……説明してあげる
サブタイトルは正直適当です。
次の次ぐらいで放ってある現実のことを書こうと思っていますので。
「……リューヤ」
「ん~?」
アリシャが珍しく自分から話しかけてきた。
「……見つけた」
「……?」
何を?
「ソロプレイヤー」
ソロプレイヤー?
「……リューヤ、ソロプレイヤーの知り合い何人?」
「さあな。エアリア、アリシャ、……あと『魔砲』と『魔装』使える二人、ぐらいか。あとは初心者プレイヤーかな」
ソロの方が死亡率は高いからギルド入ったり作ったりしてるヤツが多い。
「ソロなんて、その辺にいるだろ?」
少ないって言っても、希少種じゃないんだから。
「……ううん。ソロで戦ってる人は百人未満だと思う」
少なっ!
「……そんなに少ないのか。んで、その見つけたってのは?」
「……前線で戦える程強いソロプレイヤーのこと。二人も見つけた」
二人もか。ソロ百人未満で前線に出れるヤツなんて、半分にも満たないのにな。
「……一人は私が武器作ったから少し話は聞いたけど」
店やってると顔が広いな。
「……もう一人は知らない。私の所に来た覚えがないけど、裏ギルドの一つを壊滅させて、レア武器は持ってるハズ」
……アリシャはいつもどこで情報を仕入れてるんだろうか。まあ、客に聞けば自然と集まるが。
「相当強いんだな」
俺なんか、アルティ達の力借りて倒したってのに。
「……噂だと『一夫多妻』のメンバー、カナの兄だとか」
ああ、あの白い鎌持った娘か。
「そういや、カナとアリシャって似てるよな」
雰囲気とかが。
「……よく言われる」
「……妹だったり?」
「……はぁ」
何故か溜め息をつかれた。
「……ラーシアとアローネは高二。他のメンバーは高一。私は高二」
要するに、アリシャの方が年上だと。
「って、アリシャって俺と同い年?」
シンヤは年下だし。
「……ん。年下だと思った?」
「正直。意外だなぁ」
まあ、高一も高二も、成長期の男子ならともかく、女子はそう変わんないんだが。
「……でも」
ん?
「……リューヤが最初に言ってた“乗っ取り女王”に対抗出来そうな三人、覚えてる?」
「当たり前だろ?」
俺はそう言って一人ずつ名前を上げる。
「井剣可奈、亜桐谷天利、シャルロット・リディアリア・クイリスの三人だ」
「……その三人で私に似てるのは誰?」
う~ん?
「そりゃあ、天利だろうな」
あいつも無表情だし。前髪で左目隠してるけど。
「……ん。私の親戚」
「ふーん。――って、親戚!?」
流しかけてしまった。
「……ん。会ったことは高校に上がる前だけ」
……親戚にも会ってないのか。ってか、世間は意外と狭いんだなぁ。
元気にしてるかな、あの三人。俺が行って料理作ってやらないと全然飯食わないようなヤツらだからなぁ。結構心配だ。
「……まあ、別にそれだけ」
天利がお世話になってます的なことはないんだ。
「まあ、あいつはあいつで元気にやってたぞ?」
「……そう。それより、今日はアルティいないの?」
アリシャはアルティを気に入ってるらしく、俺が連れてくると抱っこしたがる。
「ああ。強くてもまだ子供だからな。昨日は良かったんだが、今日は無理だったみたいで、宿屋の女将さんとこで寝てるよ」
ずっと眠そうな顔してたから置いてきた。
「……女将って、アリーン?」
「ああ。確かそんな名前だったな」
女将さんって呼んでるから意識したことなかったな。
「……アリーンは元βテスター」
「何!?」
女将さんが?
「……ん。しかも、『ナイツ・オブ・マジック』の元メンバー」
「マジで!?」
姉ちゃんやジュンヤと同じ魔法と剣を両立するプレイヤーだったのか?
「……βテスト時はフィオナに並ぶ『ナイツ・オブ・マジック』のツートップ」
「……」
もう、頭がついてかない。いきなりそんなこと言われても、混乱するだけだ。
「女将さん、姉ちゃんと知り合いだったのか……」
年の差はあるのに。
「……勘違いしないで」
「何をだ?」
「……アリーンはフィオナと同じ年齢」
「!?」
「……現実でも友達で同じ高校だとか」
「はあ!?」
もう、口が開きっぱなしだ。
「さ、最後のどういうことだ? 姉ちゃんと仲のいい友達なら数人は会ったことはあるが……」
「……口調と性格が変わってるからわからないんだと思う」
……女将さん、知っててやってるんだろうなぁ。
「……アリシャって何でそんなに詳しいんだ?」
「……βテスターだから」
「あー……なるほど」
何か納得した。それなら、リィナと連絡取ってたのも頷ける。
「……私の時は驚きが少ない」
むぅ、とアリシャが不機嫌に唸っている。
「仕方ないだろ。アリシャがβテスターなのはだいたい予想してたし」
アリシャが不機嫌だと見てわかる時は、意外と本気で不機嫌な時だ。
「……私も今回は参加する。だから、早くいこ」
しかし、意外にあっさりと、俺の手を引いて店を出た。




