は元の姿に戻り、


「やるしかないのか……っ!?」

「ウシオ!!」

「…………ウシオどん」


 葛藤が頂点に達した、その時。


 ヒュッ

 プスリっ


「っ! ……にゃ……おん……っ」


 遠方から飛んできた注射器がリコちゃんを一突きした。

 それから、何事もなかったかのようにリコちゃんの姿が人間のものに戻っていく。


「はあ、はあっ。なんとか間に合ったのかなっ?」

「イッちゃん!!」


 王宮の入り口の方にナース姿のイッちゃんが見える。

 危機一髪、間に合ったようだ。


「た、助かった……っ」


 強張った肩から力が抜け、すとんと地面に座り込んだ。

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