未来を見据えるために(1)
突如として吹き飛ばされてしまったリュウ。
その正体はライオネルであった。
「……ライオネルッ! お前、なんのつもりだッ!!」
叫ぶものの、なんとなく理由は分かっていた。
親友とも呼べるイーグルが殺されかけたのだ。今は敵に回ったとしても親友に対する想いは変わらない。
「……お前、まさかイーグルの味方につくわけじゃないだろうな……?」
ライオネルがなぜ『革命軍』と戦っているのか、深いところまでは知らない。ただ、『革命軍』よりも『仲間』を選択したのではないかと疑いをかける。
それは杞憂に終わった。
「ち、違うぞリュウ!! お、俺はただ……ッ」
ライオネルの言葉が尻すぼんでいく。
最後に、こうポツリとこぼした。
「……『親友』との決着は、俺がつけなくちゃいけない」
微かではあったが、確かに聞こえた。
「……ライオネル」
相当の葛藤があったのだろう。最初は動くことすらもできなかったのに、今は違う。
覚悟を決めた男の顔に変わっている。
「俺に任せてくれ」
これなら……。
「……わかった」
リュウは炎剣を霧散させ、炎竜鎧の術を解いた。
二人に背をむけ堕天使のルンと戦っているユウに視線をやる。
黄色の髪に同色のオーラを放っているユウは苦戦しているようだ。
苦戦どころではない。圧倒的な力で振り回されている。
「……俺以外の協力が必要になるな」
ユウとリュウだけでは敵わないと判断し辺りを見回した。
こちらの味方になったのか分からないが、『革命軍』に反旗を翻したシャバーニが煮えたぎる炎を纏ったフリーダと戦っている。
となると、手が空いているのは、
「……ナツミ! それにビイ!」
遠くに避難していたナツミと青髪メイドのビイに呼びかけた。ちなみに、赤髪メイドのアールは意識を失ったリコを抱えている。
小走でやってきた二人。
「…………なによう?」
「……お前たちの力が欲しい。手伝ってくれるか?」
「もちろんだよ! この時を待ってたんだから!」
ドンと胸を叩き、誇らしげな表情をナツミが浮かべる。ビイも鼻をふくらませて、むふーっと興奮しているようだ。
「…………ついにあたしのでばんがきたようね」
「それで、何をすればいいの?」
「……あぁ、ルンのやつを攻略する。策を立てるためにも、あいつの動きを止めてほしんだ」
『警官』×『探偵』のナツミは相手を拘束する能力に長けている。
青髪のビイは『音』を操る能力を持っているらしい。直接見たことはないが、相手を錯乱させるのには有効だろう。
「……いいか。俺たちの最初の目的はルンの実態を知ることだ」
「うん」
「…………しょうちのすけ」
「……それから、最終的な目標だが」
一箔置いてから告げる。
「……ルンを『獣人』から、もとの人間に戻す」