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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第11章 裏口での決着
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獅子は葛藤する(1)

 殺人的な翼が襲い来る。

 隙をつかれたリュウは足を動かせずにいた。皮肉なことに膝が少しばかり笑っている。


「……クソがッ!!」


 こんなところで死ぬわけにはいかねえのに……ッ!!

 ギリィッと、奥歯を力強くかみ合わせた。


 ――――その時だ。


「油断しすぎですわっ!!」


 凛としたお嬢様のような声が飛んできた。

 同時に、


 シュルルルルルルッ!!!


 周りの植物のツタが触手のように動き出す。ロケット弾のように飛んでくるイーグルの顔から足を絡めとった。


「ギシャアアッ!?」


 身体中を縛りつけられ、プテラノドンのような見た目のイーグルが悲鳴をあげる。

 こんな芸当をできる人物など、一人しかいなかった。


「まったく……何をされているのやら。気を抜きすぎですわ」

「……ハナっ!」


 メイド服のスカートを翻しながら登場したのはポニーテールのハナだった。

 リュウが知っている中で、彼女に敵う者はいない。


「……ナイスタイミングだぜ、ハナ! よく来てくれた」

「ライくんという男の子に呼ばれましたの」

「……ああ。俺が頼んだからな」


 あのときライにハナを呼んできてもらって正解だったと過去の自分に感謝した。

 しかしながら……、


「……ライのやつ、えらく時間がかかったな。っていうか、ライはどこだ?」

「ライくんならコーさまたちの援護に回りましたわ」

「……ウシオだとッ! あいつ、ここに来てるのか!?」


 思いがけない展開にリュウは大きく目を見開いた。

 隣のライオネルも驚いている。


「説明が欲しいのはわたくしのほうですわ。これはいったいどういう状況なんですのっ?」


 ツタを引きちぎろうとしているイーグルに『堕天使』の力を振るうルン、さらにはシャバーニが味方になっている光景を見て困惑するハナ。


「……これはだな」


 リュウは手短に状況を説明した。


『幻獣』の力を発動したイーグルは失敗作で暴走していること。

『堕天使』の力を持ったルンが無感情のままに力を振るっていること。

『革命軍』に失望したシャバーニがフリーダと戦っていること。


「頭がパンクしそうですわ…………」


 偏頭痛に悩む患者のように頭を手でおさえ込む。


「……俺だってそうだよ……。それよりも、あっちで何か起こってるのか?」


 ライがウシオたちを応戦しているという台詞が気になっていた。

 そうだ、と思い出したばかりにハナが口を開こうとする。

 だがそれは唐突に阻まれてしまった。


「……ッ! どうやら井戸端会議なんてしている暇はなさそうですわよ」


 ハナの言葉の真意をくみ取ったリュウとライオネルがハッと振り返る。


 ブチ、ブチブチ……っ


 ツタのちぎれる音が、嫌に気持ち悪く聞こえてきた。


「キシャアアアアアッ!!」


 理性を失ったバケモノが、鎖を解き放つ。

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