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Infinite Abilities Online   作者: 星長晶人
第一グランドクエスト編

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バハムートの襲来⑤:『一夫多妻』との共闘

遅れました、すいません。

「くっ!」


「「「シンヤ!!」」」


 シンヤの左腕がバハムートのブレスによって消し飛ばされ、女子達がシンヤに気をとられる。


「――」


 再び、バハムートが仰け反ってブレスを放とうとする。


「ったく! 【紅蓮大帝】!」


 俺は毒づいてバハムートの正面に立ち、両手の大剣を打ちならして、炎を纏う。


「ガアアアアアァァァァァァ!!!」


 バハムートのブレスが襲いかかる。


「ぐっ!」


 ヤバッ!


 俺は前回防げて油断していたのか、ブレスで吹っ飛んだ。


「ガハッ!」


 民家に叩きつけられる。……何とか、シンヤ達には当たってないな。


「……ってか、五分の一まで減ってんだけど」


 次きたら死ぬなぁ――って、マジでブレスしようとしてやがる!?


「くそっ! マジで死ぬ……!」


 回復は間に合わねえし、ダメージ結構喰らったから、避けらんねえ……!


「っの!」


 こんなところで死んでたまるかっての!


「ぁ……」


 俺が動く前に、ブレスが放たれる。


「っ――!」


 やけに眩しい。ブレスが俺の方に向かってくるのが、よく見える。死が、迫ってくる――!


 ――が。


「【サンダーフレア】!」


「【フルスイング】!」


「【ホーリーノヴァ】!」


「ら、【雷猫】!」


「【咆哮】!」


 雷と炎が混じった複合魔法、巨大なハンマーの強力な一振り、聖なる光の巨大な波動、自身に纏う雷のネコ、音による振動の咆哮によって、ブレスが相殺された。


「……お前ら」


 俺は呆然とした。まさか、シンヤ一筋の女子達に助けられるとは思わなかった。


「……シンヤを守ってくれたお礼」


 俺を拒絶していたカナまで。


「……悪いな」


 俺は立ち上がってお礼を言う。


「……回復してあげるわ」


 イルネアが杖を構える。


「【ヒールピラー】」


 俺を中心に光の柱が出来て、HPを回復していく。


「悪いな。助けてもらって」


 お礼を言っておく。シンヤが少し気になって見るが、すでに再生していた。再生と言えるかどうかは怪しいが、時間が経てば傷は治る。HPを回復すればさらに早く治る。消失した部分は時間が経てば再構成されるからな。


「リューヤ、さすがにキツいか?」


「いーや。むしろ、お前らが頼もしくて、勝てそうな気がしてきた」


 俺はニヤリと笑う。……当の本人達は呆けていたが。


「ふっ。……バトルで笑ったのは初めてだな」


 どこか自嘲気味に呟く。


「シンヤは気負いすぎなんだよ。頼りになる仲間だっているし、俺も手伝ってやるから」


 シンヤの肩を軽く叩く。


「そうだな。一緒に戦おうって言って、結局一人で突っ走ってたな。ごめん」


 シンヤはメンバーに頭を下げる。……誠意があっていいヤツだな。


「……別にいい」


「守ってくれるのは嬉しいけど、無茶して心配なのよ?」


「ああ。わかった。危険な目に遭わせるのは気が引けるけど、頼るな」


 穏やかな微笑を浮かべて言った。


「……お取り込み中失礼します」


 だが、いい雰囲気の時に俺が声をかける。


「どうかしたのか?」


「……いや、バハムートがブレス撃とうとしてるんすけど」


「「「へっ?」」」


 七人が同じタイミングでバハムートを見る。


「ハッ! 邪魔すんなよ!」


 アローネが一歩前に出て、包帯をほどく。その腕には、肘まで黒い筋が入っていた。


「『呪詛』、発動!」


 『呪詛』というらしい黒い筋が黒く光る。


「【合気弾】!」


 右腕を大きく振るう。その拳の先から、特大の黒い光の弾が放たれる。


 カッ! とブレスとの衝突で光を撒き散らす。


「……?」


 どうなったんだ? 眩しく目がチカチカして、視界がはっきりしない。


「なっ……?」


 驚きに目を見開いた。アローネの放った光の弾が、バハムートのブレスを相殺していた。


 単純な力で言えば、俺より上だ。俺は相殺出来ないから、【紅蓮大帝】で防いでるんだが。


「STRとAGI極振り呪詛拳闘士。両腕にある呪詛は使い手の身体能力を極限に上昇させる」


 シンヤが説明してくれる。


「呪詛ってのは?」


 腕にあるあれだとは思うが、よくわからない。


「装備、だと考えていい。βテスター時にはあった、呪いの効果でな。あるボスの呪いを受けたんだ」


 装備、ね。まあ、呪われないとゲット出来ない職業っぽいな。


「強いんだな」


「ああ」


 シンヤは誇らしげに頷く。


「カナは白魔法鎌士だ。魔法戦士の鎌、白魔法版だと思えばいい」


 ……ここにはどんだけ職業があるんだろうか。


「レイアは俺達の装備管理をしている。ハンマースミスだったな」


 武具職人の派生職業だよな。アリシャに聞いたらそれだった。


「ラーシアは電火の巫女だ。右手で火系魔法、左手で雷系魔法を使う。『複合魔法』を使いこなす数少ない一人だ」


 『複合魔法』を使うのか。ブレスレットはアクセサリーもあるが、魔法武器としてもある。


 だいたい、『複合魔法』ってのは使い勝手が難しいんだよ。相手の弱点属性は的確に突けないし、規模が大きくMP消費が大きい。威力はあるけど、後半じゃなきゃ使えないなぁ、と思ってたんだが。


「イルネアは霊族魔法士だ。霊族系魔法を全部使えるぞ。初心者でも出来るクエストで、『精霊魔法』、『英霊魔法』、『聖霊魔法』、『怨霊魔法』、『幽霊魔法』の五つを手に入れるとなれる。俺達の回復もしてくれる」


 ほほう? それはいいことを聞いた。俺もゲットしよう。


「ラウネはビーストソウラーだ。今のように、テイムしたモンスターを纏える」


 ラウネは雷で出来たネコミミと尻尾があり、全身にオーラのように雷を纏っている。


「テイムしたモンスター?」


 ただ、雷で猫みたいになってるだけじゃ?


「ああ。テイム率は低いが、テイムしたモンスターは紋章となってラウネの身体に現れる。それを纏える、唯一の近接テイマーだ」


 なるほど。だから見た感じ刺青入り放題ってわけか。


「最後に俺だが、英雄だ。特殊職らしい」


 それは強そうだな。こうして、戦死者を出さずにバハムートを退けた。『一夫多妻ハーレム』のメンバーは一人一人が強く、確かにトップギルドといっても差し支えない。


 すっかりメンバーと仲良くなった俺は、一人一人とフレンド登録をして、次のフィールドに向かった。

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