バハムートの襲来④:『一夫多妻』
新キャラ続々登場です。名前だけ出てきたキャラや、全く新しいキャラがまだ出てきます。
「なあ、アリシャ」
俺は今日一回目の襲撃後、アリシャの店を訪れた。
「……何?」
「ベルセルクの武器、ズルくね?」
吸命刀とかいうあれ。
「……吸命刀。人やモンスターを殺せば殺す程少しずつ威力が上がる。……リューヤのツインフレア・オブ・チェンジエッジよりは、下のハズ」
そうだよ、それ。
「いや、俺が見る限り、普通の威力だったら、あっちの方が上だったぞ」
バハムートにはこっちのが効果あるから効いたけど。
「……ベルセルクは戦闘狂だから。最初は、物干し竿より威力はなかった。でも、ベルセルクが次々と狩ったらリューヤよりは強くなる」
……頑張ったんだな、ベルセルクのヤツも。
「今、あいつが最強なんじゃね?」
「……近接ではリューヤに勝てるかも。けど、魔法に弱いから」
ああ、なるほど。
「……リューヤ、早くしないと次の襲撃が始まる」
「ああ! 行ってくる」
アリシャに言って、俺は次の決戦場へと向かった。
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「ん?」
また人がいる。……知らないヤツらだったが。
「おーい」
「……近寄らないで」
……おいおい、いきなり拒絶されましたよ?
長い黒髪の美少女で、少しアリシャに似ている。無表情なせいだろう。漆黒のドレスを身に纏っていて、武器は何故か真っ白でイビツな鎌だった。頭上に示された名前はカナ。
「……い、いや、いきなりそれは酷いだろ?」
かなり傷つけられたが、何とか反論してみた。
「……シンヤ、怖い」
カナという美少女は、隣にいた美青年にピトッとくっついた。
金髪金目の美青年だ。髪は目にかかるかかからないかぐらいの長さで、顔はかなり整っていてイケメンだ。ヒューマンっぽい。背は俺と同じくらいか。くしくも、格好は俺の白いバージョンだった。頭上にある名前はシンヤ。
「ちょ、ちょっと! シンヤから離れなさいよ!」
もう一人の美少女がカナをシンヤから引き剥がす。
赤髪ツインテールに赤目の美少女で、つり上がった眉が勝ち気な感じをさせる。ミニスカートに半袖と、何かと活発的なイメージを受ける。背に背負った巨大なハンマーが少し怖い。見る限り、多分ドワーフだろう。頭上にある名前はレイア。
「……あの変な男が声かけてきた」
カナが口を少し尖らせて言う。……って、俺のせいかよ。
「カナ、失礼よ。……すみません、ウチのメンバーが失礼なことを」
美人が礼儀正しく頭を下げてくる。
黒髪ポニーテールに黒目の美人で、大人っぽい雰囲気を纏っている。背が高くスタイルもいい。右手に赤、左手に黄色のブレスレットを着けているので、それが武器、かもしれない。頭上にある名前はラーシア。
「いえ、別にいいんですけど」
かしこまられて、俺も敬語になってしまう。
「男を見たら怖がってシンヤにくっつくの、止めて欲しいんだけど?」
呆れたように言うのはもう一人の美少女。
長い金髪のストレートヘアに碧眼の美少女で、やや眉がつり上がっていて、性格がキツそうだ。エルフらしく、耳が尖っている。杖を腰に差してあるので、魔法使い系だろうか。頭上にある名前はイルネア。
「ハッ! とか言ってるイルネアも、シンヤにくっついてんじゃんかよ」
もう一人の美人が笑って言う。
青髪ショートカットに青目の美人で、背が俺並みに高く、軽そうな鎧を着ている。両腕に包帯を巻いているが、何の意味があるんだろうか。武器は見当たらないので、素手で戦うのかもしれない。頭上に示された名前はアローネ。
「あうぅ。仲良くしてくださいぃ……」
もう一人の美少女がオロオロしながら言った。
ウェーブのかかった茶髪に黄色い目をした美少女。背が低く、気弱な雰囲気で、可愛い系の美少女だが、首の左半面に黒い紋章があり、右手に黄色い紋章がある。武器は見当たらないが、素手で戦うんだろうか。名前はラウネ。
「とりあえず、あの人を無視して言い合うのはダメだと思うぞ?」
シンヤが俺を見て言う。
ああ、そうか。これが噂に聞く――
『一夫多妻』ってヤツか。
「悪いな、邪魔して」
一応謝っとく。
「いや、元々はこっちが悪いんだ。それより、君が噂のリューヤだろ?」
「ああ。お前が噂の『一夫多妻』のリーダーだろ?」
シンヤが真面目な顔をするのに対し、俺はニヤッと笑って言う。
「ああ。シンヤという。こっちが俺のギルドメンバー達だ」
らしいな。
「っと。お喋りはここまでみたいだぜ?」
ズズウゥ……ン、と重々しい音をたててバハムートが着地する。
「どうする? フォーメーションは」
シンヤがハーレムメンバーに聞く。
「この人数じゃ、本気でやるしかないわよ」
イルネアがそれに答えて、他も頷く。
「……そっか。じゃあ、いつもは俺の後ろにいてくれって言うけど、今日はこう言おう」
……やたらとカッコいいヤツだな。
「勝つために、一緒に戦おう」
「「「……」」」
笑顔で言う。……女子全員赤面してるよ。やるなぁ、イケメン君。
「なあ。せっかくだから、共闘しないか?」
「……? 何言ってるんだ? 元からそのつもりだよ」
さすが、心が広いね。
「サンキュ。……じゃあ、俺も足手まといにならないよう、頑張るとするか」
「……よろしく。リューヤは死ぬ気で戦わなくていいけど、俺は守りたい彼女達のために死ぬ気で戦う
」
……カッコいいな。
「ああ。俺も、出来る限りの全力で行くぜ!」
色違いの自分を見たようなシンヤと、そのメンバー達との共闘でバハムートに立ち向かった。




