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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第11章 裏口での決着
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未来を見据えるために(4)

 人間としての骨格を失い、四足歩行に切り替えるイーグル。彼の翼から生えるひし形の宝石が薄暗く光る月明かりに反射する。


「……これは……『幻獣』の獣人……?」

「『幻獣』の獣人? そりゃいったいどういうことだよ!?」


 リュウの言葉にひどく衝撃を受けるライオネル。

 しかし、リュウが答えることはなかった。彼の見つめる先を追ってライオネルも目をやる。

 イーグルの変身は完全に終わっていた。

 鋭いくちばしをした、もはや怪獣とも呼べる姿。


「……おかしい」


 その姿を観察してリュウは眉をひそめた。


「何がおかしいってんだよ。何もかもがデタラメじゃねえか!」

「……そういうことじゃない」

「じゃあ何が……ッ」

「……特徴が見られないんだよ。『幻獣』のな……」


 そう。リュウがいうように、今のイーグルにモデルとする生物が見当たらないのだ。

『幻獣』とは、空想上の生き物のことを指す。例として『幻獣』の力を持ったルンが挙げられる。

 彼は『堕天使』という空想上の生き物をモデルとした特性を持つ。大きな黒い羽、圧倒的な力が大きな特徴だ。


「……だけど、イーグルにはそれが見当たらない」

「『幻獣』じゃなくて、獣人の第二フェイズじゃないのか?」


 なるほど、とリュウは納得した。

 獣人には第一フェイズ、第二フェイズが存在する。

 第一フェイズはライオネルたちが普段使っているような、獣の力を発揮する段階だ。一方で第二フェイズは、さらにその力を解放し、より獣に近い状態になる。

 だとすれば、イーグルのこの状態は『幻獣』ではなく獣人の第二フェイズということだろうか。

 しかし、その考えはすぐに否定されることになる。


「でもよ、第二フェイズも人の形は保たれるもんだぜ?」

「……そういえば、桃太郎のときもそうだったか」


 かつて第二フェイズとなった赤鬼と戦ったことがある。彼の場合は、筋骨がさらに盛り上がり、赤鬼と青鬼に分裂したはずだ。人型は保たれていた。

 したがって、導き出される答えは一つだ。


「……『幻獣』の力が上手く発揮されていない?」


 言い換えれば、失敗作。

 イーグルに施されたであろう実験は失敗に終わった。


「おいリュウ! なんだかやばい一撃がきそうだぞ!?」

「……なッ!」


 深く考え込んだせいで油断してしまった。


「キシャアァァァァァッッ!!」


 体長五メートルにも及ぶ怪獣となったイーグルが、その大きな宝石の翼を羽ばたかせた。

 猛スピードで突っ込んでくる。


「……ッ!!」


 肝が冷えた。

 こんな猛スピードでぶつかられれば真っ二つに切り裂かれてしまう。

 そして、判断の遅れたリュウは足を動かすことができなかった。


「……クソがッ!!」


 一撃必殺の翼が、飛んでくる。

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