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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第7章 歯車がはまる
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王の夢

 優しい夢を見た。

 そこはどこだかわからないけど、すごく温かい場所で。

 オレは果てしなく続く真っ白な場所に漂っている。

 白い忍者服と銀髪が、今にも景色に溶け込んでしまいそうだ。


 ――シオン。


 オレを呼ぶ声が耳に入った。

 まどろもうとする気持ちにあらがいながら、重たいまぶたをあげる。


 ――あぁ、ハナじゃないか……。

 

 オレの目の前には、手をさしのべてくる大好きなハナがいた。

 一度も向けてくれたことがない、笑顔をうかべて。

 けれど、どこか様子がおかしい。

 向日葵ひまわりを連想させるイエローを基調としたドレスが、ワインレッドに変わっている。まるで、どす黒い血で染まってしまったかのように。


 ――どうしたの、ハナ。何かあった?


 そう言おうと口を動かしたが――――声が出ない。いくら口を動かして、舌をまわしても、いっこうに言葉がうまれない。エサを求める金魚のような、滑稽な行動。

 だけどオレには、それで精一杯だった。


 ――そうだ。手をつかもう。


 差しのべられてる手を掴んで、離さないでおけば。そうすれば、言葉を取り戻すまで一緒にいられる。

 オレは、一生懸命に右腕をのばした。

 ハナの手まであと少し足りない。

 プルプルと震えるほどに、手を伸ばす。

 指先と指先がふれた。


 ――もう少し……!


 花びら一枚分伸ばせば手をつかめる。

 そこまできたところで。

 ハナの手が遠くへと離れていった。


 ――あ……。


 彼女は笑顔のまま腕をひっこめた。

 それから流れるように背をむける。

 その先に、いつの間にか。



 ――――ニヤリと笑う、黒髪のオレがいた。

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