グランドクエスト対策会議
遅くなりました
白い光のような陽光が照り、窓から光を招いた。
「……ん」
俺は小さく吐息を漏らすと、意識が浮上してくるのが分かり、重い瞼を持ち上げて目を開ける。
……朝か。
俺はボーッとする頭でそう思うと、ハッとして勢いよく起き上がる。
「……昼かよ」
タンスの上に置いてあるデジタル時計の時刻を見て、ヤバいと思う。
モルネと共にアンドゥー教が支配する国を滅ぼした訳だが、その後一日中部屋でまったり過ごしていた。久し振りの休日を味わったような気分だ。
部屋でアルティとごろごろしていると、アリシャから連絡が来た。
『……第二グランドクエストが発生した。明日ギルド本部に集合』
とのこと。
ギルド本部ってのは、クエストを受けたりギルドを結成したりメンバー加入をしたりするギルド集会所の本部だ。
大きな会議室があるので、エリアボスも手強くなってきてその攻略会議をしたりと、重宝している。
第二グランドクエスト対策会議でもやるんだろう。
……集合は午前十時とのことだった。
「……完全に遅刻じゃねえか」
二時間の寝坊になる。始まりの街からは遠いが、まあ街と街を繋ぐ転移ゲートを使えばギルド本部まで一瞬だ。
それでも遅刻なのには変わりはない。
「……アリシャに連絡入れとくか」
俺は遅刻の連絡をしようと思いベッドから出て立ち上がり靴を履いて、ようやく気付く。
「……アルティ?」
一緒に寝ていたアルティがいなかったのだ。
おそらく女将の所にいるんだろう。妙に懐いてるし。
俺はそう思って、部屋にある椅子にかけてあるロングコートを羽織り、マフラーを巻く。
俺は部屋を出て階段を降り、一階の食堂へと向かう。
「キュウッ!」
受付のカウンターの上に座るアルティがちっちゃい手を左右に振っていた。
「……アルティ。今日はアリシャんとこ行くから早起きするぞって言っただろ?」
俺はジャンプして俺に引っ付いてくるアルティに苦笑して言った。
「……寝かせといていいって言ったんだよ。連絡はしておいたよ」
女将がカウンターの向こうで腰に手を当てて立っていた。
「……連絡してくれたのは有り難いが、起こしてくれた方が良かったな」
寝かせてくれたのも有り難いんだが、昨日ごろごろしたからもういいんだよな。
「そうかい? ま、ならさっさと行ってきな」
女将は悪びれもせずにヒラヒラと手を振って受付奥の厨房へと去っていった。
「キュッキュー」
アルティがブンブン手を振っていた。いってきます、と言うことだろう。
「……んじゃ、行くか」
俺はアルティを抱えたまま、宿を出て転移ゲートの方へと向かった。
……姉ちゃんとかリィナから、女子との約束には遅れるな、って言われてるんだけどなぁ。
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剣や盾が壁に飾られ、時には絵を飾ってあるギルド本部廊下を突き進み、重々しい黒く両開きの扉の前に着いた。
会議室、と書かれた札が扉の横にあるので、間違いないだろう。
アルティは俺の肩の上で大人しくしている。はしゃいだのを注意したからだろう。
俺は取っ手を掴み引き寄せるように開いていく。
光が差し込んできて眩しくなり目を細めるが、構わず進んでいく。
部屋に入った所で目が慣れたのか視界が明瞭になり、背後でゆっくりと閉じた扉が重厚な音を立てる。
天井が半球になっており、そこはガラス張りだ。だから昼の今では眩しいのだろう。
会議室の壁にも剣や盾、絵画が飾られている。
会議室中央には円卓といくつかの椅子があり、椅子には知った顔が座っている。
最大の人数を誇るギルド『軍』のマスターを務める、険しいような不機嫌そうなイメージを受ける渋面をし、鋼色の金属鎧に身を包んで、腰に大きな盾と騎士剣を下げているおっさんーーメッシュ。
その背後には、全身を甲冑で包んだ副マスターが控えている。
マスター自らが善人に声をかけて結成した魔法と武器攻撃両立ギルド『ナイツ・オブ・マジック』のマスターを務める、柔和な笑みを浮かべた騎士鎧に紺色のマントを羽織った好青年ーージュンヤ。
その背後には、二丁の魔銃を腰に下げたとんがり帽子にローブと言う魔女風な格好をした美人ーーメナティアが、副マスター兼妻として控えている。
ジュンヤとメナティアの結婚式には呼ばれた。ブーケトスはアリシャが受け取ってたな。
十代女子に限定した少数ギルドとなる『戦乙女』のマスターを務める、長い金髪に碧眼をした軽装備で腰に短剣を下げた美少女ーーリーフィア。
その背後には和服で腰に日本刀を差した美少女ーー千代が控えている。
忍者や忍者になりたい者を集めた忍者集団ギルド『SASUKE』のマスターを務める、顔に傷がある強面忍者ーーエアリア。
その背後には、同じく忍者服を纏ったピンク色のポニーテールにピンク色の瞳をした美人ーーアリアが副マスター兼彼女として控えている。
二人はまだ結婚していない。聞くと、エアリアが「……俺だけ死んで未亡人にさせるのは忍びない。忍だけにな」と面白くもないギャグを交えつつ言ったらしい。
マスターの一人以外全員女性と言うハーレムギルド『一夫多妻』のマスターを務める、金髪金眼をした白いロングコートから始まる白ずくめな美少年ーーシンヤ。
その背後には、黒いポニーテールに黒い瞳をして黒いゆったりとした和服に身を包んだ美女ーーラーシアが控えている。
近接命の戦闘狂が集まった半犯罪ギルド『狂戦騎士団』のマスターを務める、黒い短髪に黒い濁った瞳をしたボロボロの軽装備を身に纏った少年ーーベルセルク。
魔法攻撃命の戦闘狂が集まった半犯罪ギルド『暗黒魔術師団』のマスターを務める、長い紺色の髪に赤い瞳をしたローブに髑髏の髪飾りを着けた美女ーーツァーリ。
エルフかダークエルフで女性のテイマーとサモナーだけを集めたギルド『双子のエルフ』のダブルギルドマスターの一人、黒い長髪に黒い瞳をした黒いマスターを主とした黒い格好をしているダークエルフのテイマーの美少女ーーエフィ。
『双子のエルフ』のダブルギルドマスターの一人、長い浅色の髪に紫の瞳をしたモコモコした白い服を着ているエルフのサモナーの美少女ーーナーシャ。
最近ペアを組んでいると言う、短い茶色のミニツインに茶色の瞳をした緋袴に白装束と言う巫女服の『魔砲』使いの美少女ーークイナと、茶色の髪と瞳をした魔法少女っぽい格好をしている『魔装』使いの美少女ーーリーファン。
糸目ポニーテールに和服のソロプレイヤーの青年ーーセンゾー。
暗い雰囲気を醸し出すローブを羽織りフードを目深に被った鎌を背負うソロプレイヤーの少年ーーメア。
小さい鎧とトップスとボトムスに身を包んだ黒髪黒い瞳をした無表情な美少女ーーアリシャ。
白い武道着を着たモルネ。
トッププレイヤーが勢揃いしており、円卓にある椅子は一つ、空いていた。
俺の席だろう。
全員が俺に注目する中、俺が空いていた席に腰かけた。




