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ラグナロク  作者: 木の棒
序章 キャラメイク的な!
1/27

第0話 始まり!

この物語は途中でエタって終わりますので、ご注意ください!


ごめんなさい!

 真っ白な世界。

 雲の上? 雲の中?

 それとも天国?


 真っ白な道を進んでいくと、真っ白な木で建てられた家があった。

 誰もいないのにドアが開いた。

 入っていいのか?

 中に入って見ると……ん? なんか真っ白な髪の毛のお爺ちゃんがパソコンゲームしているぞ? なんだ? なにしているんだ?


「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉ! またか! またか! また何も落さないのか! これで10回連続だぞ! いったい確率をどれだけ絞っておるのじゃ!」


 お爺ちゃんの怒りの声はまさに天を震わす。いや本当に震えているのよ。

 う~ん、関わっても碌なことがない気がしてきた。帰るか。


「待つのだ。どこへ行く気じゃ?」


「え? 帰ります」


「どこへ?」


「家に」


「無理じゃ。お主死んだから」


 このお爺ちゃんはパソコンゲームのやり過ぎで、ちょっと頭がおかしいのか?

 僕が死んだ? 死んだ? ……あれ? そういえば確か……。


「思い出したか? お主はネットゲームで相手を倒し過ぎて、恨みを買い、ついには殺されてしまったのじゃ。残念だったの~」


「あ~……思い出した」


 そうだった。僕はPvPが売りのMMORPGで、対戦相手から恨みを買って殺された。

 PKされるのが嫌なら他のゲームやればいいのに。まったくなんてこった。


「それじゃ~ここはあの世ってわけですね」


「うむ、そうじゃ」


「それで貴方は?」


「隠居した神じゃ」


「はぁ~」


「なんじゃ面白くないの~。ここはもっと驚くところではないのか?」


「ま~それは人それぞれってことで」


「むむ、「小説家になれちゃうかも!」で読んだ小説の展開とは違うの~」


「え? もしかしてその展開通りに転生ですか?」


「え? ないよ。ないない。転生なんてないよ」


「あ、そうですか……。え? じゃ~なんで僕はここにいるのですか?」


「うむ、お主に頼みがあっての。ちょいとお主の魂をここに呼んだのじゃ」


「はぁ~頼みってなんですか?」


「うむ! お主に「ラグナロク」をプレイして欲しいのじゃ!」


 こうして僕は、「ラグナロク」をプレイすることになった。



―― 1ヶ月後 ――



 1ヶ月ほど経ちました。

 さて、僕の自己紹介なんてどうでもいいよね。


 まず「ラグナロク」が何なのか。

 事の発端は、最高神であるゼウス様の戯れだったらしい。


「人間界で流行しているネットゲームを真似て、わしもゲームを創ってみるのじゃ。

ラグナロク内で「神力」を得たり失ったりするぞ。本当の神力じゃ」


 ゼウス様のこの言葉に天使、悪魔、さらに神まで驚愕した。

 本当の神力を得られるゲームなんてゼウス様ぐらいしか創れないとか。

「あの世」についても少々語ろう。神界、天界、魔界の3つの世界がある。

 それぞれ、神が住む神界、天使が住む天界、悪魔が住む魔界。

 神に仕える者として、天使と悪魔がいる。

 神にも階級があるし、天使にも悪魔にも階級がある。


 ラグナロクをプレイすることを承諾した時に、僕は隠居神の天使となった。

 最下級天使だ。しかも神力1の。


「神力」

 その名の通り、神の力。天使と悪魔にとっても重要だ。神力が高いほど階級も高くなる。

 神も最下級神から下級神、そして中級神、上級神になるために神力を高める必要がある。

 神の神力は己の力以外にも、仕える天使悪魔の神力が高いほど高くなる。


 ちなみに、隠居神は最下級神である。

 人間の魂を天使にするには神の神力を消費して天使に渡すのだが、ケチって僕には神力1しかくれなかった。


 おかげでこの1ヶ月大変だったさ。



 新人天使は研修があるんだけど、「一般新人天使研修」をこの1ヶ月受けてきた。

 これは、天使となった者全てが受ける無料研修だ。研修では主に、神力の使い方を学ぶ。

 神力とは、神の奇跡を起こす力である! 

