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Infinite Abilities Online   作者: 星長晶人
第一グランドクエスト編

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バハムートの襲来⑥:『暗黒魔術師団』

「……?」


 俺が次の決戦場、アラカン王国に着いて、しばらく歩く。


 広場のような開けた場所に着くと、奇妙な光景を目にした。


「魔法使い……?」


 黒いローブを来た集団が、広場を埋め尽くしていた。人数は『狂戦騎士団』と同じくらいだろうか?


 この流れだと、考えられるギルドは一つ。


「『暗黒魔術師団』、か」


 ボソッと小さく呟く。


「あら? あなたもグランドクエストに?」


「っ!?」


 後ろから声をかけられて、思わずビクッとなる。


「……そんなにビックリしなくてもいいんじゃない? 初対面でも傷付くわよ」


 声をかけてきた女は、少し眉を寄せて言う。結構な美人だ。


「……悪い」


 軽く頭を下げておく。


「冗談よ。それより、あなたの名前は……リューヤね。よろしく」


 くすりと笑って右手を差し出してくる。


「あ、ああ。ソロプレイヤーのリューヤだ。よろしくな、ツァーリ」


 ツァーリという、漆黒のローブを纏っていて、中の服装は見えないが、頭に趣味の悪いドクロの髪飾りをつけている。


「ええ。私は『暗黒魔術師団』のリーダーよ」


 そして、俺とツァーリは握手した。……気のせいかもしれないが、ツァーリの手は異様につめたかった。


「一つ聞いていいか?」


「何?」


「『暗黒魔術師団』は魔法使い系の職業だけなんだよな?」


「そうよ。それがどうかした?」


「全員遠距離じゃ、バランス悪くないか?」


 ベルセルク率いる『狂戦騎士団』もそうだが。


「……あなたも魔法使いが使えないって言いたいわけ?」


 ゾクッ。


 俺の背筋を嫌なものが上っていった。


「い、いや。そういうことじゃない。一般的に、近接と遠距離がいるのが一般的だろう?」


「……そういうことね」


 ツァーリは微かに微笑んで言う。


「……ふぅ」


 俺はツァーリにバレないよう、小さく息を吐いた。


「リューヤ、ベルセルクに会った?」


「会ったけど?」


 それがどうかしたのか?


「じゃあ、ベルセルクにも同じ質問をした?」


「ああ」


「何て言ってた?」


「えっと、確か『俺達は剣、近距離こそが最強だと思ってるからだ』。……だっけな」


「……そう。だったら私も同じことを言うわ。……私達は魔法、遠距離こそが最強だと思ってるからよ」


「……」


 そういや、仲悪いって姉ちゃんに聞いたな。裏ギルドを競い合うように狩るってのもリィナから聞いたし。


「……なるほどな」


 まあ、両ギルド共に半裏ギルドみたいだってのは姉ちゃんとリィナやアリシャ、女将さんからも聞いたが。


「団長! バハムートの着陸を確認しました!」


 一人がツァーリに伝令をしに来た。


「いよいよね。……リューヤ、私達の前では魔法しか使わないでくれる? 目障りだから」


「……あ、ああ」


 ツァーリはそれだけ言って、メンバーの方へ行ってしまった。


 ……目障りって、どんだけ嫌ってるんだよ。


「全員、最大威力の魔法撃って、撃退出来なければ弱い魔法を重ねて。……誰か私の補助に付いてくれる?」


 ツァーリがメンバーに指示を送る。


「……私がやります。あまり威力のある魔法は撃てないので」


 一人の少女が挙手して言った。


「MP回復しかいらないけど、私が魔法使ったら回復するように」


「はい」


 MP消費の多い魔法を使うんだろうか。


「私が魔法を撃ったらスタートよ」


「「「はい」」」


 メンバー全員が声を揃えて言った。


「【メテオレイン】」


 杖をかざして魔法を唱える。


「……?」


 特に何も起きない。


 ――と思ったその時。


 ドオォォン! という轟音と共に、バハムートに何かが直撃した。


「い、隕石?」


 俺が頭に浮かんだのはそれ。


 燃えている巨石がバハムートの顔面を弾いていた。


「……レインってことはまさか……!?」


 俺の考えた一つの可能性。


 ズガガガガガガガガガガガァァァァァァッッ!!


 ……俺の予想通りというか、さっきのヤツがいくつも降ってくる。


「……ははっ。魔法って何でもありかい」


 半笑いしながら弱々しくツッコむ。


「「「【メテオレイン】!!」」」


 何人かが同時に【メテオレイン】を唱える。


 確か、ギルドやパーティーで、二人以上で強力な魔法を撃てるシステムがあったな。それを利用してるんだろう。


「【オーシャンウェーブ】」


 ……さっき【メテオレイン】を放った数人はMPが切れたらしく、MP回復ポーションを飲んでいた。


 ……だというのに。


 ツァーリは杖をかざして魔法を唱える。ツァーリの背後、その少し上空に大波が発生し、バハムートをその大波が襲う。


「……あっ」


 俺は慌ててブレード・オブ・ロッドを取り出す。


「「「【エレキボルテックス】!」」」


 俺と、『暗黒魔術師団』の数人がハモり、


「「「【サンダーブラスト】!」」」


 さらに『暗黒魔術師団』の数人が同時に魔法を放つ。


 バハムートの頭上からのいくつもの雷が同時に放たれ、雷の雨となってバハムートに降り注ぐ。


 『暗黒魔術師団』のメンバー数人の杖から雷鳴がほとばしってバハムートへ向かう。


 海や川などの水辺にいるモンスターや、水系魔法で濡れたモンスターには、雷が威力を増す。


「……やっぱ、統率力あるなぁ」


 しみじみと呟く。『狂戦騎士団』もそうだが、ギルドの人数結構いんのに、まとまってるんだよな。


 今回の襲来は、数十分で終わった。魔法撃ちまくって終わり。……俺はほとんど活躍出来なくて、魔法を極めよう、と心に刻んだ。

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