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Infinite Abilities Online   作者: 星長晶人
第一グランドクエスト編

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最終決戦、開始

「……」


 俺は無表情に目の前に広がるフィールドを見る。


 バハムートの襲来、そのグランドクエストの最終決戦場でもある果てしない草原。


 見渡しても、端は見えない程広い草原だ。


「……『戦乙女』、『ナイツ・オブ・マジック』、『一夫多妻ハーレム』、『狂戦騎士団』、『暗黒魔術師団』、『軍』、『双子のエルフ』。全トップギルドが集結とは」


 俺はそこで口端を吊り上げてニヤリと笑う。……『双子のエルフ』はトップギルドじゃないんだったな。


 たった二人のギルドなのに、数だけならトップギルドと張り合えるんだよな。


「……エアリアとアリア、アリシャ、メア、センゾー、リーファン、クイナ。ソロプレイヤーも勢揃いか」


 エアリアはもうソロを止めた。アリアとは一緒にいるし、他の忍者もいる。……付き合ってることは否定されたけどな。


「……これだけのプレイヤーが集まったか」


 俺は辺りを見渡す。そこには、前線にいるプレイヤーはもちろん、新人らしき人などの新しい勇姿のプレイヤーが集結していた。


「……いよいよか」


 遠くの空に小さな鋼色の影を見つけて呟く。


 バハムート襲来では、十五回の町を襲撃した後、最終決戦が行われる。会場はここ、果てしない草原だ。それが終わって初めて、グランドクエストクリアとなる。戦える全プレイヤーを呼んでの、総力戦だろうか。


「我ら『軍』は、バハムートを討伐し、攻略に大きく貢献する!」


「「「はっ!」」」


 マスターのメッシュという男が言って、IAO最大のギルドが唸りを上げた。


 規律があり、部隊があるお堅く厳しいギルド『軍』。構成員は三百人以上。『狂戦騎士団』と『暗黒魔術師団』が百人前後だから、かなりの人数だろう。


「「「――っ!」」」


 地響きが起こるような重々しい着地音。果てしない草原にいる全てのプレイヤーが一斉にそいつを見る。


 日光が反射して煌めく鋼色の身体に人が目程の大きさしかないくらいの巨大な有翼の二本足で立つ蜥蜴のような怪物。――バハムートである。


「『軍』よ! 前に出よ! 我らの力を見せつけろ!」


 メッシュが激励して、


「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


 雄叫びを上げて、『軍』の剣士部隊総勢五十人以上が突撃していく。


「グガアアアアァァァァァァ!」


 バハムートは一吠えすると、巨体を翻し、長い尾を横薙ぎに振るった。


「っ!」


 俺は舌打ちする。対バハムート戦で思ったことは、近寄ると全体が見えずに思いもよらぬ攻撃を受けることがある。


「「「がああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」


 剣士部隊の前線にいた半数がバハムートの尾によって、宙を舞い、HPバーが真っ白になり、消えていった。


「ひっ!」


 ギリギリで生き残った剣士部隊の残り半数は、恐怖で歩みを止めた。


「――」


 バハムートは息を吸うように口に光を収束させていく。


「ガアアアァァァァ!」


 そして、思い切り、直線上にブレスを放った。


「う、うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 恐怖で動けなかった『軍』の剣士部隊にブレスが襲いかかる。


「ふんっ!」


 しかし、それに割って入ったプレイヤーがいた。左手に大盾を構えた人物、『軍』のマスター、メッシュである。


「怯えるな! 我らはこの日まで努力を重ねてきた! 我らは勝つ!」


 バハムートのブレスを見事に一人で防いだメッシュは叫ぶ。


「「「はっ!」」」


 メッシュの活躍で『軍』は希望を取り戻す。


「グガアアアアァァァァァァ!!」


 しかし、バハムートが吠えると、プレイヤー達を囲むように、鋼の液体が四つ出現し、各々が異なる形を取る。


 鉄巨人、鉄獅子、鉄巨蝶、鉄九尾。


 全身が鋼色の甲冑の巨大な人型。大きな鋼のライオン。巨大な鋼の蝶。巨大な鋼の九尾の狐。


「厄介だな」


 囲まれている。


「ん?」


 俺はバハムートに近い方に、見知ったメンバーが集まっているのが見えた。ソロプレイヤーに、トップギルドの主力メンバーだろうか。


「おい!」


 俺は慌ててそこに行く。


「リューヤくんか。丁度いい。今周りの四体と戦うメンバーを決めてるところなんだ」


 ジュンヤが仕切ってるようだ。


「そのことなんだが、俺が引き受ける」


「えっ?」


 ジュンヤは俺が何を言ってるかわからない、という風な顔をする。


「だから、俺があの四体を引き受けるって言ってるんだよ」


「「「っ!?」」」


 その場にいる全員が驚いた。


「何を言ってるんだ! いくらリューヤくんでもそれは許可出来ない!」


 ジュンヤが怒鳴る。


「あっそ。……じゃあ、いくわ」


 俺はその場から離れる。


「どこにいく!」


 ジュンヤが呼び止めてくる。


「俺にはあんたらの命令を聞く理由がないんでな。許可なんか取らねえよ。俺達の邪魔すんなよ?」


 俺は振り返ってそう言い、


「フレイ」


 フレイを呼び出す。


「待つんだ! リューヤくん!」


 ジュンヤの制止を無視して、フレイに乗って飛び立つ。


「……こんな雑魚に構ってる暇ないだろ。トップギルドなんだからよ」


 まず、鉄巨人の前まで来た。


「クリスタ」


 クリスタを呼び出す。


「そいつを頼む。ピンチになったら助けてやるからな」


「コオ」


 頷いて、鉄巨人と対峙する。


 次は鉄獅子だな。


「アルティ」


「キュウッ!」


 元気よく俺の足元に現れた。


「アルティ、【グロウアップ】」


 アルティを大人にさせる。もちろん、地上で、だが。


「アルティ、あんな雑魚はすぐに倒してこい」


「グルルルル」


 唸って、鉄獅子と睨み合う。


 次は九尾にするか。


「リヴァア」


 リヴァアを呼び出す。


「お前なら大丈夫だ。頑張れよ」


「ガア」


 頷いて、九尾と向き合う。


「フレイ、お前はあの蝶を頼む。余裕で勝ってこい」


「ピイイ」


 フレイは俺を降ろすために一旦着地し、すぐに飛び立った。


「……さて。お前ら、開戦だ」


 俺の頼りになる仲間四体と、鋼で出来た偽物の怪物四体が戦い始めた。

バハムート襲来の最終決戦設定に関することを加えました。


今まで書いてなかったのはミスです。すみません。

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