表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕とミズキ、ときどき花蓮さん  作者: 佐和 潤
第一話 和睦はミズキと出会った
14/31

「コミュニケーション能力が低いと大変だぞ」

 生温かい春の夜だ。ベッドに寝転がり外を見ると、夜空には雲ひとつ無い明日は晴れそうだ。日曜日だから絶好の行楽日和になりそうだ。


 背後では花蓮(かれん)さんが僕のPCで動画を見ていた。僕は横になり漫画を読んでいる。

 

 妙に心地いい空気が流れていた。落ち着くというか、気が緩む。


 それから数日、僕は言われたとおり、学校では(ひかる)に普通に接していた。

 

 最初はギクシャクしたらどうするかと思っていたが、光の方もミズキくんの時とは違い普段通りだった。キャラだと言っていたけど慣れているものだと思う。


「なあ和睦(かずちか)くん、明日、空いてるか?」

「特に予定ないですし、家でネットでも」


 背中越しに花蓮さんの声がする。明日は誰とも約束していない。だから一日ゆっくり出来る。


 日曜日くらい家でゆっくりと眠っていたい。そしてネットで格闘技やアニメを見て、漫画を読んで休みたかった。 


 目の前に影ができた。顔を上げると花蓮さんが僕を覗きこんでいた。


「買い物に付き合ってくれないか?」

「面倒くさいです。寝てたいですよ」

「まったく不健康だな」


 呆れたように笑うと花蓮さんは僕を見下ろしていた。だが高校生とは言え、一週間を頑張るといろいろ疲れる。だから日曜くらいは二次元の世界に逃避して癒されたかった。


「で、買い物の相手はどうするんです」

「まあ見てて」


 そう言うと花蓮さんは携帯をいじり出す。暫く画面を見つめていると満足気に小さく頷いた。満足そうな声が僕の耳にも届く。


「相手見つかったんですか?」

「買い物行きたいけど暇な人いるって書いたら二人ほどね」

「女子にモテるんですね」


 花蓮さんは得意げな笑みを浮かべて僕を見ていた。確かにスポーツも出来て、勉強も出来、芯が強く、リーダーシップもある。


 さっぱりした性格だからか、男女問わずに好かれる要素はある。


「羨ましいかい?」


 しかし一歩、プライベートな空間に入るとこの有り様である。まあ僕が相手だからふざけているのはわかっている。


「和睦くんも他人と付き合え、コミュニケーション能力が低いと大変だぞ」


 茶化すように軽い口調だ。花蓮さん以外の人、特に両親なんかに同じ事を言えば、大きなお世話だと言い返す。

 

 けど花蓮さんの場合、僕を心配していってくれているのがわかるから腹も立たない。何だかんだ言いつつも、僕は花蓮さんが好きなのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