初バトル
「ん~」
俺は目を覚まして大きく伸びをする。
「……朝か」
昼かもしれないが。
「お兄ちゃん? おはよぅ」
リィナが目を覚ました。まだ寝ぼけてるようだが。
「リューヤ? おはよ……」
姉ちゃんはもっと寝ぼけてるし。
「二人共しっかりしろ」
よいしょ、と二人を抱え上げる。
「「っ!?」」
二人は目を見開いていた。……起きたっぽいな、何でかは知らないが。
「お兄ちゃん、降ろして?」
リィナに言われて降ろす。
「んじゃ、メシ食ったら次は準備運動かね」
よっと立ち上がって言う。
「……フィールドに出るの?」
リィナが不安そうに言う。
「ま、のんびり難易度の低いとこから行くし、大丈夫だろ」
笑って明るく言う。
「だといいけど」
姉ちゃんは冷静に言う。
「んで、一番難易度の低い場所ってどこだ?」
全然知らないんだよな、そういうの。
「一緒に行くわよ」
「えっ?」
「うん。三人なら大丈夫だよ」
リィナもかよ。
「別に来なくてもいいんだぞ?」
ってか、俺的にはちょっと来て欲しくない。危険だし。
「夜中、眠れなかったからリィナと話したのよ。私達も戦うって」
「うん」
……決意、固そうだな。
「しょうがないな。二人共、絶対死なないこと。それが条件だぞ」
「うん。お兄ちゃんもね」
「わかってるわよ」
二人共了解してくれた。
「んじゃ、行くか」
俺は言って、宿を出てフィールドに向かった。
▼△▼△▼△▼△
「あいつはどうだ?」
「うん。お兄ちゃん一人でも多分大丈夫だよ」
よしっ。
俺はリィナから許可を貰い、俺の『索敵』で発見した、百センチ程の身長しかないゴブリンを狙う。右手に棍棒を下げていて、ボロい服を纏っていた。
「まずは魔法からだな。【ファイアボール】」
杖をかざしてそう唱えると、杖の先から火の玉が飛んでいった。
黒魔法は最初、ボール系の魔法しか使えないからな。
「ギギィ!」
直撃した。そして、ゴブリンが俺に狙いを定めて駆けてくる。……ドスドスと。
「何か、隙だらけだな」
動き遅いし。
「【アイスボール】」
今度は氷の玉を放つ。突っ込んでくるゴブリンの顔面に直撃した。……可哀想になってきたな。
「【サンダーボール】」
雷の玉を放つ。やっとHPが半分を切ったな。意外と体力があるのか、俺のINTが低いのかは知らないが。
「そろそろ剣使うか」
満遍なく使わないとな。
俺は腰の片手剣を抜いて怯んでいるゴブリンを斬る。
「はっ」
……強いな。一撃で全体の四分の一ぐらい喰らわせたぞ。
「ギッ!」
「おわっ!?」
ゴブリンが反撃してきたので、一歩下がって避ける。……のはいいが、棍棒を振ったゴブリンがよろけていた。ホントに簡単なフィールドなんだな。
「よっと」
思わず、蹴りを入れてしまった。
「ギッ」
「らっ!」
吹っ飛んだゴブリンに追い討ちとして殴る。
「ってぇ~」
殴った俺が痛かった。堅いな、ゴブリン。
「はっ!」
殴る蹴るじゃ威力は弱いので、仕方なく剣で斬った。
やっとHPが真っ白になり、消えていった。
「……ふぅ」
やっと倒せた。
「おめでとう、お兄ちゃん」
「初勝利ね」
二人が後ろから駆け寄ってきて、俺に祝福の言葉をくれる。
「結構強いのか? 倒すのに時間がかかったぞ」
弱いから三回くらいで倒せると思ったのに。
「ううん。一番弱いよ。でも、体力だけ高いから、初心者が狩るには最適なモンスターなの」
なるほど。体力がある代わりに他が低い、と。
「攻撃されてもあんまり喰らわないってことか」
とりあえず、ゴブリン一体はどんな金額が貰えるのか調べとくか。
そう思ってステータスウインドウを開く。
「おっ?」
新しいスキルが追加されてる。
「どうしたの?」
「新しいスキルをゲットした。『殴術』と『蹴術』だってさ」
殴ったのと、蹴ったから増えたんだな。
「ああ、お兄ちゃんってば蹴ったり殴ったりしてたもんね」
殴ったり蹴ったりすると貰えるスキルなのか。こりゃ、色々試してみて、スキルを多くゲットした方がいいかもな。
「経験値が多いヤツってどいつだ?」
ゴブリンは稼げないし、経験値もいまいちだ。
「う~ん。多分、キングアントだけど、ボス級だから無理だし、お兄ちゃんならビックボニーかな」
ビックボニー。でかい猪だろうか。
「あっ、いたわよ。今回は剣だけでいった方がいいわよ。危なくなったら助けるから」
「わかった」
油断は出来ない相手だよな。
「って、でかいな」
二メートル近い巨体だった。これでボスじゃないんだからびっくりだ。
「ブフー!」
鼻息を荒くして俺に突っ込んでくる。もうバレてるし!
「っと」
直進だったので転がって避けた。危ない危ない。
ビックボニーはザッザッ、と前足で地面を掻いてスタンバイしている。
ガチで、モン◯ンのドスファンゴだな、こりゃ。
「ブヒー!」
「おっと!」
またもや避ける。攻撃出来ない。
「ったく! 【ファイアボール】」
仕方なく、杖を持って魔法を使う。遠距離でも、少しずつダメージを与えないと。
「ブヒッ! ブルルル……!」
攻撃を受けて、怯んだのか頭を振る。
「もういっちょ! 【サンダーボール】」
バチッ。魔法一発で十分の一ぐらいのダメージだということがわかった。あと八回当てれば倒せる計算だ。
「ブヒー!」
今までよりも勢いよく突進してくる。
今回は避けて剣で攻撃しようと思い、ギリギリで回避し、ビックボニーの方を向く。
と、ビックボニーが止まってこっちを向いていた。
「っ!」
ヤバい!
「ブホッ!」
ビックボニーが突進してきて、牙で俺をかち上げた。
「っは!」
HPが半分も減った。ヤバい。これはどうやって勝つんだろうか。
地面に叩きつけられて、ビックボニーが追撃するようにこっちに向かってくる。
「【アイスエッジ】!」
その時リィナの声が聞こえ、氷の刃がビックボニーに五個ぐらい当たって、残りの八割が一気に三割ぐらいになった。
「【ヒール】! 【スラッシュ】」
姉ちゃんが俺に回復呪文をかけ、そのままビックボニーに刃渡り三十センチ程のナイフで横一閃に斬りつけて、ビックボニーが消えていった。
「二人共、強いな」
その光景を見て、俺は呆然と呟いた。
ゴブリンの身長が百メートルになっていました!
注意されてやっと気付きましたが、百メートルと百センチでは全然違いますね。
すいません。注意してくれた方、ありがとうございますm(__)m