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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第13章 つかんだもの
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バトンをつなげ(1)


 リュウの作戦は次のとおりだ。


「……やぁ……っ!」


 まず第一に、相手を混乱の渦に招き入れる。

 ビイが両手のひらをくっつけたと思えば親指を軸として両手を開いた。

 そこから電磁パルスのような波紋が空気中を伝っていく。


「……???」


 何か異変が生じたのか、ルンが小首を傾げ始める。

 ビイの『音を操る』能力の効果が出ているのだ。それにより、ルンの聴覚が狂い始める。本人視点で見るとすれば音が突如として消えたのだ。

 リュウたちが駆ける足音も、じゃりの音も、風の音すらも聞こえない。


「「もらったーぁッ!!」」


 唐突に、背後から気合のこもった声が耳に入ってきた。


「…………」


 ルンは何一つ表情変えることなく黒翼だけを動かして声の主たちを貫いた。

 しかし、妙なことに手ごたえがない。

 不思議に思って振り返ってみた。

 そこに声があったはずなのに誰の姿も見当たらない。


「………ッ?」


 今度こそ動きがあった。

 近くの森林から何本ものつるが勢いよく飛び出し、ルンの手足を縛りつけたのだ。


「もらいましたわ!!」


 声のするほうへ首だけ動かす。

 そこに声の主がいた。


「……これがあたしの能力。『音のないところから音を出し、音のあるところの音を消す』」


 ハナの背中からひょこっと顔を出したビイが自慢げな表情を見せつける。

 けれど、ルンが何かを思うことはなかった。


「なに能力の説明なんてしてるんですの! そんな暇なんてありませんのに……っ!」

「……マイペース。マイライフ」

「もぉーっ!」


 とはいえどビイのおかげで不意をつけたのは違いない。

 呆れながらもハナはふっと口の端をあげた。


 ギリギリ……ッ


 つるをほどこうとする力が強くなった。


「な、なかなか力強いですわね……ッ」

「……ふぁいとー」

「人ごとだと思って……っ!」

「大丈夫! 次は私に任せて!」


 ハナの背中に声がかかった。

 直後、ルンの手首足首に手錠がつながれる。

 ナツミの能力、『相手の力を制限する手錠』だ。


「もひとつ、おまけだよ!」


 力まかせに地面をたたくと、地鳴りをあげて鉄格子が上がってきた。

 ルンを四方八方から覆い、完全に閉じ込める。


「さすがナツミですわ」

「ハナには及ばないけどね!」

「……あたしもほめて……」


 ともあれ、ルンの動きは完全に奪われた。



「「――――――」」



 第二陣が動き出す。

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