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Infinite Abilities Online   作者: 星長晶人
第一グランドクエスト編

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バハムートの襲来⑦……の前

「ふあぁ」


 俺は決戦を前に大欠伸をした。最近の疲れだろうか。


「決戦前に欠伸とは余裕だな、リューヤよ」


 エアリアが民家の屋根の上から言う。


「おう?」


 おう、と普通に返事しようとして、疑問形になってしまった。


「……色男め」


 ボソッと、エアリアが聞こえるぐらいの大きさの声で呟く。


「……バレンタインの時に見ただろう」


 ああ、そういえば。エアリアにべったりのくの一さんだ。


「……あの時はよくも、俺の行き先を教えてくれたな」


「面白そうだったからな」


 ニヤッと笑って言う。


「……エアリア様。他の五人が到着しました」


 例のくの一さんがエアリアの横に片膝を着いて言った。


「……まだ計七人か」


 ザッ、と五人の忍者がエアリアの傍に現れた。


「……忍者軍団、参上ってか」


 やや苦笑する。男三人女二人。


「最近弟子入りしたいと言ってきた五人だ。……俺も少し顔が知られてるらしいな」


 エアリアは苦笑して言い、屋根を降りて俺の傍に来る。


「パーティー組んでるのか?」


「……アリアとは組まされているが、他はちょっとした指導程度だからな」


 アリアとは、エアリアに忠実なくの一さんの名前か。


「お久し振りです、リューヤさん」


 アリアも屋根から降りてきて、俺にあいさつする。


「ああ。あれからエアリアとはどうだ?」


 何か進展はあったのだろうか。


「……エアリアとアリアは付き合ってる……という噂」


 俺の隣にいたアリシャが言う。


「マジか」


 女が苦手だと言ってたエアリアと、付き合ってるという噂があるぐらいには一緒にいるアリアは凄いな。


「魔砲少女クイナ、参上!」


 ――という声が聞こえ、俺達の数メートル先に少女が現れた。


「……」


 茶色の短いツインテールに赤と白の巫女服を着ている。


「……バハムート、もうすぐ来るよな」


 色々とツッコみたいが無視してアリシャに話しかけた。


「……ユニークスキル『魔砲』を発見したソロプレイヤー、クイナ。早速有名なソロプレイヤーに会えた」


 ……アリシャは俺を無視してクイナに反応する。


「その通り! クイナは魔砲少女なのよ!」


 やけにハイテンションだ。


「……クイナ、久し振り」


 アリシャがあいさつする。……さっき会えたって言ってたけど?


「クイナちゃん、いきなり登場したら皆びっくりするよ?」


 クイナの後ろから、大人しい感じのフリフリした一見魔法少女のような格好をしている美少女が現れた。


「あっ。アリシャちゃんもいるね」


 どうやら、アリシャの知り合いらしい。


「……ん。リーファンも久し振り」


 アリシャは若干嬉しそうに言う。


「あー……。例の『魔砲』使いと『魔装』使いか」


 確か、南の森ん時にいたハズだ。


「初めまして。今は魔装少女という職業のリーファンです」


 リーファンはぺこりと小さくお辞儀する。


「クイナは魔砲少女よ!」


 えっへん、というように胸を張って言う。


「俺はリューヤ。一応『魔砲』も『魔装』も使えるが、役に立たないかもな」


 俺も適当に自己紹介しておく。


「スタートダッシュは良かったけど後からエリアボス倒さなくなって落ちぶれたソロプレイヤーね!」


 ……俺はそんなイメージかい。まあ、エリアボスはトップギルドが倒してるからあんまり活躍してないんだけど。


「失礼だよ、クイナちゃん」


 リーファンがクイナをなだめている。……いいコンビだな。


「まあ、いいけどな」


「……来るぞ」


 一通り自己紹介してから、エアリアが警戒するように言う。


「んじゃ、いっちょやりますか」


 ニヤリと笑って、俺は屋根に登る。


 バハムートの着地がよく見える。


「……」


 おっ?


 俺はまた人を発見する。周りに人はいないから、ソロプレイヤーだろう。


「おーい、お前も戦闘に参加するのか?」


 声をかけてみる。


「……瞑想終了にござるな。して、主は一体?」


 ござる語尾のヤツは初めて見た。


 黒く長いポニーテールに黒い瞳。和服というか、袴を着ている。右腰に日本刀を差していて、侍のようだ。


「俺はリューヤだ。よろしくな、センゾー」


 俺は頭上の名前を見て言う。


「うむ。リューヤ殿か。よろしくお頼み申す」


 綺麗に一礼する。


「……噂のソロプレイヤー」


「うおっ!?」


 アリシャがいつの間にか俺の隣にいた。


「ふむ。アリシャ殿か。武具の件は助かったでござる」


 またアリシャの知り合いらしい。


「……数少ない特殊職のプレイヤー。私が知ってるのは、センゾーの千術侍とシンヤの英雄と――」


 アリシャは別のとこを見る。俺もそれにつられると、視線の先に一人のプレイヤーがいた。


「メアの死神」


 死神。そう呼ばれたプレイヤーは黒いマントを羽織っていて、フードで顔さえ見えない。背に二メートルはありそうな漆黒の大鎌を背負っている。


「……あいつもソロプレイヤーなのか」


「……ん。多分、現ソロプレイヤーで最強」


 チラッと俺を見ながら言った。


「……最強、か。それで、死神ってのはどうやってなるんだ?」


 一応情報は知っておかないと。


「……鎌使いから鎌士。魔法使いから黒魔法使い。そして黒魔法鎌士を極めると、死神になる」


 カナはその一歩手前っぽいな。ってか、兄妹揃って鎌好きかよ。


「特殊職はリューヤみたいなオールラウンダーにはなれない。運と努力と実力が必要」


 ……いつになくアリシャが辛辣だ。


「……いつかは辿り着いて、最強の座を取り戻してやるさ」


 いつまでも運に頼ってないで、な。

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