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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第9章 裏口での死闘
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竜攘虎搏(1)


 ……リュウが吐血する少し前のこと。


 ドドドドドドッッッ!!!


「…………フンヌッ!」

「はァ……っ!!」


 ゴ……ッ!!!

 ドドドドドドドドドッ!!!


 拳と拳がぶつかり合っては拳と拳が重なる。

 リュウとライオネルから少し離れた位置で戦っているユウとシャバーニ。

 そこに飛び道具や忍術などは一切無い。

 肉と肉のぶつかり合いが鈍く響き渡り、大地を震わせていた。


「…………ヌァッ!!」


 ゴリラの姿をしたシャバーニが深くまでひじを曲げて上半身をひねった。筋肉でパンパンに膨らんだ右肘みぎひじあたりを鉄アレイのように振るう。

 それに対しユウはスケート選手のように一回転しながら軽く飛び跳ね左足のかかとで迎撃した。


「しゃらァッ!!」



 ――――ガ…………ッ!!!



 技と力を駆使して塗り上げられた達人級の攻撃が衝突する。

 ブワァッ!! と勢いよく風が生まれユウの短いたて髪がゆれた。


「…………貴様、やはりただ者でないでごわすなッ!!」

「お前こそ、相当やるじゃないか!」


 戦士たちは互いに尊重し合い、腕と足を離しては距離を取った。

 このような攻防が永遠と続いている。『武道家』であるユウと同様に、ゴリラとなったシャバーニも近接肉弾戦きんせつにくだんせんを得意とした。突飛とっぴなことがない限りどちらかの体力が尽きるまでの持久戦となるだろうとユウは踏む。

 実のところ、ユウはいまだに自身の本当の能力を発揮していない。忍術や奇術を使えない分、素の戦闘力がとてつもなく高いのだ。

 ユウはシャバーニの戦闘力がどれほどか、つまるところ腕試しのつもりで戦っていた。

 その結果、シャバーニはまだまだ潜在能力を秘めているに違いないと判断した。


「(仕方がない。俺もちょくちょく本気出していくとするか)」


 このままだと負けちまうかもしれねえしなと鼻で笑う。

 ユウは爪で血がにじむほどに手を握りしめ、ググっと力を込めた。意識を集中させ、精神エネルギーを一気に高める。


「はぁ――――ッ!!」

「…………ッ」


 今までとは違う彼の動き出しにシャバーニはピクリと眉をひそめた。つられるようにしてシャバーニの口元がゆるみ口角がつりあがる。

 ゴゴゴゴッとユウの足元から力が伝染し、周りの木々がざわめき始めた。


 ――――と、能力が解放された反動で瞬間風速がぐんと跳ね上がる。


 ブワァ……ッ!!


 猛烈な突風に目を細めたシャバーニがそれでもなお視線を外すことはない。

 彼は実力を見せ始めた敵を瞳に映した。

 特筆すべき点として、ユウの身体の二つの部分が変わっている。

 一つは髪が深紅のワインレッドのような色に染めあがっていること。戦場に咲く鮮血とはまた違う美しさがそこにはあった。

 もう一つは身体から赤いオーラのようなものが出ていることだ。蜃気楼しんきろう陽炎かげろうのように光が屈折し、空間が歪んでいるように見える。


「…………」

「――――ッ!!」


 男達が口を開くことは無かった。

 瞬時にシャバーニが動き出し、拳を握りしめる。まるで、言葉ではなく拳で語り合おうじゃないかといわんばかりに。

 シャバーニが弾丸のごとき拳を放った。

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