バハムートの襲来②
「くっ! 【忍法・身代わりの術】!」
エアリアはバハムートの鋼色のブレスを、身代わりを使って、フレイと分かれて避ける。
「ピイイ!」
フレイは空中にいるエアリアをキャッチしつつ旋回する。
「助かった、フレイ。ありがとう」
「ピイ」
気にするな的な。
「【火遁・鳥蓮火の術】!」
フレイの上で印を組み、炎の鳥でバハムートを攻撃する。
「ピイイ!」
フレイも、口から金色の炎を放つ。確か、【イクスフレイム】だ。
「――聖なる氷の塔よ。我に害なす敵を討ち貫け。【アイスタワー】!」
「コオオォォォォォ!」
リィナとクリスタによる、ダブルアイスタワーがバハムートを貫く。
……恐ろしいコンビだ。
「【フレイムエッジ】」
リーフィアが短剣から炎の斬撃を放つ。リーフィアは短剣使いらしい。今回は、遠距離からの攻撃が主なので、ちょっと厳しい。
「【エア・アックス】!」
セリーが斧を降り下ろすと、バハムートの頭上に巨大な斧が出現し、降り下ろされる。
「【煉華】!」
ログイン初日には会わなかった、和服に武者鎧をつけた左目眼帯ポニーテールの、黒髪黒目の美少女。確か、千代って名前だ。つり上がった眉が印象的。多分ヒューマン。
名前は漢字にも出来るんだが、このファンタジー感溢れるInfinite Abilities Online には漢字は合わないからあんまり使われないんだけどな。
千代の武器は日本刀だ。近距離命って感じ。
バハムートに日本刀を一閃する。
「【シャインランス】!」
この娘もログイン初日には会わなかった。ウェーブのかかった金髪に、右目が碧、左目が蒼のオッドアイ。かなりスタイルがよく、背が高い。名前はカリニャ。エルフ。
カリニャの武器は、恐ろしいことに、巨大な弓だ。恐ろしいのは、その巨大な弓で放つモノが槍だということ。
バハムートに向けて、光り輝く槍を放つ。
「【シャドウキャノン】!」
アルティの前に黒い球が出来、バハムートを襲う。
「【烈火】」
ジャンプして、連続で双大剣を振るう。
俺と千代はクリスタに氷の足場を作ってもらって戦っている。エアリアの移動速度だと氷が追い付かないため、俺達二人が。
「グガアアアアァァァァァァァ!!!!」
そんな連携攻撃も、ほとんど喰らっていない。
「は?」
バハムートの身体が、鋼になった。
「――――!」
バハムートが大きく仰け反る。口の前に鋼色の球体を作り始めた。
「ちっ!」
舌打ちして、バハムートの正面に回る。
「お兄ちゃん!?」
リィナが声をかけてくるが、気にしない。
「ガアアアアアァァァァァ!!!」
バハムートが一直線に俺に向けて鋼色の光線を放ってくる。
「【紅蓮大帝】!」
両手の大剣を打ち鳴らす。
俺は身体に炎を纏い、背後に炎の魔神が出現する。
ズガアアアァァァァァァン!!
高威力高範囲の光線が俺を襲った。
「ぐっ!」
……何とか耐えたが、ちょっと厳しいな。半分も喰らった。
「皆! 援護してくれ! 片をつける!」
言って、駆け出す。
「もう! 【アイスブレード・ディスラクション】!」
リィナが俺の知らない魔法を放つ。バハムートの頭上に巨大な氷の剣がいくつも出現し、バハムートを突き刺す。
「サンキュ!」
リィナの一撃から、皆が手伝ってくれる。
俺はクリスタの作った氷の道を走って、バハムートの目の前にジャンプする。
「終わりだ。【マグマブレイズ】!」
鋼をも溶かすマグマを大剣に纏わせて、バハムートの頭を両手で攻撃した。
「グガアアアアァァァァァァァ!!」
バハムートは苦しそうな声を上げて、羽ばたく。
「うわっ!?」
突風で俺は宙を舞う。
何とか氷に着地し、バハムートが飛び立つ様を見る。
「このままいけば大丈夫そうだな」
ちゃんと倒せそうだ。
「お兄ちゃん、かなりキツいと思うよ」
リィナが声をかけてきた。
「何でだ?」
「お兄ちゃんみたいなソロはいいけど、ギルドだと、一回で結構資金使わないといけないから、後半は参加しないギルドが多いかもしれないし」
なるほどな。
――――バハムートは次の街、タリムタウンに向かいました。
っと。もうか。
「一日三回襲撃されたら、資金も身も持たないよ。お兄ちゃんは多分行くと思うから、ミュリアちゃんが回復してあげるけど」
それはありがたい。
「お姉ちゃんがいるハズだから、頑張ってね」
「オッケ」
回復してもらって、皆を降ろしてから、ゲートを使ってタリムタウンに向かった。
▼△▼△▼△▼△
「……もう始まってるのか」
バハムートと、『ナイツ・オブ・マジック』が戦っている。知ってる顔は姉ちゃんとジュンヤとナッシュぐらいだが。
「やっぱナッシュも『ナイツ・オブ・マジック』じゃん」
俺の予想、大当たりだな。
「んじゃ、俺も参加するか!」
勢いよく駆けて、第二回戦に挑んだ。
その後は、グラインド港で『双子のエルフ』、エフィとナーシャ率いるモンスター軍団と、バハムートが死闘を繰り広げていた。
「……疲れたな」
「キュウ……」
三回終わってベットに横になる。アルティもベットにぺたりと仰向けになる。
もう寝るか。かなりハードだしな。




