闇竜の咆哮
「ガアアアアァァァァァ!」
ダークドラゴンが黒いブレスを吐く。
「ゴアアアアァァァァァ!」
それをベヒーが口に黒いモノを溜め、放ち、相殺した。
今度はダークドラゴンが尻尾を振って近くにいる巨人達を薙ぎ払う。
「ハッ!」
スレイプニルが宙を滑空してダークドラゴンをランスで攻撃する。
スレイプニルは喋れるモンスターらしく、騎士のような性格だそうだ。
「キャウン!」
ケルベロスがダークドラゴンの爪による攻撃で吹き飛ばされる。
「キュイイイイ!」
「ピイイイイイ!」
サンダーバードの雷を纏った突進とグリフォンの風を纏った突進の、空からの攻撃だ。
「ガアアアアァァァァァ!」
しかし、それもダークドラゴンのブレスによって破られ、ダメージを負う。
「はっ!」
俺はダークドラゴンの後ろに回り、尻尾を斬りつける。
「グガアアァァァ!」
ダークドラゴンは怒って俺に尻尾を薙ぎ払ってくる。
「くっ!」
間一髪、飛翔して避けた。
「グガアアァァァ!」
そこにダークドラゴンのブレスが来るが、
「ガアアアアァァァァァ!」
アイスバハムートのブレスで相殺された。
「ありがとな! 【ドラゴンダイブ】!」
アイスバハムートに礼を言い、空から聖なる竜のオーラを纏ってダークドラゴンの頭を斬る。
浅く傷が付いた程度だったが。
「……ふぅ」
一旦距離を取る。
テイムバハムート、サモンバハムートはそこまで大きくない。が、竜の中では大きい方だ。
ダークドラゴンはバハムートと同じぐらいなんだが、巨人はもっとでかい。
それなのに、ここまで互角に渡り合えているのは、敵だからというだけじゃないハズだ。ダークドラゴンのステータスが高く、攻撃方法が多彩なことも含まれる。
「……攻撃高いって言ってたが、防御も相当だな」
聖竜剣・ホーリードラゴンでもあまり喰らわない。
「巨人をあの小さい腕で投げ飛ばすんだから、相当な筋力だろうな」
アイスバハムートでも押され気味だ。ベヒーなら張り合えるが。
「……遠距離もやってみるか」
T・Gか魔法、炎亀弓とアレか。
「……あんまり人前で使うもんじゃないし、アレは止めて、魔法だな」
INTを上げてるわけじゃないから威力は期待出来ないが。
「【レイレイン】」
『光魔法』の一つ。光の追尾機能付の細い光線をいくつも放つ。
「グガアアァァァ!」
ダークドラゴンのブレスで相殺された。
「【ライズボール】」
エフィの声が響く。ダークドラゴンが俺にブレスを放った隙を狙って、ベヒーが口から黒い球を作り、放った。
それは浮いていき、ダークドラゴンの顔面に命中する。
【ライズボール】は浮いて上がる球を放つアビリティで、属性は使う者に依存。プレイヤーだと武器や職業などで属性が決まるらしい。
「ガアアァァ!」
ダークドラゴンは怒って、しかし俺の方に進んでくる。
「っ!」
俺は驚いて、ダークドラゴンから距離を取る。
「グガアアァァァ!」
ブレスを上昇してかわし、尻尾を回転して避ける。
「エフィ! ナーシャ! 俺が引き付けてる間に攻撃してくれ!」
何故か俺だけを狙うダークドラゴンは、巨人やモンスター達を無視している。
「【ドラゴンウインド】!」
竜翼を羽ばたかせて、聖なる風を巻き起こす。
大して威力はないが、足止めには使える技だ。
「【ギガントナックル】!」
エフィが叫ぶ。巨人系共通のアビリティで、巨人のパワーを発揮して殴る基本アビリティだ。
「【一斉攻撃】!」
ナーシャが叫ぶ。ナーシャのモンスターの【一斉攻撃】はダイブ系。各々の属性を纏って突進していく。
「グガアアアアアアアァァァァァァァァァァ!!」
俺を狙っていたダークドラゴンは、それらの攻撃を全てまともに喰らった。
「……」
もしかしたら、宿敵である聖竜と間違えてるのか? だから仕留めようと、俺だけを追ってるとか。……まさかな。
「グ……ガァ!」
かなり堪えたようで、呻いて動きを止める。
「追撃するんだ! 【聖なる竜の一撃】!」
聖竜剣・ホーリードラゴン固有のスキル『聖竜剣技』。その中のシンプルで強いアビリティだ。
「「【一斉最強攻撃】!」」
エフィとナーシャが同時に叫ぶ。【一斉攻撃】は自分のモンスター達に共通しているアビリティをランダムで放つアビリティだが、【一斉最強攻撃】はモンスター達が持つ一番高い威力のアビリティを放つアビリティだ。溜めが大きいのが多いので、大きな隙がないと使えない。
俺はダークドラゴンに一撃喰らわせて、離脱する。
Infinite Abilities Onlineは仲間の攻撃はダメージを受けない。だが、当たりはするので、いると邪魔になるんだ。
「グガッ、ガアァ……!」
かなりのダメージを負い、よろけるダークドラゴン。HPは半分を切っている。
「はああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
追撃を加えるため、飛翔して低空飛行でダークドラゴンに一閃する。
「ガアアアアアアアァァァァァァァァァァァァ!!」
ダークドラゴンが咆哮する。
「くっ……!」
俺は動けなくなる。王者系のモンスターの咆哮の効果か!
「グガアアアアァァァァ!」
ダークドラゴンが動けない俺にブレスを放ってくる。
「……」
しかし、その間に進み出た者がいた。
レムだ。
「えっ……?」
レムは両手を広げて立ち塞がり、ダークドラゴンのブレスを正面から受けた。
ディフェンスに優れたモンスターは、音も防ぐアビリティも持つと言われる。それを使ったのだろう。
ーーレムのHPが白くなり、消えていく。




