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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第4章 王宮の手触り
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おやすみ、アンダーワールド(1)

 夕日が沈み、夜が訪れようとする頃合い。

 大男のシャバーニは、空から降る月明りと轟轟と燃え盛る炎に照らされた。彼の姿は一変してゴリラの姿になっている。黒い体毛に異常なまでの筋肉。

 しかしながら、ところどころシャバーニの元の姿の特徴が残っていた。

 短い髪に、片目にできた大きな傷痕。

 それはさながら、ゴリラと人間が融合したかのような見た目だ。


「…………闘いをはじめようか」


 獣人と化したシャバーニが低い声で、しかしどこかワクワクとした子供のように声を風に乗せた。


 ドンッッ!!!!!


 爆発が生じたのかと疑ってしまうほどの激しい轟音が鳴り響く。

 ただシャバーニが駆けだした音なのだと気づいたのは、一呼吸置いた後の事だった。


「…………一発、お見舞いしてやる」

「くる……ッ!!」


 瞬間移動といっても過言ではないほどのスピードで、一気に距離を詰めたシャバーニの拳がシオンに襲いかかる。

 驚きはしたものの、シオンはその冷静さを発揮し、例のごとく影を操って盾を作った。


 ドゴオオオオアアアアアアッッ!!!!


 拳と盾の衝撃が、周囲数十メートルの大気を震わせる。

 歯を食いしばりながら重い一撃に耐えるシオン。

 野生の動物のように本能をむき出しにして、シャバーニは獰猛な笑みを浮かべた。


 そして――――。


 ピキっ……



「ヤバ――――――」

「…………もらったぞ!!」


 パキィィィィッ!!


「グアアアッ!!?」

「シオン君が負けた!?」


 信じられない事態に、ナツミは思わず目を見開いた。砕けた影が、割られたガラスの破片のように散らばっていく。

 同様にして、余分な衝撃がシオンの身体を空中に放り投げた。


「…………まずは一人か」

「……くそッ!!」


 炎の鎧に身を包んでいるリュウでさえ、背筋が凍った気分だ。

 シオンの影は、リュウたちにとって絶対のシンボルだった。彼の影は何をされたって傷つかないし破壊されることもない。

 この漢はそれを破った。

 見事だと賞賛の拍手を送ってしまうほどに圧倒的だった。


「…………」

「「ゴクリ……」」


 シャバーニの視線がこちらに飛んでくる。

 リュウとナツミは生唾を飲み込んだ。まるで、おもちゃを壊した子供が新しのを買ってよとせがむような表情。

 シャバーニはつぶやく。


「…………次はお前だ」

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