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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第10章 たどり着いた庭で
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忍者と影の衝突(4)

「やれ」


 クロの一言をきっかけに相手が攻撃を仕掛けてくる。

 シオンの背中から生える影のような黒翼が四方に拡がった。先端を針のように尖らせ僕たちを串刺しにしようとする。


「二度も同じ手はくらわないぞ……ッ!」


 氷鎧ひょうがいの尾骨あたりから四つの尻尾を生成し影の黒翼を制する。

 しかし、それはあくまでも陽動だった。

 黒翼の死角からメンデレとユーリが飛び出し奇襲をかけてくる。メンデレは腰まである大きなハサミを片手で構えていた。褐色肌のユーリは死人を操る能力を発動し首の長いキリンの獣人の肩に乗っている。

 これは僕だけの力じゃ対応しきれない。


「ギンッ! アミちゃんッ!」

「わかっていますよっ!」

「しゅつげきだーっ!」


 両隣りから大地を蹴って二人が立ち向かう。

 大人っぽい黒いワンピースのメンデレのハサミに対しギンはサーベルを生み出して火花を散らした。


「キシシっ! あなた、王に仕える者じゃないの? 恥ずかしくないわけっ?」

「あなた、どこかで見覚えが……ッ?」


 やいば越しに睨み合うメンデレとギン。

 メンデレの浮かべる笑みからはどこか気味悪さを感じる。一方でキリンの獣人に立ち向かうアミちゃんは炎の弓を生み出し光でできた矢を引いていた。その足取りはまるでロビンフッドのように軽やかだ。


輝炎セイクリッドアローっ!」

「なっ……っ!?」


 放たれた一本の弓矢が夜空に輝く星のように分離する。

 ユーリはキリンの獣人に命令し、あわてて回避アクションをとった。だが、そのうちの一本が獣人の右腕に命中し突き刺さる。次の瞬間、刺さった矢の部分からドロドロと肉体が溶け出しべちゃりと地面に腕が転げ落ちた。

 いくら傷ついても再生するはずのゾンビなのに獣人の腕は元に戻らない。

 無残に転がっている右腕を見てユーリが冷や汗をかく。


「あ、あなた……いったい何をしたのかしらぁ……?」

「私、ゾンビの倒し方なら知ってるんだから!」

「そ、それをどこで知ったのよっ!?」

「――――勘ッ!!」


 誇らしげな顔つきで腰に手をあてるアミちゃん。

 もちろん彼女が意図的に狙ったわけではなかった。

 本能的に知っていたのだ。

 ゾンビは火と光に弱いのだということを。

 均衡する二人の戦いに、僕はひとまずほっと息をついた。

 これでシオンと一対一で戦うことが出来る。


「すぐに迎えに行くからね、シオン」

「…………」


 どこかで眠っている本当のシオンにそう呼びかける。

 だけど、目の前のシオンの反応はまるでなかった。

 とにかく、次のステップへ移るには氷の尾で止めているこの四本の黒翼をどうにかしなければいけない。

 視線を再び尾のぶつかり合う部分に戻したところで、



 ――――五つ目の黒翼が飛び出していた。



「…………ッ!?」


 見積もりが甘かった。

 油断していた。

 今の今までは四本しか出せていなかったのだから、限界が四本なのだろと錯覚していた。

 その翼は僕を狙うのではなく――――後ろにいるヒナタちゃんに向かって伸びていく。

 動けない。

 動こうとしても、もう遅い。

 ヒナタちゃんの瞳に黒翼が映る。


「あ…………っ」


 ヒナタちゃんが目をつむる。

 死を悟ったそのとき、



「危ないですわッ!」



 どこかのお嬢様のような口調が耳に入ったと同時に。

 襲いくる黒翼を大きな大木が横からはねのけた。

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