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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第6章 白い街で子犬を拾う
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獣に抗う者たち(5)


 ブスリっ!


「にゃうっ!?」


 薬を完成させたイッちゃんがドでかい注射器でヒナタちゃんのお尻を突き刺す。ヒナタちゃんはイヌの獣人でありながら、あまりの痛みに猫のような声をだした。

 薬は一気に注入されていき、あっという間に空になる。


「これで治療は終わりだよっ」

「あとは効果が出るのを待つだけですね」

「うん…………」


 僕は拘束術を解除し、倒れ込んだヒナタちゃんを抱えた。

 その次の瞬間ヒナタちゃんの身体が輝き始め、たちまち光に包み込まれていく。


「うわっ、まぶしい!」


 あまりの強さに僕らはみんな顔をおおう。

 目をつむる一方で、僕は腕の中で起こっている変化を感じ取った。

 イヌのように毛むくじゃらの体が、女の子特有の質感へと戻っていく。獣チックだった骨格も、今は小柄な少女そのものだ。

 光は収束し、暗闇が再び支配する。

 僕たちは顔をおおう腕をどけた。

 すぐさま、ヒナタちゃんの様子を確かめようとする。


「あれ…………?」


 一言でいうと、彼女はもとの女の子へと戻れていた。

 小さな手に、可愛らしい指。おもちのようにぷっくりとしたほっぺたに、パッチリな瞳。チャームポイントのボブヘアーも綺麗に整っている。

 気持ちよさそうに寝息をたてている――――のだが。


「イヌの耳……っ?」


 人間の女の子にはありえない部位を目にして、イッちゃんが声をもらす。

 そう。こめかみより上のあたりに、イヌのような耳が生えているのだ。代わりに、人間の耳に当たる器官が無い。

 それに、尾骨あたりから尻尾が生えていた。いい夢を見ているのか、フリフリと左右に揺らしている。

 総じて、僕はこう言った。


「けものっ娘?」

「そんないかがわしい目で見るんじゃない!(ゴスッ)」

「ぐぇっ!?」


 赤い瞳をしたギンにげんこつを落とされる。

 そんないかがわしくなくない!?

 文句をいってやりたいところだったが、ここはグッとおさえ込む。

 なんでイヌの耳や尻尾があるのか、イッちゃんに聞きたいからだ。


「詳しいことは、宿屋に戻ってからねっ」


 ズコーっ


 そういうことになった。

 眠っているヒナタちゃんを優しくおんぶし、僕たちは宿屋へ帰ることにする。

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