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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第8章 目覚めだす王宮
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囚人の進化(1)

「…………なんだそのマスクは」


 突如リュウが顔なしのマスクをかぶったのでシャバーニが怪訝な表情をうかべる。

 と、リュウの反応は思いもよらぬものだった。


「レディースアーンジェントルメーンッ……! お待たせいたしました……! この怪盗リュウ様が見事に『勝利』を盗んで見せましょうぞ……!!」 

「リュ、リュウ……?」


 見たこともない彼の言動に一番長い付き合いのナツミでさえ顔をひきつらせている。

 シャバーニのこめかみに青筋の血管が浮かび上がった。


「…………貴様、ふざけているのか」

「ふざけてなんかいねえよ……」


 顔なしマスクからくぐもった声がもれる。

 人が変わったように、リュウは人差し指をたててくいっと前後に動かした。


「こいよ……ッ!!」

「…………参るぞッ!!」


 二人の声を合図にして、シャバーニがグアッ!! と駆け出した。

 舞った砂埃が勢いの風で吹き荒れる。

 騎馬のようにシャバーニが迫りくるが、リュウが微動だにすることはなかった。

 腕を組んで敵を見据える。


「…………ッ」


 シャバーニは右腕をふりかざしゴリラの腕に変化させた。弾丸のようなスピードでリュウのマスクに狙いをつける。

 対抗するようにリュウも腕を引いた。

 ただ彼のか細い腕に勝ち目など無いことは明らかだ。


「リュウっ!?」


 こらえきれなくなったナツミが思わず叫び声をあげる。リコをかかえているメイドのアールとビイもはらはらと胸の前で手を重ねていた。

 破壊的衝撃の拳がリュウに襲いかかる。


「リュウ……っ!!」

「――――心配いらねえよ……」


 ポツリとつぶやいたのと同時にリュウの右腕がみるみると変化していった。

 スレンダーな青年には不釣り合いな筋肉の塊。黒く生えた毛むくじゃらな腕はまさにゴリラのようで――――シャバーニの右腕にそっくりだった。


「…………なんだとッ!?」

「これだけじゃねえ……ッ!」


 変化させた右腕に力をこめる。

 ボオッ!! と、拳に炎が灯された。

 メラメラと焦げる匂い、顔の皮膚に伝わる熱がリュウの闘志をたぎらせる。


「これが俺の能力、『奪盗スナッチ』だ……ッ!!」


 ドッッ!! ゴォォォッッッ!!!


 拳と拳が、ぶつかり合う。

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