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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第7章 歯車がはまる
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王の帰郷(2)

「やあ」


 その存在を認識するのに何秒かかったろう。

 気づけばやつはそこにいた。

 黒装束を全身に纏い、深くまでフードをかぶりこんでいる。

 名はクロ。

 オレが王だった頃の世話人でありながら、『革命軍』に身を置いている人物。

 ただのメンバー、幹部、もしくは総指揮者。

 能力、素性、何もかもが不明な底知れぬ男。


「…………いつの間に」

「私は影であり闇だ。ゆえどこにでも存在しているし、いつ何時なんどきでも現れる」


 何を言っているのかわからない。もしもウシオがこういった発言をしたのなら、オレは思わず吹き出していたに違いない。リュウなんか捧腹絶倒ほうふくぜっとうに決まってる。

 だけど、この男の言葉には重みがあり、厚みがあった。


 ――――正体不明の闇。


 言い得て妙だ。

 これ以外に彼を表す言葉が見つからない。


「……オレに何の用だ」

「いやはや何を言い出すのかと思えば。くくっ、君も鈍いんだね」


 クロが手袋で覆われた拳を口元にあて、笑いをこらえる。

 その動作が余計にオレの焦燥感をくすぐった。

 ギリっと、歯ぎしりの音が口内で響く。

 コイツはここで倒しておくべき危険人物だッ!


 シュバ、バ、バ、バ


 はめられた拘束具のせいで印を組む速度が落ちる。

 だが、何とか組み終えることができた。

 両腕を引いて、一気に突き出す。


めつ光雷撃こうらいげきの術!!」


 バリバリバリバリバリバリッッッ!!!


 目がくらむばかりの電撃が暗い部屋を駆け抜けた――――――はずだった。


「あ…………?」


 実際のところ、突き出す手の平からは何も生まれていない。

 つまり、術が発動していないのだ。


「な、なんで……?」


 虚しく、反響する。


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