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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第6章 白い街で子犬を拾う
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蛇足はよろしくない(1)

「この世界に『獣人』を治せる薬は”まだ”ないんだ」

「……つまり、近い将来には存在しているとおっしゃりたいのですか?」

「その通りだよギン! 『獣人』を治せる薬は作れるようになるんだ!」


 発言の意図を察したギンにズビシィッと指をさす。

 けれど彼女は、僕の意見をまっこうから否定した。


「ありえませんよ、ウシオさん。そんな薬が作れるのならとっくの昔にできあがっています」

「どうしてそんなことが言えるのさ?」


 ギンの主張に対し、僕は少しばかり挑発的な態度でのぞむ。

 彼女は『王宮』に仕える執事として、建設的な意見を述べた。


「『獣人』はこの世界で一番の問題といっても過言ではありません。我々『王宮』が、力づくで対処するのがやっとなんです」

「薬をつくって対処すればいいんじゃないの?」

「だから、それができないから困っているので――――――」


 彼女の言葉をつむぐ唇が、はっと止まる。

 どうやら僕の発言の真なる意図に気がついたらしい。


「ねーねー二人とも。私、ちっともわからないんだけど……」

「コーくんっ。わたしもかな……っ」


 アミちゃんとイッちゃんはまだ困惑してるようだ。

 僕も遠回しな言い方をしちゃったしなぁ。よし、丁寧に説明するとしますか。

 含みのある言い方を反省しつつ、僕はちょっとキメ顔で話し出す。


「ふっ、実はこの――――」

「このお話には、二つの意味が隠されているんです」

「ちょっとギンさん!?」


 カッコつけたその瞬間、ギンに台詞をかぶせられた。

 イッちゃんはポカンとしてるけど、アミちゃんはくすくす笑っている。

 は、恥ずかしい……ッ!!


「おや、失礼しましたウシオさん。どうぞ、お話しください」

「…………あ、はい」


 ひょ、拍子抜けした気分だ。ここから始めるのはちょっと気まずい。

 とはいってもギンに話してもらう雰囲気でもないので、僕は仕方なく説明を始めた。


「えっとね、僕が発言したのには二つの意味があるんだ」

「発言って、『獣人』を治す薬はまだないっていうやつ?」

「そう、それそれ」

「……?」


 いまいちわかっていないイッちゃんが可愛らしく首をかしげる。


「アミちゃんの言う通り、一つ目の意味はそのままなんだ」

「『獣人』を治す薬はまだないってことですね」


 ギンが確認するように言葉を付け加える。


「でもさー、そのほかに意味なんてあるの?」

「うーん…………直接は関係ないのかも」

「えー! もー意味がわからないよ!」

「あ、あはは……ごめんね」


 また遠回しな言い方をしちゃったのかもなぁ。いつからこんな話し方になったのだろうと、ほんのちょっと不思議に思う。これを蛇足っていうのかなぁ? 無駄話が多いというか、なんというか。


「ウシオさん。もう単刀直入に言ったほうがよろしいのでは……」

「そうだね……そうするよ」


 ギンの催促もあって僕は包み隠さず話すことにした。


「僕の言いたかったことはね――――『王宮』の内部で薬の研究が進められてるんじゃないかってこと」

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