ソウル・オブ・キング(1)
「え?」
グサッ
グサグサッ――――ザザザ
ザザザザザザザザザザザザザザ
ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッ!!!!
「な、何なんだよこれ……?」
地上にいる女の子たちが――――
「どうなってんだよ……」
シオンを取り巻く黒い渦に――――
「どうなってんだよッ!!!!」
――――串刺しにされて死んでいく。
身体の部位はボロボロに破損していた。
腕や足――――指首太もも足首肘膝……――――すべてが壊れていく。
地上が鮮血の海になり果てることは無かった。代わりに、透明の輝かしい液体がぶちまけられる。
彼女のたちの体は、まるで土人形の様に、簡単に、儚く、粉々に砕け散っていった。
目の前の出来事が現実だとは思えなかった。
夢から覚めようと腹の底から雄叫びをあげる。
「――――あ、」
「ああぁァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!!」
「――――――――っ」
ふと、目の前に広がる景色が変わった。
シオンの後頭部が見える。こちらに背中を向けている。
「コーくんっ!」
「コーさまっ!」
女の子たちの声が聞こえた。そちらに振り向くと、五体満足の女の子たちが心配そうに僕を見つめている。
……え――――本当に夢だった?
いや、待ってほしい。僕にはどうしても夢のようには思えない。
妙に生々しい臭いが、痛みが、感情が僕の感覚に残っている。そもそも、なんでこんなタイミングで夢、もしくは幻覚を見たのだろうか。
パキッ
「まさか……」
ひび割れた肌が僕にこう思案させる。
第六感。つまり、予知夢。
「――――ッ」
ピンと空気の糸が張るのを肌で覚えた。
先ほどの黒い渦が出現すると本能がかぎつける。
「まずい……まずいまずいッ!」
僕はシオンに攻撃するのではなく、イッちゃんたちのいる三人の元へと駆け出した。
「コーくんっ?」
「なぜこちらに向かってくるのですか……?」
理解しがたい僕の行動に二人は目を見開くがそんなの関係なかった。いち早く彼女たちのもとに戻らなくてはいけない。
下唇を噛んで何かにこらえているヒナタちゃんと目が合った。
絶対に守らなくちゃいけないと拳を握り直す。
疾走する脚によりいっそうの力を込めた。
――――間に合え……ッ!!!
「アァ……」
後ろから、シオンではないシオンの笑い声が耳に入ってくる。
直後。
――――黒い死雨が爆発した。