メドゥーサ討伐
勢いで書けたので、二話更新します。
「……」
俺は恥ずかしさで一杯だった。
……渋っておきながら意外と乗り気だった自分に。
「早速白蛇様の所に行って神格を得るわよ」
どこか晴れやかに見える顔でバジリスクが言う。
「……ん。それより、リューヤが凄かった」
ヤマタノオロチが頬を染めながら言う。
「リューヤさん、素敵でしたよ?」
ナーガまでもがそう言った。
「……いいから、白蛇様に神格とやらも貰いに行こうぜ」
俺は話を逸らすため、白蛇様のいる所に向かった。
▼△▼△▼△▼△
「……ここか」
白蛇の泉と呼ばれる場所らしい。
「白蛇様」
ナーガが泉に向かって呼びかける。
泉は森に囲まれていて、水の色は白く濁っているが、神々しい光を放っていた。
「おや。その者と契約したのですね」
スーッと、白い法衣のようなものに身を包んだ、白髪に紅い眼をした美女が水面に現れた。白い巨大な蛇を伴って。
「っ!」
俺はそいつを見た時、反射的に身構える。
「リューヤ?」
こいつからは、底知れないモノを感じる。俺の勘が告げている。こいつはヤバい、不気味だと。
「どうされました?」
柔和な笑みを浮かべて白蛇が首を傾げる。
「……いや、何でもない。急に現れてビックリしただけだ」
俺は気のせいかと思い、警戒を解く。
「そうですか? それは失礼しましたね」
別段気にしていない風な様子だ。
「白蛇様。神格を授かりに来たのですが」
「はい。泉の前に膝を着いて祈りなさい」
三人は言われた通りに膝を着く。
三人は人の姿を取っている。
「~~~~~~~~」
白蛇は何事かを呟く。人の言葉じゃない。蛇語だろうか?
数瞬を置いて、三人の上から光が降ってくる。
「……これで神格を授かりました」
三人の格好が一新されていた。豪華で、綺麗な装備に。
「「「ありがとうございます、白蛇様」」」
三人は揃って白蛇に礼を言う。
「これであなた達は両親を殺した敵を討てるでしょう」
……真に優しいなら、復讐なんて勧めない。
白蛇には裏がある。
「メドゥーサはどこにいるんだ?」
俺は目の前に現れたウインドウを見て言う。
ーーーー『三蛇の巣窟』のクエストを達成しました。派生イベントクエスト『メドゥーサへの復讐』が発生しました。
三人の復讐に手を貸せってことか。
「今は廃れた荒野にいると思いますよ」
蛇の頂点だということは、メドゥーサの上でもあるということか。実力者は把握している、と。
「んじゃ、さっさと行こうぜ」
三人に言って、さっさと泉から離れる。
何より、白蛇に長く会っていたくなかった。
▼△▼△▼△
「あらぁ? 小娘共が何の用?」
廃れた荒野に行くと、髪の毛と下半身が蛇の女がいた。
「今日こそあなたを倒して敵を討ちます」
三人が変化する。
ナーガは上半身が人間の女で、下半身が紅い蛇。腰に飾りを付けていて、頭にも髪飾りがある。上半身は紅い布を巻いただけで、両手に真紅の双剣を持っている。
バジリスクは完全な大蛇のようで、頭に王冠のようなトサカがあるのも変わらない。だが、圧倒的に大きさが違った。かなり大きくなっている。
ヤマタノオロチは八つの尾と八つの頭を持つ大蛇で、大きさはバジリスクと同じくらい。
三人共でかくなっていて、長くなっている。
「……へぇ? 白蛇様から神格を貰ったんだ」
面白い、という風に笑うメドゥーサ。
メドゥーサは髪の毛の一本一本が蛇で、下半身も蛇だ。大きさは三人よりも大きい。
「ふっ!」
少し野太い声を出してメドゥーサが髪の毛の蛇を抜いてばら蒔く。
「「「っ!?」」」
それが一体一体バジリスク程大きくないものの、巨大な大蛇になる。
そして、禿げたメドゥーサの髪がすぐに再生する。
「……三人共。復讐に囚われて欲しくないが、メドゥーサは任せる。俺は周りの大蛇達を殺る」
「いいの? 数も多いし、一体一体が強いわよ?」
「大丈夫だ。何とかする」
「……わかった。そっちは任せる」
三人はメドゥーサと対峙する。
「へぇ? まあ、三対一なんて嫌よ!」
メドゥーサは大蛇達に命じて三人を襲わせる。
「『ウエポンチェンジ』」
そこに、両手に剣を出現させて割って入った。
「っ!?」
二つの剣は大蛇達を容易く両断する。
「……悪いが、邪魔はさせねえよ」
左手に聖竜剣・ホーリードラゴン。右手に闇竜剣・ダークドラゴンを出現させた。この二つを含む四剣は、長剣だが片手持ち両手持ちを切り替えられる。……まあ、片手持ちするにはSTRにしばらく極振りしなきゃいけなかったが。
「くっ! 人間風情め!」
「どう言おうが別にいいさ。勝ったら、な」
俺が言うと、三人が攻撃を仕掛けた。
ナーガが炎と共に双剣の乱舞を。
バジリスクが砂の竜巻三つを。
ヤマタノオロチが八つの口から波動を。
一斉に放った。
「っの!」
髪の毛を抜き、大蛇達を身代わりにしてそれを防ぐ。
「……まあ、俺達相手に勝てるとは思わないぜ」
こっちには、蛇神が三人もいるんだから。
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その後、一方的にメドゥーサは攻撃され、瀕死になっていた。
「ハァ……ハァ……! ククッ。まあ勝ち誇ればいい。私を倒した所で、お前達は報われない!」
「……」
メドゥーサはHPを真っ白にすると、狂気に満ちた目で言う。
「精々頑張って、復讐を遂げて何もなくなった蛇娘共」
メドゥーサはそう言い残して消え去った。
「……ふぅ」
俺は両手の剣を消す。
「……終わりました。これでもう……」
「寂しいけど……」
「……リューヤともお別れ」
三人は達成感と虚無感を織り混ぜた表情をしながら、言った。
「そうなのか?」
「はい。元々、メドゥーサに復讐するのが目的ですから。まあ、リューヤさんが困った時はお手伝いしますよ」
「夜の相手でもいいわよ」
「……契約は消えないから」
……俺の胸にはまだ、モヤがかかっていた。
メドゥーサの死に際の一言。そして、俺の勘が警戒する白蛇様。
「……とりあえず、白蛇様の所に行こうぜ」
俺は、ある決意をして言った。
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「メドゥーサを無事討伐したのですね」
白蛇の泉に行くと、白蛇が出迎えた。
「はい。復讐を遂げたので、洞窟でゆっくり暮らそうと思います」
「いいですよ。あなた達の力が必要になった時は、呼びますね」
相変わらず柔和な笑みを浮かべて言った。
「……お前らは行っていいぞ。俺はちょっと白蛇様に話がある」
「……そう。じゃあね、リューヤ」
三人は特に気にせず帰っていく。




