バハムートの襲来後
新章ですが、後日談のようなものです。
番外編集ではなくて、攻略への大まかな流れですね。
番外編集とも言いますかね。
『バハムートの襲来』後、総合掲示板の前に人だかりが出来ていた。
ダメージランキングの結果を見るためである。
総合掲示板だけでなく、ギルド案内所のギルドランキングも今日はそれに変わっている。小さな掲示板にも人だかりが出来ていた。
ダメージランキング、一撃ダメージランキング、そして、総合でのMVPの三つと、抽選で選ばれる百人を見に来たのだ。もっとも、本人はもう貰っている。
ダメージランキングは以下の通りである。
第一位 リューヤ
二位 ツァーリ
三位 リィナ
四位 ベルセルク
五位 メア
六位 エフィ
七位 シンヤ
八位 ナーシャ
九位 センゾー
十位 エアリア
上記のプレイヤーには剣砲バハムートを配布。
半ば予想通りの結果だった。
一撃ダメージランキングの結果は以下の通りである。
第一位 リューヤ
二位 ツァーリ
三位 ベルセルク
四位 メア
五位 リィナ
六位 エフィ
七位 センゾー
八位 メッシュ
九位 リーファン
十位 シンヤ
上記のプレイヤーにはバハムートのアクセサリー一つ配布。
こちらも予想通りではある。
そして、最も注目されるMVP。
MVP リューヤ
上記のプレイヤーにはIAOで唯一無二の武器を配布。
こちらも、参加していたプレイヤーには予想出来たことだった。
リューヤはこの結果によって、IAO最強のプレイヤーとされるようになる。
『双子のエルフ』も人気が出て、エルフとダークエルフのテイマーとサモナーの女性プレイヤーが入り、トップギルドの仲間入りを果たしたことを記しておく。
だが、この日、転移の後解散してからリューヤを見た者はいなかった。
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「お姉ちゃん、お兄ちゃん知らない?」
「知らないわ。私も探してたんだけど」
リィナとフィオナは会ってリューヤを探していた。
「お兄ちゃんにランキング一位おめでとうって言いたいのに」
「そうね。それより、リィナもランクインしてたわよね、おめでとう」
「うん、ありがと」
仲のいい姉妹の姿がそこにはあった。
「おい、リューヤがもう攻略に出てるらしいぞ」
「マジか? グランドクエスト終わってすぐなのに、大変だな」
「新しい武器を試しに行ったんだろ。よくやるよ」
そんな会話が姉妹の耳に聞こえた。
「お兄ちゃん?」
リィナはすぐ近くの総合掲示板を見る。
掲示板には攻略状況も出る。エリアボス討伐がいい例だ。
攻略状況と表示されたその下に表示されているのは、
攻略状況
無限迷宮五階突破 リューヤ
無限迷宮十階突破 リューヤ
無限迷宮十五階突破 リューヤ
というものだった。
無限迷宮。それはグランドクエストが終了したことによって出現した。人が入る度に内部を作り変える生きた迷宮。階層は無限。十階毎にボスモンスターが待ち構えていて、五階毎に外に出るための転移魔方陣が設置されている。初突破の五階毎が攻略状況に表示されるらしかった。
「……リューヤ。また無茶してるのね」
「十五階程度なら大丈夫だと思うけど、大丈夫かな?」
二人は心配そうにそれを見る。
「探しても見つからないわけだわ。じゃあ、リィナまたね。リューヤが戻ってきたら三人で会いましょ」
「うん。またね、お姉ちゃん」
手を振り合って、姉妹はその場を離れ、二手に分かれた。
▼△▼△▼△▼△
「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!」
両手に剣を構えながら疾走するプレイヤーがいた。
リューヤだ。
「はっ!」
立ち塞がるモンスター、犬の骸骨を一撃で葬る。
「……ふぅ」
巨大な扉の前に来て、リューヤは一息つく。
「……」
リューヤは真剣な面持ちで扉を押し開けていく。
中にいたのは骸骨騎士。体長三メートル程の骸骨が鎧着込み、剣を持っている。
「アァ!」
骸骨騎士ことスケルトンキングはリューヤに向けて剣を振り下ろす。
「はっ!」
それを左手のアヴァロンソードで弾き返した。
「スケルトン相手には火、か。【フレイムソード】!」
リューヤはブレード・オブ・ロッドでスケルトンキングを真っ二つにする。
二十階のボスモンスター程度では、リューヤにとって雑魚モンスターも一緒だった。
「十階毎にモンスターの系統が違うんだな。アリシャに情報を貰っとけば良かった」
リューヤは道中骸骨達に追われたことを思い出してか、顔をしかめていた。
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「……アリア、このクエストはどうだ?」
「いいですよ。弟子達のいい訓練になると思います」
エアリアとアリア、それに忍者軍団が集会所でクエストを探していた。
「よしっ。では、今日はサバイバルウルフを狩って、終わりだ。……剣砲バハムートを貰ったのだが、どうすればいいんだ?」
「……忍者ですから、邪魔になるだけですよね」
弟子の一人が言い、
「俺も装備一式が当たりましたけど、鎧なんで使えないんすよ」
弟子のもう一人が言った。
「エアリアさんですか!?」
エアリアは五人の少年に声をかけられた。
「……そうだが?」
「俺達も弟子にしてください! 忍者になりたいんです!」
十代後半と二十代前半ぐらいの五人だった。
「忍者一筋でいいならな」
エアリアの一言で、五人は顔を見合わせて喜んだ。
「エアリア様。人数も増えましたし、今回順位に入って、弟子入りを志願するプレイヤーが増えるかもしれません。ギルドを作ったらどうですか?」
「そうだな。これが初期のメンバーになるが、どうだ?」
聞くまでもないくらいに、弟子達の顔は輝いていた。
「そうか。では、クエストの前に、ギルド申請をしに行こうか」
「「「はい!」」」
新規のメンバー含め、嬉しそうに返事をした。
この日、後にトップギルドとなる、『SASUKE』が誕生した。忍者一筋、シーフなどのメンバー募集と同時に。




