リューヤの問答
遅れてすみません。
それはそうと、
新年明けましておめでとうございます。
今年もinfinite ability online にお付き合いしていただけると幸いです。
祝いとして二話投稿します。←大した祝いじゃないですね。
では、どうぞ。
「お前らな、そうやって人のせいにして喚いてんじゃねえよ。冷静に状況整理しろっての」
思いっきり怒鳴ってしまったので注目を浴び、さすがにハズいので頭を掻きながら言う。
『……君は、私を責めないのか?』
阿迦井が顔を上げて呆然としたように言う。
「ん? 別に。お前を責めたってどうにもならないだろ。ハッキング女は許せないが」
俺はともかく、姉ちゃんとリィナまで巻き込みやがって。
『……』
「んで、あんたに確認したいことがあるんだが」
『かまわない。それは、許されている』
許されている、ねぇ。
「一つ、マジでデスゲームになってんの?」
『ああ。信じられないなら適当に殺す、らしい』
「いいや。そこまでして確認することでもないしな」
俺はこの重い空気に合わないよう、少し明るく言う。
「俺達の生死は、ハッキング女に握られてるのか?」
『ああ。IAOのハッキングは、君達が使っているレクターから脳へ電流を流し、殺すことが出来ると言っていた。HPが0になると電流が流れる仕組みになっているとか』
ハッキング女が言ってただけで、確証はないのか。
「そんなことが出来るのか?」
『出来る。“乗っ取り女王”は、無差別に殺すことはしないらしい。HPが0になった時だけ死ぬ』
少なくとも、イタズラに殺されるってことはないか。
「あんたはハッキングされてる状態で、何で状況説明をしに来れるんだよ?」
『……ハッキングされ、“乗っ取り女王”は我々の前に姿を現し、こう言った。〈十万人の命が惜しければ、IAOの全システムを寄越せ〉、とな』
「っ! ……つまり、ハッキングされてからレクターを乗っ取った訳じゃなく、十万人の命を人質にした後、全システムをハッキングしたってことか」
それは、打つ手なしだな。
『我々は成す術もなく、ハッキングされるのを見ているしかなかった。そして、私がここにいる理由は、状況説明と謝罪を直接し、あの女と君達を会わせないためだ』
会わせないため、か。
「最後に一つ。難易度と脱出方法だ」
二つっぽいけどな。
「難易度の変更の有無と、どうしたら脱出出来るのか、ってことだな」
『難易度の変更はない。βテスターが体験した通りの難易度だな。脱出方法だが、全ダンジョンのクリアと、最終イベントクエストのクリア、大体はそんなところか。詳しいことは、徐々に伝えるらしい。フィールドはβテスト時とは少し変えたらしい。ボスモンスターの特殊攻撃の追加や、レアアイテムの追加などだ』
かなり、クリアが遠いな。
「……俺からの質問は以上だ。他に質問するヤツはいるか?」
大体の知りたいことは分かったし、もういいかな。
「あ、あの、外からハッキングして出られないんですか?」
一人の少女が挙手をして言う。
『出られないこともない。しかし、あの女に勝てるほどの技術を持った人がいれば、の話だがな』
ハッキングされたIAOを、ハッキングして取り返すってことか。
ん?
「お、お兄ちゃん。それなら大丈夫だよね?」
リィナが不安そうに言う。リィナも、俺と同じ人物を思い浮かべたらしい。
「阿迦井。一人じゃなくていいんなら、いなくもないぞ」
『っ! 本当か!?』
阿迦井は驚愕の表情を作って言う。
「ああ。井剣可奈、亜桐谷天利、シャルロット・リディアリア・クレイスの三人だ」
三人目はまんま外人だが。
『記憶した。しかし、本当に優秀なのか? 聞いたことのない名前だが』
やっぱちょっと疑うか。
「俺の高校が誇る、優秀な引きこもり達だからな。ネットじゃちょっと有名らしい。とりあえずは当たってみろ。俺の頼みだって言えば大体聞いてくれる。因みに、引きこもりだけあって、変人だからな、気を付けろよ。三人の住所は教える」
よしっ。少し希望が見えたな。
「お兄ちゃん、あの三人が協力してくれるかな?」
リィナはまだ不安そうだ。
「大丈夫だろ。無理でも、自分でクリアすればいい」
明るく笑って言う。俺は、ソロで攻略に向かうけどな。
「……うん」
まだ納得出来ないようだ。
『話はこれで終わりだ。あとは己が決めるがいい』
阿迦井は厳かに言った。
「ああ。じゃあな。また会おうぜ」
『……ああ。生きて、な』
阿迦井はその言葉を最後に、消えていった。
「なあ、姉ちゃん」
静まり返った広場で俺は聞く。
「IAOをソロでやるのは危険か?」
「「「えっ?」」」
俺が言うと、その場にいた全員が驚いていた。
「どうなんだ?」
「……難しいわね。でも、リューヤのステータスなら可能性はあるわ。難易度の低いフィールドでレベル上げをして、順に難易度を上げていく。それなら、ね」
俺が姉ちゃんに聞いた理由は、リィナは心配性だから嘘つくかもしれないし、姉ちゃんなら事実を言ってくれると思ったからだ。
「んじゃ、俺はソロでこのゲームを攻略する。皆は勝手に行動しろ。ここでクリアを待つのも良し。積極的に攻略するのも良し。自分で決めろ」
俺はそう締めくくって、広場を後にした。