白蛇様の本性
三人称視点になります。
「話とは何ですか?」
白蛇は首を傾げて聞く。
「……惚けるな」
リューヤは三人が去ったのを確認して、鋭い声を出す。
「何のことでしょう?」
わからない、という風な白蛇。
「わかってるんだろ? 俺が、お前があいつらの両親をメドゥーサに殺させた張本人だってことに気付いてるって」
「……おやおや。何の話かと思えば。私は彼女らに救いの手を差し伸べたのですよ?」
自分を疑うことは何もないと言いたそうな態度だった。
「……だから、だろ。お前は幼い頃から才能のあったあいつらを自分のモノにしようと考えた」
三人から両親が殺された時の話を聞いていたリューヤは、それを元に推理していく。
「そこで、メドゥーサに命じて両親をあいつらの前で殺させた。絶望したあいつらに救いの手を差し伸べることで、自分の言うことを聞く道具の完成だ」
「道具だなんて。私は彼女らを想って行動したのですよ?」
「嘘つけ。お前はあいつらの親への想いを利用し、蛇神にしてから復讐を遂げさせることで、虚無感を生み出させた。復讐に生きたあいつらは何もなくなり、お前のいいように利用される下僕と化す」
リューヤは白蛇を睨む。
「……証拠はあるのですか?」
リューヤは内心ほくそ笑み、それを言ったら犯人だろ? と心中で呟いた。
「まあ、まずはその仮面が張り付いた本性から現させてやるよ」
リューヤは素早く駆け、白蛇の近くに来る。
「っ!?」
「……タッチ」
いきなりの行動に驚く白蛇だったが、リューヤはニヤッと笑って頭に触れる。
「っ! 穢らわしい人間風情が、この私に触るなああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
叫び、白い大蛇でリューヤを吹き飛ばす。
「……けほっ。ほーら、醜い本性が露になったぜ?」
「貴様……!」
白蛇は柔和な笑みを浮かべていた先程とは違い、怒りの形相でリューヤを見ていた。
「はっ! その醜い本性であいつらの親を殺させたんだろ?」
リューヤは嘲るように笑って言う。
「……そう。私があいつらの両親を殺させたんだよ。私が命じたとも知らず、私を信用しきるあいつらを見て、何度笑いそうになったことか」
狂気に囚われたように歪に笑う白蛇。
「やっと現したな」
「それで? 貴様はどうするつもりだ? 今更私の本性をあいつらに告げたとして、信じると思うか? 否。すでに私の道具だ。神喰らって至高の力を手に入れるための、な」
もう隠そうとはせず、話していく白蛇。
「……その前に貴様殺してやろう。私からあいつらを奪いたくて気が立ち、私に襲いかかったとでも言っておくか。絶望するだろうな。一夜を共に過ごした男が自分達の恩人を襲ったなどと」
クククッ、とそれを想像して笑う白蛇。
「……残念だが、それは出来ない相談だな」
「何?」
「お前はここで俺に殺されるからだ」
「くっ、ははっははははははははっ!!」
リューヤの言葉に、白蛇は高笑いする。
「貴様ごときの人間が、この私を殺すだと? 冗談程々にしろ。第一、そんなことをしてあいつらがお前を許すと思うか?」
「まあ、許さないだろうな。だが、それでも俺はお前を許さない。……俺は嘘はつくが、冗談はあんまり言わないんだよ。それに、お前ごときなら、余裕だ」
「っ! なら、やってみるがいい!」
白蛇の姿が変わっていく。
美女だった本体は超巨大な白蛇となり、連れていた白い大蛇が無数に出現した。
「……」
「私の真の姿、冥土の土産にやろう」
シュー、と音を立てて息を吐く。
「……こいつは、全力でやらねえと死ぬな」
リューヤは白蛇を頭上にある五本の長いHPバーを見て言う。
「……冥土の土産だ。これを見て生きていたヤツはいねえよ」
リューヤは白蛇を真の姿を見ても、焦らなかった。
「……『ウエポンチェンジ』」
リューヤはそれを出現させる。
リューヤの両側、肩の高さ辺りに浮くモノ。赤黒い血のような色をした巨大な大砲である。しかしトリガーはなく、砲身のみで出来ているようだ。長さは三メートル程。
これが現時点で最強の武器、アルファ・ディ・ベルガリエーー『バハムートの襲来』のMVP報酬、超古代兵器である。




