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Infinite Abilities Online   作者: 星長晶人
幻想世界の異常編

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教祖出現

 俺がモンスターを引き連れて進撃を開始し、立ち向かってくるヤツは倒していた。


 二つ目の壁を破壊しようかと言う時、貴族を守るためにいたらしい騎士達が出てきて、果敢にも応戦してきた。……問答無用に倒したが。


「【エクスプロージョン】」


 俺はアルティの背に乗ったまま左手を伸ばし、魔方陣を描いて赤い球体を放つ。壁に着弾して爆発するが、焦げ跡がついただけだった。


「……なるほど。【フレアエクスプロージョン】」


 俺は【エクスプロージョン】で壊せない強度だと分かり頷いて、その上位の魔法を試してみる。魔方陣を描き特大の紅い球体を放つ。


 【エクスプロージョン】よりも強く激しい爆発が着弾と共に巻き起こり、壁に穴を開けた。穴の周囲はヒビ割れて今にも崩れそうだ。……下の方を攻撃してれば崩せたかもな。真ん中より上を狙ったのは間違いだったか。


「……はぁ。まあいいか。進撃、再開だ」


 俺はため息をついてから皆に指示する。


 各々光線やらを放ち、あっさりと壁は破壊される。……俺の立場ないな。一応主人なんだが。


 俺は誇らしいと思う反面、自分が情けないと思い複雑だった。


「……多いな」


 俺は壁内にいた騎士達を見て呟く。何十といる。どうやら、貴族や王族を守るために多くいるらしい。……その結果、壁の外のヤツが殺されようともな。


「侵入者確認! 迎え討て!」


 先頭のヤツが号令を飛ばし、一斉に襲いかかってくる。……意外と忠誠心高いな。こんな貴族でも金払いはいいし、金に目が眩めば従う、か。哀れだな。心から忠誠を誓っているヤツがどれだけいることか。


「……やれ。死なない程度にな」


 俺は冷酷に呟く。


「……【一斉攻撃】」


 向かってくる騎士達に向かって、ではなく、貴族が住む街に向けてレーザーを溜める。


 そして、放った。


 様々な色の光線が空に輝く。


 貴族の家は数件が破砕し、悲鳴が聞こえる。……腐れ貴族は別にいいよな? 殺しても。


 俺が暗い感情を抱いていると、反対側の壁が破壊音の後に崩れ去るのを見た。……長達の襲撃だな。


「伝令します!」


 伝令兵の役割らしい一人の騎士がガチャガチャと鎧を鳴らしながら俺達の攻撃に唖然としていた先頭の騎士に駆け寄る。


「反対側の壁にも襲撃者が現れました! 数は約四十! ヤツら、武器もないのに素手で壁を! 信じられない強さです! 赤髪をした老若男女です!」


 ……やっぱ強いじゃん、アスラリアス。


 俺はとりあえず陽動は成功したかと安心する。


「くっ! まさか、あいつらが動くとは! 教祖様に伝えろ! それと半数の騎士を向かわせる! 行け!」


 先頭の騎士は団長とかそう言う役職らしく、素早く指示する。


「させるかよ。やれ!」


 俺達はさらに進軍する。陽動が最後まで効果を持つように。


 騎士の多くを薙ぎ払い、進んでいく。……伝令は逃がしたか。まあいい。騎士を送る暇さえ与えねえ!


 情け容赦なく薙ぎ払う。遂に貴族と王族がいる区域に入り、建物を壊し、瓦礫へと変えていく。豪勢なだけの邸宅なんざ、ぶっ壊していいだろ。


「リューヤ!」


 人数を減らせたおかげかもうここまで来た長が声をかけてきた。


「よっ。犠牲者はいないか?」


 俺は軽く手を上げて言う。


「……ああ。それより、凄いな」


「ああ。俺の自慢の仲間だ」


 長はモンスター達を見て驚いていた。俺はそれに軽く答える。


「そうか。あとはアンドゥー教とやらだけだな」


 長が言うので、俺は頷く。……教祖ってヤツもいるらしいしな。まだまだ気を引き締めないと。


 俺は真剣な顔をして、一際大きい王族の城を睨む。あそこを落とせばいいのか?


 ちょっと自信がない。


「はーっはっはっはっは! よく来たな! 冒険者とアスラリアス!」


 俺が睨んだ城の上空、国中に響き渡る声が聞こえた。


「我が名はアンドゥー教教祖、コケッティ・コケトリオⅢ世だ!」


「なっ!」


 俺は驚きに目を見開いた。そいつが、子供だったからだ。


 子供としか思えない程の背丈に生意気なだけの瞳。しかし黒いロングコートを着ている。頭は鶏のトサカのようにモヒカンだ。


 ……名前も髪型も鶏っぽいのに、飛んでるのか。


「教祖様……!」


 騎士や貴族が教祖様と呼び、感極まって震えている。……いや、名前ダサいし子供だぞ?


「あいつが教祖か!」


 長が教祖を睨んだ。


「さあ、神の力を承る俺の力、見せてやろう!」


 教祖は両腕を大きく広げる。ニヤリとした笑みを見せて。


 するとっさらに教祖の上空に、歪みが出来て、ゴロゴロと雷が鳴る。嵐の前のように空が暗雲に覆われていく。……何だ? この嫌な感じ。


 歪みが酷くなり、ブラックホールのような黒いモノが渦巻いた。


「まずいわ! あれは幻想世界とこっちを繋ぐゲートよ!」


 バジリスクが叫んだ。


 ……幻想世界だって? 確か、シルヴァの母親のバハムートがいたって言う魔物の世界だよな?


「……グルルル」


 アルティがそのゲートを睨んで唸っていた。いや、アルティだけじゃない。他の皆もいきり立っている。……あの向こうにヤバいのがいるってことか?


 考えてみれば、これは第二グランドクエストが発生するクエストだ。


 第一と第二に繋がりがあるなら、幻想世界では落ち着いて産卵も出来ないからこっちに来たと言うバハムートの言葉から、幻想世界に何らかの異変が起こっていると推測出来るし、実際に起こってるんだろう。それと繋がりがあるこのクエストで、ヒントが得られない訳がない。


 ーーとすると、第二グランドクエストは幻想世界の異変調査みたいな感じなのか。


「そうだよ、幻想世界と人間界を繋ぐゲートさ! さあ、反乱を成功させたいならこいつらを倒してみなよ!」


 ゲートから、黒い影が降りようとしていた。

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