 つまりラノベやゲームでいうところの「魔力」だ。

 無料研修では本当に基礎しか教われない。

 有料研修では高度なことを教えてもらえるらしい。

 有料といっても神の世界にお金があるわけではない。

 有料の「特別研修」や「特殊研修」などを受けるためには神力が必要だ。

 あの世は何をするにも神力が必要だったのだ。世の中は金だけど、あの世は神力。


 ちなみに、同時期に天使となった者で無料研修しか受けていない天使は僕1人だ。みんな有料研修を受けている。

 僕は同時期に天使となった者達から、「文無し天使」とからかわれた。

 そんな周りの声は無視した。空いた時間は無料解放されている図書館で勉強して、自分の神力を少しでも上手に使えるように特訓していった。

 

 しかしあの世でもつっかかってくる奴はいる。図書館からの帰り道、僕を見つけたとある新人天使達が近寄ってきた。

 次の瞬間、真っ白な大地の上に僕は転がっていた。

 同じ時期に天使になった奴に、何をされたのかも分からなかった。

 仕方ない。神力も向こうが高いだろうし、そして神力の使い方もだ。


「何をしているの!」


 転がる僕の耳に、美しい女性の声が聞こえた。僕のすぐ後ろにその人は立っていた。

 逆さまに見える世界。見上げると、美しい模様が施された真っ白な鎧を着た女性が、馬鹿共を睨みつけていた。女性の鎧はミニスカートのような形状だった。

 つまり見上げる僕から見えているものは……黒か、意外にセクシー系が好き?


「各々の主神より授かりし神力を、愚かなことに使えと習ったのですか?」


「も、申し訳ありません。」


 美しい金髪、綺麗に整った顔、蒼い瞳、雪のような真っ白な肌。

 そしてスラリとしたスタイルなのに実ってしまった2つの星。

 む?! 真下から見上げる星もまた格別だな。素晴らしい膨らみだ。


「まったく。最近は下品な天使ばかり増えて……」


 ごめんなさい。僕も下品ですね。下からの素晴らしいアングルを堪能しています。


「貴方、大丈夫? どこか痛むの?」


「あ、いえ! 大丈夫です!」


 気付かれる前に起き上がる。あ、やばい、ちょっと前屈みにならないとやばいか?


