バハムートの襲来①
「リューヤ」
俺がアリシャの鍛冶屋の屋根の上にいると、エアリアがどこからともなく現れた。
「エアリアじゃん。女が苦手なのは治ったか?」
「……そう簡単に治ったら苦労しない」
治ってないのかよ。
「まあ、いいけどな。んで、あの空にいるヤツがそうか?」
「……多分な」
エアリアは目がいいからちゃんと見えるらしいな。
「この距離であの大きさなら、結構でかいんじゃないか?」
「悪いが、距離感が掴めない」
まあ、そりゃそうか。
「お兄ちゃん」
「おっ? リィナか。戻ってくるの早いな」
俺は屋根から飛び降りる。
「お久し振りです、リューヤさん」
『戦乙女』の面々もいる。
「よっ。ここには全戦力が集中するのか?」
「『戦乙女』と『ナイツ・オブ・マジック』は参加すると思うけど、どうなんだろうね」
自由主義だな。
「……リューヤ、かなり近付いたぞ」
エアリアが上から言う。
「へえ? ……って、俺、嫌な予感がするんだけど?」
「もしかして、あれ? ……おっきいね」
そんなレベルじゃねえだろ。
「あんなのと戦うとか……」
ヤバいんじゃね?
ズン!
バハムートが始まりの街に着地した。……怪獣映画かよ。
「おいおい。あんなんテイムしたらヤバいだろ」
バランス崩壊だ。
バハムートは、いわゆるドラゴンだ。ただし、超巨大な。鋼色の身体に、人と目が同じくらいのドラゴンみたいなヤツだろうか。
「……着地でちょっと街壊しちゃってるし、攻撃されたらちょっと厳しいかもね」
……。
「最初っから全力でいくっきゃねえな」
「えっ?」
「フレイ! リヴァア! クリスタ!」
俺の頼りになる仲間達が出てくる。
「クリスタは氷で足場作っとけ」
街が壊れる。
「お兄ちゃん? まさかとは思うけど、あれに一人で挑む気じゃないよね?」
「もちろん。来るんだったらリヴァアに乗せてやるぞ?」
リヴァアは浮いてるし。
「……一人で挑む気だったんだ。私も行くよ、お兄ちゃん」
呆れたように言って、同行してくれる。
「リヴァア、頼んだぞ」
俺と『戦乙女』の面々とエアリアはリヴァアに乗り、クリスタとフレイを連れてバハムートに接近する。
「リヴァアより結構でかいな。HPバーも結構長くてめんどそうだ」
何回かに分けてバトルするわけだよな、これじゃ。
「キュウッ!」
アルティがバハムートを指差す。
「乗りたいのか? 駄目だぞ、食べられるからな」
「キュウ」
アルティは首を振る。
「違うのか?」
アルティは俺の肩から降りる。
「キュキュッ!」
二本足で立って、ちっちゃい手でワンツーを放った。
「戦いたいのか? さすが大陸の覇者だな」
アルティを抱き上げる。
「でも、今回はちょっと休憩な」
「キュウ……」
アルティは落ち込んでしまった。
「後で存分に戦わせてやるから」
全く。可愛いのにバトル大好きとか、何か駄目だろ。
「さぁて、俺が初撃を一発かますか」
思いっきり。
「【ウエポンチェンジ・聖竜剣ホーリードラゴン】」
聖竜剣ホーリードラゴンを出現させる。
「リヴァア、バハムートの上まで行ってくれ」
「ボオォ」
軽く返事をして、リヴァアは高度を上げてバハムートの上まで行く。
「攻撃してこないな。俺達が先攻でいいってことか?」
余裕だな。
「頑張ってMVP狙ってね」
「おうよ」
リィナか軽く返事をして、聖竜剣ホーリードラゴンを構えてジャンプする。
「【聖竜閃光剣】!」
聖なる竜を形どるオーラが光速でバハムートの頭を攻撃した。
「キュウッ!」
アルティが嬉しそうに声を上げる。
「……全然減った気がしないな」
百分の一は言い過ぎかもしれないが、ちょっと白くなったかな? 程度だ。
「ガアアアアアァァァァァ!!!」
「っ!?」
俺が攻撃すると、バハムートは怒って咆哮した。
「っ~~~~!」
顔の近くにいたせいで耳が痛い。
「キュウッ!」
アルティがうるさい! 的な感じで言う。……咆哮効いてないのか。頼もしいな。
「フレイ!」
攻撃してから落下するだけで、バハムートがこっちを見ていた。攻撃されると厄介なのでフレイに乗って一旦離れる。
「……邪悪竜の何倍のHPがあんだよ」
今のアビリティだったら邪悪竜一撃らしいぞ。
「アイスニードル・ショット!」
リィナが手に持った杖の前に魔方陣を展開し、氷のトゲを何発も放った。
「ガアアアアアァァァァァ!!」
今度はバハムートが鋼色の炎を放つ。
「……」
リィナの放ったアイスニードル・ショットは相殺、いや、破られて炎がリヴァアの方に向かっていく。
「リヴァア! 【アクアシールド】!」
水の盾を出現させ、炎を防いだ。
……中級魔法じゃ歯が立たないのか。
「リューヤ!」
アリシャが珍しく大声を出した。
「どうした?」
フレイにリヴァアんとこに行くように言って、リヴァアに乗っているアリシャの近くに行く。
「バハムートを撤退させるには、HPの十五分の一を減らす必要がある。バハムートは固有属性の鋼属性を持ってるから、炎系の方が効く。あと、『滅竜剣』と『滅竜魔法』が効果的」
戦闘中にアドバイスをくれた。
「サンキュ。じゃあ、ウエポンチェンジ・ツインフレア・オブ・チェンジエッジ」
ただでさえ言いづらいのに、さらに言いづらくなったぞ。
「そろそろ、皆で協力するか」
クリア優先だ。
「こっちはこっちでいい? 私はいいけど、お兄ちゃんと協力するの、他の娘じゃ難しいし」
「ああ。それでいい」
「……俺は?」
エアリアが少し緊張気味に話しかけてくる。
「エアリアは俺と協力して戦おうぜ。この前は中途半端にやったからな。フレイ、エアリアを乗せてくれるか?」
「ピイ」
コクン、と頷く。
「じゃあ、始まりの街守るために、戦おうぜ!」
言って、本格的にバハムートとのバトルが始まった。




