表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第9章 裏口での死闘
160/505

悪しき因縁(1)

 不意に現れた因縁深き宿敵・フリーダの挑発にリュウは我を忘れて暴走しかけた。

 けれど、ナツミの一声によって意識を取り戻す。

 模様の消えたマスクを顔からずらしひどく噴き出る汗をぬぐう。最初から最後までリュウの様子を眺めていた隣のライが心配そうに顔を覗き込んできた。


「あんた……大丈夫なのか?」

「……心配かけてすまねえ。もう問題はねえよ」


 そうかとライはほっと肩の荷を下ろした。

 しかし、とリュウが続ける。


「……安心するのはまだ早ェぜ。アイツを倒さないかぎりはな」


 がんを飛ばすその先にいるのは退屈そうな表情をしたフリーダだった。

 フリーダは右手の親指の爪で人差し指をいじりながら、


「おい。何か来るのかと期待していたんだが、どうやら的外れだったらしいな」

「……案外そうでもねえよ。あの力を使えばテメエなんて一殺いちころだ。ただし、テメエにはもったいないから使わねえってだけよ」

「…………へえ。オモシレエこというじゃん」


 指遊びをやめ、フリーダは腰を低くして耳元に届くまで口をニヤッとつり上げた。

 ピリッと、緊張の糸が張り巡らされる。

 この構え……きやがるな……。そう判断を下したリュウは背筋をのばし精錬された筋肉にほどよく力を加えた。

 戦闘の直前、リュウはぼそりとライに声をかける。


「……なあ、ライ。お前、アイツとはどれくらいまで戦えてた?」

「三対七で押されてた感じかな……申し訳ないけど」

「……いいや、十分だ」


 ザッ!!!


 フリーダが姿勢を低くしたまま素早く動き出した。それはまさにヘビのごとく無駄のないモーションだ。

 リュウはライに耳打ちした後、すぐに臨戦態勢をとった。


「……瞬風しゅんぷうの術」


 今となってはリュウの主要戦力となった『忍術』を用いる。『瞬風しゅんぷう』は自身の生体活動を一時だけ高速化させる術だ。フリーダの動きについていくにはこれが必須となる。

 しかしフリーダの特徴が速いだけとは限らない。

 むしろ、それはあり得ないくらいだ。

 つまり、速さを利用した何かで仕掛けてくる。

 そう推測したリュウは重ねて術を発動した。


炎加えんかの術ッ」


 ゴオオオッ!


 リュウの両こぶしに炎が燃え上がり空気中の酸素が焦げて黒い煙が発した。例えばフリーダの能力が『速さ+怪力』だとするなら火力で押し返すことが出来る。

 そうでなかったとしても、炎によってありとあらゆる能力に対応することが可能だ。


「……くらいやがれ、フリーダァァァッッ!!!!!」


 姿勢を低くした状態で飛び込んでくるフリーダを上から抑え込むように炎拳えんけんを下す。



 ――――フリーダは舌なめずりをした。



「ケヘヘッ」


 不快な笑い声がリュウの耳をなめる。

 直後。

 フリーダが左手を伸ばしリュウの炎拳えんけんに触れた瞬間彼の炎がパッと消えてしまった。もちろん術の発動を中断したわけじゃない。ブラックホールに吸収されたかのようにどこかへと消えてしまったのだ。


「……なんだ――ッ!?」

「かぁ~、ウマイねェ……ッ!」

「ッッ!!!」


 意識が疑問に向かったその隙をつかれ、フリーダのアッパーがリュウを捉えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