「貴方はあんな天使になってはダメよ。」


「は、はい!」


 女性は手を差し伸べてくれた、僕が手を伸ばすとぎゅっと握りしめて、僕を立たせてくれた。

 僕はその一瞬で、白くて滑らかな指と手の感触を楽しみながら、それ越しに見えるたわわに実った膨らみも脳裏に刻み込むという離れ業をやってのけた。


「しっかり学んで良い天使になってね」


 女性は笑顔で去っていった。


 この女性は、大天使ミカエル様。女神ヘラ様に仕える天使。

 強さ、美貌を兼ね備えた天使だ。



 という、辛くも嬉しい出来事があった1ヶ月だった。

 ミカエル様の柔らかい手と指の感触は覚えているし、セクシーな黒と膨らんだ星も目をつぶればすぐに再現可能なレベルで脳内保存されている。問題ない。


 さて、いろいろあった1ヶ月だったが、今日から「ラグナロク」がプレイ開始となる。

 ラグナロクがどんなゲームなのか、ほとんど情報は開示されていない。


 参加する者には「ラグナロク玉」が配布される。


 開示されている僅かな情報の1つに、参加する者は実際に精神をラグナロク玉の中に吸い込まれることになる。

 最初のプレイ期間は1年であり、その間はログアウト不可能。

 ただし、死んでしまった場合にはログアウトとなるそうだ。


 つまり1年の間、天使としての仕事ができなくなる。

 しかし大丈夫。もともと隠居神に仕事なんて回ってこないので、僕は心置きなくラグナロクをプレイすればいいそうだ。



 家に帰ると、隠居神がすっ飛んできた。


「これがラグナロク玉じゃ! ルシラのために良い玉を選んできたぞ!」


「はいはい。ありがとうございます。玉に良いも悪いもないでしょうけどね」


「何を言う! 馬鹿者め! 玉によって最初につく特典が違うのだぞ!」


「え? まじで! ちょ、ちょっと! ちゃんと選んできたんでしょうね?!」


「特典の中身は分からないのじゃ。 全ては運次第ということじゃ」


「そ、そうですか。それならクロノス様の運にかけますか……人間界のネットゲームにこっそり侵入して、まったくレアドロップ運に恵まれないクロノス様の運にね」


「うるさい!」


 ルシラとは僕の名前である。天使になった時に改名してもらった。

 元は普通の日本人の名前である。木野樹聖って名前でした。


 クロノス様とは隠居神のことである。

 元最高神だったらしいが、息子のゼウスにその座を奪われてしまった。

 このラグナロクを使って、再び最高神に返り咲くことがクロノス様の狙いだ。

 そのために、僕の魂を引っ張ったのだ。


 最高神に返り咲けるほどの神力を集められるとは思えないけど、一応は僕の主神である。

 頑張って神力を集めてあげよう。


 僕の家は、隠居神の家の隣に建てられた。

 家は隠居神が一瞬で作った。さすがは神様。

 家は真っ白な木の木造だけど、造りは僕が住んでいた日本の一軒家をモデルにしてもらった。

 しかし、本来天使は天界に住むんだけどね。神界に住む天使なんてミカエル様クラスの選ばれた天使だけだ。


 開始を待っていると、ラグナロク玉が光り出した。

 玉からゼウス様の声が聞こえてくる。



「わしが創ったラグナロクに参加する諸君。どんなゲームなのか一切公表していないにも関わらず、多くの天使悪魔が参加してくれたこと嬉しく思うぞ。

さて、始める前に1つ。ラグナロクに参加する天使悪魔に主神から神力を渡すことをこの瞬間だけできるようになっておる。

主神はラグナロク玉に神力を注いでもらえばよい。ただし、これは神力の譲渡になるため、その神力を失うことになる。くれぐれも注意されよ。

渡された神力を使えば有利なキャラクターメイキングができるぞ。もちろん、己の神力を消費することでも可能なので、十分な神力を持っておる天使悪魔には不要かもしれんの。

神力を渡し終えた者から、ラグナロク玉を手で触れてみるがよい。ラグナロク開始となる。ルールなどの説明は、ラグナロク内で行う。以上じゃ」



 沈黙が流れる。

 クロノス様の額から汗が流れている。


「クロノス様?」


「う、うむ……なんじゃ?」


「神力ください」


「いやじゃああああああ! 私の残り少ない神力をあげるなんていやじゃああ!」


「馬鹿じじぃぃぃぃぃ! 初期のキャラメイクは重要なんだよ! そこで差をつけられたらどうしようもないだろ!」


「うるさい! ルシラは凄腕のネットゲーマーなのじゃろ! どうにかせい!」


「これネットゲームじゃねぇ~だろ! パソコン前に向かって遊ぶゲームじゃないんだよ! ネットゲームの腕なんて何の頼りにもならないだろ!」


「ええい! うるさい! さっさと行くのじゃ!」


「あっ! やめろ! ちょ、ちょっと! くそじじぃぃぃぃぃぃ!!!」


 僕はラグナロク玉の中に強引に押し込まれた。


 気が付くと真っ黒な世界にいた。目の前にはラグナロク玉が光り輝き浮いている。

 そしてラグナロク玉から声が聞こえてきた。ゼウス様の声だ。


「最下級神クロノスの最下級天使ルシラ。ラグナロクへようこそ。始める前に伝えておくことがある。まずラグナロクの舞台となる世界は「ユグドラシル」じゃ」


 ユグドラシル。知っているぞ。かつて存在した神の世界の1つだ。


「わしは世界を創った。つまりユグドラシルは本当の世界じゃ。そこには魂を持って生きる人間、亜人、動物、妖精、精霊、そしてユグドラシル内だけに存在する天使、悪魔がおる。時間加速を使い、すでにユグドラシルの世界は創造されて2千年の時が経過しておる」


 おいおいおい、なんてことだ。ゲームじゃなくて本当の世界を創ったのかよ!

