一体はなんとか
「……ふむ」
俺は四体の様子を見渡す。……結構いい勝負だ。
クリスタだが、鉄巨人と互角に渡り合っている。大きさ的には同じぐらいで、鉄巨人のパンチを氷の壁で防いだり、時には凍らせたりしている。
アルティは俺の仲間で一番強いと思ってるが、それに対抗する鉄獅子が凄い。アルティが影から刃を出して攻撃すると、鉄獅子も鋼の刃を出して対抗する。接近戦では、アルティを瞬、速度のモンスターだとすると、鉄獅子は剛、剛力のモンスターだろう。アルティがいくつか攻撃を与えても、鉄獅子の一撃でチャラにされる。見所のあるバトルだ。
リヴァアは正直少し不利だと思っていたが、激戦だ。九尾が口から鋼色の光線を放つと、リヴァアは口から水流を放って相殺する。九尾がその九本の尾を伸ばして攻撃してくると、リヴァアは水の鞭を作って防ぐ。
フレイは、どっちかというと余裕がある。蝶が攻撃してきても炎で相殺し、効果があるので、ダメージを与えられる。……何故かずっと全身に炎を纏ってるんだよな。
……リヴァアが一番苦戦してる、か。
「……いくか」
俺は目をスッと細める。
ちなみに、トップギルドの連中はちゃんとバハムートに挑んでいる。その他のプレイヤーもトップギルドに触発されながら、バハムートに挑んでいる。
「『ウエポンチェンジ』」
俺は駆け出して両手にツインフレア・オブ・チェンジエッジを呼び出す。
「リヴァア! 加勢する!」
俺はリヴァアに声をかけながら近づいていく。
「グガァ」
リヴァアは気丈に声を上げるが、HPもMPも減っている。……総合的に四体は偽物共に劣っているが、多数あるスキルで工夫をしているからこそ互角以上に戦えるんだ。
「……一番付き合い長いのはお前だな。コンビネーションを決めた時だってあったろ? だから大丈夫だ。二人でやろう」
俺はリヴァアに声をかける。
「……さあ、殺るぞ」
……俺も性格変わっちまったかな。今は、こんなにも冷めていやがる。
「グガアアアアアアアアァァァァァァ!!」
リヴァアの雄叫びを合図に、俺とリヴァアの共闘が始まった。
▼△▼△▼△▼△
「……グ、ガァ」
リヴァアが呻き声を上げる。……九尾を倒したものの、リヴァアが深手を負った。
「……ありがとな。もう休んでていいぞ」
俺はリヴァアをモンスターBOXに戻す。……また、助けるつもりが助けられたな。
「……んぐっ」
俺はHP回復薬とMP回復薬を何個か飲む。
「……ふぅ」
……どうしようか。他のヤツらも終盤に差し掛かってるが、フレイ以外ピンチだ。
「……リューヤ」
ん?
「あれ? エフィとナーシャじゃん。どうかしたのか?」
「あの、リューヤさんがキツいようなら手伝ってくれってジュンヤさんに言われたんだけど」
「キツそうに見える?」
「バッチリよ。……クリスタとアルティがピンチでしょ?」
まあ、そうだが。
「同時に二ヶ所も手助け出来ないんだから、キツいわよ」
「……ああ、悪いな」
今回は頼らせてもらおう。
「私達がアルティとクリスタに一人ずつつくから、リューヤはフレイについて欲しいんだけど、どう?」
「……何でだ?」
「えっと、私がクリスタくんにつくんだけど、相性的に、かな?」
相性?
「エフィのテイムモンスターにはパワータイプが多くて、私のサモンモンスターにはスピードタイプが多いってこと」
なるほど。
「でもそれなら、どっちかフレイ行ってもいいんじゃないのか?」
「……もしかして、気付いてない? フレイが全身に炎纏ってる理由」
……え?
「……はぁ。そんなことじゃ、デスゲームに食われるわよ? まあ、フレイが炎を全身に纏ってる理由だけど、あの蝶、鋼の鱗粉を常に撒き散らしていて、炎で全身を纏ってないと鱗粉が身体の中に入って中から鋼に変わって死ぬからよ」
っ!? そんな能力があるのか?
「私達二人には炎を纏えないから、いったら死ぬわよ?」
……だから、俺か。【紅蓮大帝】はこの前の襲来戦で見せたからな。確かに、俺が適任か。
「……悪いな。クリスタとアルティを頼んだ」
「うん、任せてね」
「……善処はするわ」
二者二様に答えて、モンスターを呼び出す。
「レムちゃん、ミニちゃん、イアンちゃん、ベヒーちゃん、お願い!」
ゴーレム、……小さいギガンテス(?)、アイアン・ゴーレム、ベヒーモス。
全長三メートル程の石像のような人型。
……全長三十センチ程のかなり小さいが、真っ赤な身体に筋肉隆々。腰に棍棒を差してある。
鉄巨人の縮小版だろうな。全長は三メートル程だ。
全長四メートル程の四足歩行に頭に捩れているが、大きく立派な角が生えている獣。
「……ホント、パワータイプだな」
どいつもこいつも一撃喰らうと痛いモンスターばかりだ。……ゴーレム系は守備も強いから、そこまでではないかもしれないが。
「【サモンウルフズ】、【サモンクロウ】、【サモンデビルジャガー】」
色はまちまちな狼の群れ。
カラスの群れ。
こいつは確かレアモンスターで、全身が漆黒の肉食獣だ。牙はサーベルタイガー並みで、白い。背に蝙蝠のような黒翼が生えていて、空を駆けることが出来る。
「……【紅蓮大帝・鬼】」
通常の【紅蓮大帝】が身体に炎を纏い、炎の魔神を背後に憑かせる。
だが、【紅蓮大帝・鬼】は、俺自身が炎の魔神を纏う。……【紅蓮大帝】は継続して使えない。一回一回の効果しかないんだが、【紅蓮大帝・鬼】は継続する。そのため常にMPを消費していくので、制限時間はある。
その間はMP回復が行えないというおまけ付きで。
「……いくぞ」
「「うん/ええ!」」
俺に二人が続いて、各担当に散った。
えっと、四月中には花見の番外編でもやろうかと思ってます。
あと、都合上四月になるまで本作品も他作品も更新出来ませんので。




