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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第6章 白い街で子犬を拾う
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獣娘を誘拐しました(3)

 アミちゃんの何気ない発想に、僕は目を大きく見開いた。


「それだ! それだよアミちゃん……ッ!」

「え? え?」


 まくしたてる僕だが、アミちゃんは上の空のようだ。

 勢いはとどまることなく続く。


「獣人を治す薬は現状じゃ存在しない。そうだよね、イッちゃん?」

「う、うんっ」

「でも、獣人のことをもっとよく調べたら作れるんじゃないかな?」

「うーんっ。すっごい時間はかかるだろうけど……できないことはないと思うよっ」


 薬や治療を専門とする彼女の言葉を聞いて確信を持った。

 フリーダと呼ばれたオオカミのような男と、ピンク髪に黒いワンピースのメンゲルという女は何者なのか。突如現れた二人組がなぜ、ヒナタちゃんを完全な獣人にさせたのか。どうして、そんな薬をもっていたのか。

 すべての疑問に合点がいく。


「どうされたのですか、ウシオさん。いつになく気持ち悪いですよ?」

「一人でニヤニヤは、さすがにねぇ……?」


 最近ギンやアミちゃんの態度にトゲを感じる。

 どうやら僕のあつかいかたがわかってきたらしい。


「あ、あはは……っ」


 唯一の味方・ナースのイッちゃんでさえ苦笑いをうかべていた。

 一人で勝手にニヤける僕の姿は、想像以上にキモイらしい。ハートにズキリときた。

 いやいや、僕だってただの変態じゃないんだ。デキる変態っていうのを証明してやる。

 汚名返上・名誉挽回のため、僕は見つけた真実を告げる。


「みんな、聞いてほしい。『獣人を治せる薬』はまだないんだ」

「そんなこと、誰もが周知しゅうちしています」

「さ、さっきまでお話してたことだよっ?」

「ウシオくんってば理解できてないんだー。おっくれってるー!」


 しまった!

 つい先走さきばしって結論だけを口にしてもうた。


「っていうか、みんなひどいなオイ! 僕だってそれくらい分かってるよ!」

「では、結局何を伝えたいので?」

「おバカなウシオくんじゃあーねー」

「あ……あはは…………っ」

「もぉぉぉぉぉぉぉーー!!」


 この場の流れが完全にもっていかれてる! 意見を言おうとするのが、ちょうど海の波に向かって泳ぐみたいだ。

 深呼吸し調子が乱れないように意識する。

 これから言うことは大切なことだから、このまま押し返されるわけにはいかない。

 僕は、ゆっくりとした口調で同じセリフを語りかけた。


「この世界に『獣人』を治せる薬はまだないんだ――――まだ、ないんだよ」

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