 しかも2千年も経過しているだと! 本当に生きている、魂を持った生命がいるのか!


「さて、本当の世界ではあるがゲームの要素を取り入れておる。

 例えば人間以外の種族は倒しても、また生成されるぞ。

 ゴブリンをどんなに倒しても、倒された分だけ別の場所でゴブリンが生成されるのじゃ。

 その他の詳細は伏せる。どのようなものなのかは体験しながら各自が確認するのじゃ」


 本当の世界だけどゲームの要素がある。そして自分で体験して確認か……説明書なしで始めるゲームみたいなものか。どんな仕様で何が重要なのか見極める必要があるな。


「期間は1年。その間ログアウト不可能となる。主神との交信も不可じゃ。ユグドラシルで得た神力は直ちに主神の神力になるので頑張るのじゃ」


 僕が頑張れば頑張るだけ、神力をくれなかったくそじじぃの神力が上がるのか。


「死亡した場合は、その時点でログアウトとなる。再度のログインは不可能じゃぞ。特定の場所ではプレイヤー同士で戦うことも可能じゃ。その場合、倒した相手の神力を奪うことができるぞ。あまり目立つと狙われるのでよくよく考えることじゃ」


 PKありと。再ログイン不可だから、倒されたらそこで終わりってことね。


「ユグドラシルでの活躍を祈っておる」


 ゼウス様の声が止まると、目の前の空間にキャラメイクの画面が表示された。

 僕はそれらの項目を1つ1つじっくり見ていった。重要な情報を見落とさないように。


♦♦♦


名前:ルシラ  性別:男  年齢:18歳  神力:1  レベル:0

種族

闘気 

魔力

技能

カード

装備

レアアイテム


♦♦♦


 名前、性別、年齢、神力、レベルはすぐに決まった。

 名前は変更できたけど、そのままにした。

 性別は変更不可。ネカマプレイはダメらしい。

 年齢は見た目の年齢らしい。特に変更しなかった。

 レベルは神力を消費して上げることはできない。全員レベル0からだな。


 しかし……問題は、種族、闘気、魔力、技能、カード、装備の項目だな。

 これらは神力を消費して選択していくものだった。


 くそ~~~! じじぃが神力くれなかったから、ほとんど選択の余地ないぞ!


 はっ! そうだ! 特典! 玉によって特典があるんじゃないのか?

 ラグナロク玉に向かって特典のことを聞いてみた。


「特典があると聞いたのですが……」


 すると、ゼウス様の声が流れてきた。説明用の声で登録してあるんだろう。


「最下級神クロノスの最下級天使ルシラへの特典は……レアアイテム「伝説の木の棒」である! 受け取れ!」


 伝説の木の棒? なんだそれ?

 レアアイテムの欄に「伝説の木の棒」と表示されている。

 タッチしてみると、説明が表示された。


伝説の木の棒:かつて神界を創造した「原初神」が持っていたとされる木の棒。


 え? これだけ? 説明これだけ?!

 いやいやいやいや、どうやって使うとか、どんな効果があるとか分からないじゃん!

 レアアイテムの欄にあるけど装備できるのか? 木の棒だし装備できるよな?


 考えても仕方ない、他の項目をさっさと決めてしまおう。

 どうせ選べるものなんてないんだ。


♦♦♦


名前:ルシラ  性別:男  年齢:18歳  神力:1  レベル:0

種族:人間

闘気:0

魔力:0

技能:0

カード:

