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よしっ。これにしよう。
スキルには四種類ある。
1つは職業スキル。その職業特有のスキルで、剣士と言う職業の場合は、『剣士の心得』っていうのがこれだ。
主にステータス補正がある。これはさすがに引き継げないんだが、上の職に就くごとに補正数値は上がってくからいいだろう。
そしてアクティブスキル。スキルスロットにセットすることで効果を発揮する。『剣術』や『槍術』など、様々なスキルがある。スキルレベルがあり、上がると【スラッシュ】などのアビリティが覚えられる。スキルスロットは6つまであるが、あることをすると増えるらしい。詳しいことは姉ちゃんと利奈でも解らないようだ。
次にパッシブスキル。アクティブスキルと違ってスキルスロットにセットしなくていい。自動で発動する。【カウンター】が分かりやすいと思う。相手に攻撃された時に自動で反撃すると言う効果。自動なのでちょっと戸惑うらしい。他にもステータスアップもあり、様々だ。
最後にユニークスキル。これは他のスキルとは違って楽にゲット出来ない。入手条件が明らかになっていない。何かを極めたり、特殊な行動を取ったりすれば、たまに入手出来る。要するに、運が良ければ取れると言う訳だ。
俺が選んだスキルはこの3つ。
『片手剣術』。片手剣で戦うには必須だ。
『黒魔法』。魔法のスキルだが、雷系統、炎系統、氷系統が使える。レベルを上げると他の系統も使えるようになる。
『索敵』。半径10メートル内の敵を察知する。初心者には必須らしい。
これで序盤はいけるだろ。近距離と遠距離で戦える。
――――ステータスポイントを割り振って下さい。
ホログラムウインドウが出現する。
そこに表示されていたのはこうだ。
職業:魔法戦士 Lv1
種族:ヒューマン
種族特性:なし
level:1
HP 70/70
MP 50/50
STR 13
DEF 12
AGI 12
DEX 11
INT 13
MDF 11
VIT 12
LUC 12
振り分けポイント残数:10
装備 防具
頭:なし
腕:なし
胴:黒いシャツ
腰:黒いズボン
脚:皮の靴
左手武器:鉄の片手剣
右手武器:木の杖
スキルスロット1:片手剣術 Lv1
スキルスロット2:黒魔法 Lv1
スキルスロット3:索敵 Lv1
以降、スキルスロットは6まで開いてるので割愛。
ステータスポイントは、武器が持てなかったり、弱すぎて敵が全然倒せなかったりするといけないのでSTRに5ぐらい割り振る。
後はAGIに3、INTに2割り振った。
――――あなたの名前を教えて下さい。
俺の前に半透明なキーボードが出現する。
俺はリューヤと打ち込む。
――――最後に、あなたの姿を設定して下さい。
一枚のホログラムウインドウが出現し、俺の姿がいじれるようになった。
特にいじるつもりは無いので、髪をほとんど目にかかるくらいに伸ばし、髪の色を白にしておいた。
――――これでよろしいですか?
「ん?」
俺の姿が変わっていた。さっき見た装備通りに。
またyes/noのウインドウが出たので、yesをタッチする。
――――ようこそ、Infinite Abilities Onlineの世界へ。
そんな声が聞こえ、俺の意識はさらに入っていった。
「……」
ログインして俺は呆然とIAO内の喧騒を聞いていた。
「初心者のヤツいるか? 良かったら連れてってやるぞ」
「誰かパーティー組みませんかー?」
そんな声が飛び交う。……姉ちゃんか利奈でも探すか。俺はあまり姿を変えてないから向こうは分かるだろ。
ってか、もう始まってるらしいな。街を出ているヤツもちらほらいる。
さて。βテスターって有名なのか聞いてみるか。
「なあ、ちょっといいか?」
俺は俺より少し年上くらいの兄ちゃんに声をかける。
「ん? 何か用か?」
「ああ。ちょっとな。βテスターがどいつとかって分かるか?」
「んまあ、見れば分かるだろ。ほれ。あいつとかな」
兄ちゃんは鎧を着た剣士を指差す。
「何で分かるんだ?」
「ん? お前、かなりの初心者だな。あいつよ、お前とか俺の装備と比べてかなり整ってるだろ?」
兄ちゃんに言われてそいつを見る。確かに、鎧着てるしな。俺も兄ちゃんも軽い服だ。
「じゃあ、βテスターを探すには装備がそこそこ整ってるヤツを探せばいい訳だな」
「ああ」
「ありがとう。助かった」
「おう。これくらいならまた聞きに来いよ」
俺は兄ちゃんに礼を言って装備が他と違う人を探す。
「おっ?」
前方に、周りよりも装備の整った集団がいた。その中には少し見知った顔がある。
「利奈、か……?」
やや自信なく言う。
「お兄ちゃん?」
その声は利奈のモノだった。
「リィナ、誰? その人」
利奈の隣にいるホビットの少女が言う。
利奈は顔は現実のままで、金髪に金の瞳、セミロングのエルフだった。装備が整ってるのか、初期とは違ってややファンタジックな印象で、胸元が開いている。
「あ、うん。現実でのお兄ちゃんで、私の一つ年上なの」
「俺はリューヤって言う。利奈……今はリィナか。そっちは?」
俺はリィナの頭上にある名前とHPバーとMPバーの内、名前を見て言う。
「えっとね。βテストからのギルメンで、現実でもクラスメイトの『戦乙女』の仲間なの」
リィナとは付き合いが多いらしい。
「それはそれは。いつも妹がお世話になっています」
「「「いえいえ」」」
「お兄ちゃん! もう、皆まで」
リィナが怒ってしまった。別に変なことした訳じゃないだろ? 挨拶だ、挨拶。
「こっちがホビットで『戦乙女』の前衛で活躍する、リーフィアちゃん」
「よろしくお願いします」
「ドワーフで『戦乙女』の前衛、守備で活躍して、チームで唯一の生産職の、セリーちゃん」
「は、はい。よろしくお願いします」
「私と同じエルフで『戦乙女』の後衛、回復役のミュリアちゃん」
「よろしくですぅ」
「そして、エルフで『戦乙女』の後衛、チーム1の火力を誇るリィナだよ」
全員でメンバー四人の『戦乙女』の紹介が終わった。
「後は近接担当と遠距離担当の二人がいるの」
六人パーティーらしい。こうして、リィナと再会した。