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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第5章 王宮へ触れていく
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こんばんは、メイドさん(2)

「……ハナがあんたの妹だって…………?」

「えぇ、そうですわ」


 信じられない告白にリュウは思わず聞き返してしまった。

 ナツミ同様アールまでもが目をむいている。


「リン、あんた妹なんていたの!? っていうか、元メイドってどういうことよ!?」

「あぁ、それはね――――」

「お姉ちゃ……――お姉さま……!!」


 今まで黙り込んでいたハナがバッと顔を上げた。突然呼びかけられたリンはキョトンと動きを止める。

 メイド服の裾を握りしめ、ハナは一生懸命に言葉を紡いだ。


「わたくしの過去のお話はここではしないでください…………まだその時ではないのです」

「…………分かりましたわ、ハナ」


 真剣な面持ちのハナの心情を察し、リンは口を閉じた。

 話を聞こうとしていたアールやリュウ、ナツミもそれ以上は追及しない。


「……代わりといってはなんですが、わたくしの自己紹介をさせていただきますわ」


 ハナにとって、アールは唯一の初対面であった。


「はじめまして。わたくしはハナと申します。先ほど紹介があったように、リン姉さまの妹になります」

「へえ…………確かに、よく見れば似てるわね」


 オレンジの髪色に向日葵のような明るい雰囲気のハナ。抹茶色の髪に森の中にいるような安らいだ印象を与えるリン。

 相反する部分もあるが、よく見れば似ている箇所もある。

 奥にひそむ気品に溢れ出す上品さ。

 女性らしい身体つきや目つきは瓜二つかもしれない。

 お辞儀するハナと手を添えて座っているリンを見比べて、アールが納得する。

 リュウやナツミも同じようにして頷いていた。


「……言われてみればそっくりだな」

「姉妹ってこんなに似るもんなんだね~」

「そ、そんなにジロジロ見られると、さすがに恥ずかしいですわ…………」


 指先をもじもじさせて下にうつむくハナ。恥ずかしさを誤魔化すように彼女はアールに自己紹介を要求した。


「つ、次はあなたの番ですわ! アールさんでしたっけ?」

「あっ、アールでいいわよ! それじゃあいくね!」

「お、お願いしますわ……」


 思いもしないアールの親し気な言動にハナが一歩引く。

 そんな彼女に気づくこともなくアールは笑顔で自己紹介を始めた。


「私の名前はアール! この王宮に仕える立派なメイドよ! 胸は薄いけど……超絶美少女ね!」

「……自分でそれを言うのか」


 どこかの黒執事と同じようなツッコミをいれてしまうリュウ。

 この場の全員が思った感想だった。

 自覚のないアールは、立て板に水のように滔々(とうとう)と話を続ける。


「メイドってすごいのよ!? 普通の人には使えない能力を使えちゃうんだから!」

「……らしいな」

「それでね、リンは『幻想』を使ってたでしょ? あっ、ビイちゃんは『音』を操るんだけどね!」

「……むぅ。自分でいいたかった…………」


 楽しみに温めておいた能力のネタバレにビイが唇をとんがらせる。

 だが、アールの饒舌はとまらない。


「それで、私の能力なんだけど……!」

「うんうん! 教えてアール!」


 この部屋に来る途中から気になっていたナツミが瞳をキラキラ輝かせていた。まるで新しいおもちゃの発売日を待ちわびている子供のようだ。

 かつがれたアールはテンションをさらにあげる。


「私の能力……ッ! それはぁ……っ!」


 アールのマシンガントークが、最高潮を迎える。


「なんと『味』を自由自在に変えられる能力なんです!!」



 ――――シン…………っ



 場内が静まり返った。

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