装備:布の服 布の靴

レアアイテム:伝説の木の棒


♦♦♦


 各項目をタッチすることで、説明が表示された。


 種族は人間以外には「ハーフエルフ」とか「ハーフエンジェル」とかあったけど、全部ハーフ系だった。


 闘気は物理的な強さ。

 魔力は魔法的な強さ。

 レベルが上がれば、自動で上がっていくようだ。


 技能はレベルが1つ上がるごとに、1ポイントもらえる。

 そのポイントを使って、様々な技能を取得することができる。


 カードは「召喚系」と「補助系」がある。

 召喚系のカードは1つだけ持てる。召喚して一緒に戦ってくれるようだ。

 補助系は様々な効果を発揮するカードだ。

 転移系のカードもあったけど、魔力を込めて10秒後に転移と書いてあったので、緊急離脱には使えないか。


 神力消費で交換できる装備もあったけど、一般的な装備に見えた。

 名前からして伝説級の装備! ってわけじゃなさそうだ。


 レアアイテムは特典でもらえたアイテムだけ。

 特に神力消費でもらえるものはなかった。


 HPやMPといった項目はない。

 実際の世界にゲームの要素を取り入れているけど、HPという概念は入れなかったのだろう。あとどれだけのダメージで自分が死ぬとか分からないってことだ。


 さて、キャラメイク終了と。

 お次はなんだ?


「開始地点を選択してください」


 選べる開始地点が表示される。

 9つの世界が表示されているが、明るく表示されているのは1つだけだ。

 つまり選択できる世界はミズガルズという世界だけだ。

 残りの8つは、今後のアップデートで増えるのか? 神力を消費すれば選択できるものではなかった。


 ミズガルズとは主に人間が住む世界のようだ。

 ミズガルズはさらに3つの国に分けられている。

 ルーン王国、バル王国、エティル王国。



ルーン王国:ミズガルズの中心となる国。最も繁栄している。

バル王国:ルーン王国の次に栄えている。失われた技術「機械」を研究している。

エティル王国:1年中雪が降る極寒の地。厳しい自然の中で生きている。



 ふむふむ……特に人間の国で争っているわけではないようだ。

 無難なところでルーン王国か?

 エティル王国は無理だろう。僕が生き残れるとは思えない。

 バル王国の機械には惹かれるけど、失われた技術って書かれるぐらいだ。ほいほい便利な機械が存在しているわけではないだろう。


 ルーン王国に決めた。


「ルーン王国王都テラに転送じゃ!」


 ゼウス様の声が聞こえると、僕は再びラグナロク玉の中に吸い込まれた。


 いきなりですか?



――♦♦♦――



 大天使ミカエルはキャラメイク画面を険しい顔で見つめていた。


「いったいこれは……どういうことなの」


 神力を消費すれば有利なキャラメイクができるとゼウス様は言った。

 確かにそうなのだが、それはとても許容できる神力消費とは思えなかったのだ。


「消費する神力が普通じゃないわ……こんなの絶対におかしい」


 彼女の考えは正しい。

 なぜなら、この神力消費は天使によってそれぞれ値が違うのだ。

 持っている神力が多ければ多いほど、それに比例して神力消費が多くなっている。

 神力20万の大天使ミカエルともなれば、低レベルの技能1つ取得するのに消費しなくてはいけない神力は1千を超える。

 高レベルの技能となれば、1万を超えてきた。


 ショートソード1本得るのに、神力5千。


 種族を人間ではなく、ハーフエルフにするには3万。

 ハーフエンジェルにするには5万の神力を要求された。

 

 さらに説明では、ゲーム内では神力は何ら強さに関係がないと。

 強さが欲しければ神力を消費しろと言わんばかりな仕様だ。


「ラグナロク内で神力を得られるとはいえ、ここで神力を消費するのは馬鹿がすることね」


 ミカエルのキャラメイクは決まった。


♦♦♦


名前:ミカ  性別:女  年齢:20歳  神力:20万  レベル:0

種族:人間

闘気:0

魔力:0

技能:0

カード:

装備:布の服 布の靴

レアアイテム:白花


♦♦♦



 名前をミカ、年齢は20歳。そして特典の「白花」だけを持って、彼女はルーン王国王都テラに降り立った。


 大天使ミカエルは考える。

 ここで消費された「神力」はどうなるのか。

 ゼウス様が戯れで創ったゲームとは、いったい何が目的なのか。

 慎重に行動する必要がある、と。


 大天使ミカエルの考えは正しい。

 しかし、彼女は古くから天使として生きてきた。

「ゲームの要素」というものが、どのようなものなのか……彼女には想像することができなかったのである。


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