機嫌直し
ファンタジー日間ランキングを見たら、十位以内に入っていてビックリしました。
読んでくださってる皆さん、ありがとうございますm(__)m
ゲームバランス崩壊な小説ですが、今後ともよろしくお願いします。
「……」
リィナはむすーっとしていて俺を見ようともしない。
「……」
姉ちゃんもむすーっとしていて俺を見ようともしない。
「……」
アリシャはいつもの無表情だが、どことなく怒っているようにも見える。……むすーっとしているのかぽけーっとしているのかわからないが。
「……」
なんとなく俺が原因なのはわかるので気まずくて喋れない俺。
……もういっそのこと逃げようか。
よしっ、一人ずつ機嫌を直していこう。
「アリシャ」
「……何?」
「フォレストドラゴンの素材で何か作れるか?」
「ん。素材出して」
よしっ。これでアリシャはいいだろう。高級素材を見せれば機嫌は直る。
「ん? 新しいスキルがあるな。……それより素材か」
アイテムウインドウからフォレストドラゴンとフォレストリザードの素材を出す。
「……ん。新素材ゲット。武器造る?」
嬉しそうに少し笑って言う。
「何か造れるのか?」
これ以上増えても極めきれないんだが。
「……ん。あとフォレストドラゴンの特殊素材もある」
スキル付き装備が造れるな。
「森竜の耳飾りと森竜槍フォレストリザードラ」
槍と耳飾りか。ない装備で丁度いいよな。
「じゃあ、頼む」
俺はアリシャに言う。お代は耳飾りの方はいらないらしいんでいいか。
「……お代はいい。武器は余った素材の売値で大丈夫」
ならいいか。
「【一括生成】」
二つ同時に生成した。
「ん、はい」
出来たのを渡してくれる。
「サンキュ」
アリシャに礼を言って、早速装備する。
「……なあ、姉ちゃん」
俺は少し躊躇って姉ちゃんに話しかける。
「……何?」
アリシャと同じような反応をする。
「『滅竜魔法』って何だ?」
「確か、ドラゴン系モンスターを一人で倒すと手に入るスキルよ。対ドラゴン、龍の効果を持つ魔法、技を放つの」
なるほど。なかなか強いな。
「じゃあ、『滅竜剣』ってのは?」
「『滅竜魔法』の剣バージョンね。詳しく言えば少し違う所があるけど」
ふーん。じゃあ、出現条件は同じか。
「教えてくれてサンキュ」
姉ちゃんに礼を言う。
「……リィナ」
「何?」
すぐに反応した。
「新システムの道場って何だ?」
「βテストの時もなかったから詳しくはわかんないけど、自分だけの剣術を見つけた人が行く場所だって」
?
「どういうことだ?」
「つまり、自分だけの剣術スキルを作れる、のかな? 自分である程度一から十個程度の型を決めて、道場で正式な剣術にするんだって。師範になって自分の剣術を誰かに教えることも出来るみたい」
本当の道場と同じようなもんか。
「命名も自分で出来るのか?」
「そうみたい。なんとか流剣術とか、なんとか剣でもいいけど、自分の出来る範囲の型じゃないと剣術が成立しないから気を付けないと駄目みたいだし」
だったら高レベルで作った方がいいな。
「もうちょいレベル上げてから試してみるかな」
「あと、NPCの道場に行くと『居合い剣術』が手に入るよ」
マジか?
「んじゃ、早速行くか。スキルは出来るだけ集めたい」
「そっか、またね、お兄ちゃん」
「じゃあね、リューヤ」
「いってらっしゃい」
「ああ、んじゃな」
俺は三人に見送られて道場へと向かった。
▼△▼△▼△▼△
「ここか?」
俺は人に場所を聞いてやっと辿り着いた建物を見る。
巨大な木造建築で、入り口の看板には筆で書かれたような道場の二文字。……間違いないな、ここだ。
「失礼します」
道場なのでちょっと大声で入る。
「おう、こりゃまた若い兄ちゃんだな」
道場には一人のおっさんしかいなかった。
「門下生、いないんですか?」
「いる。だが、今は試練に出掛けている」
NPCなのか、このおっさんは。試練ってのはクエストのことだろうか?
「道場で修行したくて来たんですが」
「……むむっ? 兄ちゃん、業物を持っているな?」
なかなか進まない。が、何でわかるんだ?
「はい、これです」
月凪を取り出す。
「おぉっ! これはまさしく業物! いい刀を持っているな、兄ちゃん。……ここの道場では刀を持っていることが第一条件となる」
だから刀を見た訳か。
「……『居合い剣術』において、兄ちゃんのような運の強さを持つ男には丁度いい。よしっ。居合いの極意、教えてやろう!」
おっさんはやる気満々になった。
よくわからんが、良かった。
こうして、俺は道場の師範に稽古をつけてもらった。
――――リューヤは『居合い剣術』を覚えた!
「さて、帰るか」
アルティは女将さんに預けたまんまだし。
「……まあ、マスコットだから宿がどうなってるかは知らんが」
アルティ、人気だからなぁ。
今頃大繁盛してるんじゃないかと思いながら宿屋に向かった。
▼△▼△▼△
「ただいまー」
宿のドアを開けて入る。
「キュウッ!」
「おかえりなさい」
女将さんとアルティが迎えてくれた。
「いい子にしてたか? アルティ?」
女将さんのいるカウンターにちょこんと座っているアルティの頭を撫でる。
「キュ~」
アルティは気持ち良さそうに目を細める。
「アルティがここにいることを掲示板で書き込んだら、凄いお客さんが来てね。アルティはずっと接客を手伝ってくれたんだよ」
アルティ、いい子にしてたんだな。
「頑張ったんだな。アルティ、明日は一緒にいてやるからな」
アルティを仰向けにして腹を撫でてやる。
「お疲れさま」
「キュウ~」
ちっちゃい手で俺の手を握って気持ち良さそうにする。……可愛いな、やっぱ。
「今日はもう寝ような」
アルティを抱っこして部屋に向かい、今日はもう寝た。
明日は番外編です。
バレンタインのことでも書こうかなぁ、と思っていますのでよろしくお願いします。




