第9話 201503
―― 聖樹王暦2000年 1月 11日 22時 ――
22時。勝負が始まった。
あれから、ひたすら考えた。
ミカ様に治癒神力を流し続けながら、ひたすら考えた。
ミカ様は僕に抱きついて、手を握りしめて、苦痛に耐えている。
ドンゴはつまらなそうにしている。
さっさと勝負を終わらせて、帰りたいって顔だ。
勝っても負けても興味がないのだろう。
「せいやく」のログ画面に、勝負開始までのカウントダウンが始まった。
―― カウントダウン開始! ――
いつまで経っても勝負が始まらないと、強制的に始まるらしい。
カウントダウンの数字が終わる1分前に、僕は勝負を始めると伝えた。
僕からカードをめくる。
10
ドンゴがカードをめくる。
3
僕がカードをめくる。
4
ドンゴがカードをめくる。
8
僕がカードをめくる。
7
ドンゴがカードをめくる。
11
僕がカードをめくる。
9
ドンゴがカードをめくる。
2
お互い無表情のままカードをめくる。
まるで色の落ちた世界にいるみたいに。
僕がカードをめくる。
1
ドンゴがカードをめくる。
6
僕がカードをめくる。
5
ドンゴがカードをめくる。
12
運命の悪戯か、最後に13が残った。
めくるのは僕だ。
「チッ! おめでとうよ。これで奴隷は回避か? ま~いい。お前、俺の部下になれ。このゲームのことを誰にもいうな。他の大天使もはめるぞ。手伝え。
そうすれば、お前にも神力をくれてやる。
なんなら、ミカエル以外の女天使をお前の奴隷にしてやってもいいぞ?
悪い話じゃないだろ?
ま~もし、お前がこのネタを誰かにばらしたら……そうだな、プレイヤーの宿の外でミカエルを犯す。
天使全員にミカエルを犯すところを見せつけるぞ?
ミカエルに惚れてるんだろ?
俺がやった後なら、お前にもやらしてあげるからよ~」
クズが何か言っている。
魔神に仕える天使が悪なのか。
いや、それは偏見だろう。
魔神の中にも良い人物はいると聞く。
魔神とか悪魔とか天使とかじゃない。
こいつがクズなんだ。
「次はガブリエルにするか。あいつもいい女だ。
ラファエルとウリエルもはめられるか?
ウリエルはいけそうだな。馬鹿っぽいから。
ラファエルは賢そうだからな……」
4大天使様を全員はめるつもりか。
本当にクズだな。
「ミカエルとガブリエルの2人を同時に調教してぇぇぇ!
ああ……想像しただけでいっちまいそうだ!」
勝手に想像してろ。
クズが。
「おい、さっさとめくれよ」
「……いいのか、めくって」
「あん? 早くめくれよ」
「そうか……わかったよ」
僕は最後のカード……13をめくった。
そして勝負は終わった。
「俺の部下になるかどうかの答えは、明日で構わない。
今日はこれからミカエルの調教があるんでな!」
クズはさっさと帰りたいようだ。
「おい! いくぞ!」
クズがミカ様に命令する。
「おい、クズ。その汚い声をミカ様に向けるな」
「ああん?」
「喋るな」
「はぁ? お前なにいって……ぐっ!」
興奮して気付かなかったのか?
「こ、これは……なんで……ぐぁぁぁぁぁ!」
自分の首に首輪があること。
名前:ルシラ 性別:男 年齢:18歳 神力:201,503