ダークネス・ブラックグリフォンとのバトル
かなり遅れてしまってすみませんm(__)m
更新が遅くなっていますが、出来る限り早くしたいと思います。
「……ダークグリフォンか?」
俺はモンスターを見て自信なく言う。
ダークグリフォンはグリフォンーー鷲の頭と翼に獅子の身体を持つーーの闇属性バージョンだが、こいつはダークグリフォンに似ているものの、頭が二つあり、尾が蛇で三つあった。
名前表示はダークネス・ブラックグリフォンだ。
「……ダークグリフォンの上位モンスターか」
軽いボス級モンスターに相当するかもしれない。レベルは四十辺り推奨ってとこか。
「……アルティ。しっかり掴まってろよ」
俺はアヴァロンソードとブレード・オブ・ロッドを構える。
「俺も、ボス級相手にちゃんとやれるか試してみたい」
最近はシルヴァやアルティ達、他のプレイヤーと協力して戦っていたので、俺一人で戦うことが少なくなり、本当に強くなっているのか疑問だった。
……一人で戦うのは、白蛇以来だな。
無限迷宮では、最近テイムモンスター達とコンビで行くことが多くなり、レベル上げに勤しんでいた。
「……」
アルファ・ディ・ベルガリエはアリシャに預けてある。
アルティの力は借りず、一人で戦う。
『ドラゴンフォース』、『竜紋』は使わなくても、レベル差のおかげで勝てるだろう。
武器も最上位のモノではなく、魔法戦士としての本領を発揮出来る装備だ。
デスゲームなのに嘗めてると言われれば言い訳にしかならないが、武器やスキル便りでは勝てないことがある。それに対応するためにも、必要なことだ。
これは、現実でも戦闘を行っていたエアリアとセンゾーに言われたことだ。
IAOの中では現実離れしたスキルや武器が使えるが、それは本当の自分の力ではない、と。
もっとも、IAOの世界で常識のモノとなっている魔法は例外だと言っていた。……そこの匙加減がよく分からない。
「……まあ、俗に言う縛りプレイに近いんだろうが」
極端に言うと、魔王を倒した伝説の装備を持つ伝説の勇者が、最初の方に出てくるスライムに全力の奥義を放つようなものだ。
……それはさすがに例えが悪いな。俺とこいつにそこまでの差はない。
勇者が道中で倒した中間くらいのボスと戦うくらいか?
まあ、例え話はいい。俺が勝てばいいだけだ。
「じゃあ、いくぜ!」
俺はダッシュして距離を詰める。
「グガアアアァァァァァ!」
敵の右の首が光線状のブレスを放ってくる。
「っ!」
俺は溜めの時から動き始めていたので、完全にそれを避ける。
「【ホーリーブレード】! 【聖突剣】!」
ブレード・オブ・ロッドに聖属性の刃を出現させ、聖属性の突きを放つ。
「グッ、ガアアアアァァァァァ!!」
それを喰らって、しかし体勢は崩さずに爪で反撃してくる。
「チッ」
俺はそれを剣を交差させてガードするが、少し下がってしまう。
「ガアアアアァァァァァ!」
左の首が、トゲをいくつも放ってくる。
「頭で攻撃が違うのか!」
俺は危機を感じて、後ろに跳んで距離を開け、飛んでくるトゲを剣で相殺する。
「……ふぅ。厄介だな」
……となると、真ん中の首にも何かあると思った方がいいな。
「グガアアアァァァァァ!!」
考えていると、左右の首が交差するように攻撃を放ってきた。
「っと」
あまり射程距離はなかったので、避けられる。
……? おかしいな。何で真ん中の首で攻撃してこない? 俺は真正面に立ってたんだ。真ん中の首で攻撃すればいいのに。
「ーーグガッ!」
そう思ってたら、真ん中の首が黒い球体を放った。
「ボール系? いや、それにしては遅い。ボム系か!」
俺はゆっくりと向かってくるそれを、慌てて避ける。
それはさっきまで俺がいた場所で、爆発する。……危ない危ない。あんなの喰らったら、ただじゃ済まないぞ。
「……少し危険だが、仕方がない」
俺はダークネス・ブラックグリフォンに向かって駆ける。
「グガアアアァァァァァ!!」
左右の首が交差するように攻撃を放ってきたが、それをスライディングで前に出てかわす。結構角度があるので、低く前に避ければいい。
「っ!」
真ん中の首が俺を見ていたが、ボムは放たず、右手で攻撃してきた。
さすがに、自滅する気はないようだ。
「くっ!」
俺は左前足を斬る。それで体勢を崩した敵の、振り上げたままの右前足を斬ってさらに追撃する。
「【ツインスラッシュ】!」
両手を一閃して腹を斬り、勢いを利用して後ろへ駆け抜けた。
「グガアアアァァァァァ!!」
怒って咆哮するが、三蛇と契約した俺には効果がない。
「は?」
次の行動を見て、俺は間の抜けた声を上げる。
バサバサと翼を羽ばたかせ、俺を睨み付けながら上昇していく。
……何をする気だ?
「グガアアアァァァァァ!!」
敵は回転しながら突撃してきた。
フレイのスキルにもあったな。確か、ゴールデンフェニックスダイヴだったか。ってことは、ダークグリフォンダイヴとか?
……避けるにも、横や下は厳しい。軌道修正されるかもしれないからな。
「上か」
ギリギリまで引き付けて、ジャンプする。ついでに翼を斬れれば完璧。
「……」
あともう少し。
「……」
今だ!
「グギャアアアアァァァァァァァァァ!!!」
ジャンプしようと思ったら、誰かが横からダークネス・ブラックグリフォンを蹴り飛ばした。
モルネという名前の、長い綺麗な紅い髪に、白目が黒、黒目が紅い瞳を持つ、ただの布切れのような服を着た、おそらくはホビットの美少女だった。




