ボルケーノタートルとの決着
「【乱れ撃ち】」
適当にトリガーを引く。どこかに当たればいい。
「【覇者の咆哮】!」
「ウオオオオオォォォォォォン!!」
アルティからすれば咆哮なんだろうが、俺は対象じゃないのにかなり恐怖を喰らった。
「オ、オ、オォ……」
あのボルケーノタートルがガタガタと震えていた。
「今だ! 【一斉攻撃】! 【チャージショット】!」
【一斉攻撃】は仲間の似たアビリティを一斉に放つ。アイス、フレイム、ウォーター、シャドウのレーザーが四方からボルケーノタートルを襲う。
T・Gが光を溜め、放つ。三つの弾丸は回転してボルケーノタートルに向かう。
「【忍法・大津波】!」
エアリアが印を結んでどこからか大津波を起こす。
「オオオオオオオオオォォォォォォ!!!」
かなりのダメージになったようで、苦しそうな声を上げる。
あと半分か。
「一気に畳み掛けろ!」
今がチャンスだ!
「コオオオオォォォォ!!」
クリスタが積極的に攻撃する。やっぱ、同じ世界四大亀だから、自分が頑張ろうとしてるんだろうか。
「オオオオオオオオオォォォォォォ!!!」
ボルケーノタートルが吠える。甲羅の火山が煙を上げ、今にも噴火しそうだ。
――――ヘルボルケーノ!
ん? 今、こいつの声が聞こえたみたいな?
「って、ヤバい!」
「コオオオオォォォォ!」
クリスタが噴火したボルケーノタートルに【ヘルブリザード】を放つ。
――が、全て溶かされて、ヘルボルケーノとやらはクリスタに直撃した。
「コオオォォ!!」
クリスタは悲鳴を上げる。
「クリスタ!」
くそっ!
――――この程度か。弱くなったな、キャニオンタートル。
へ?
――――くそっ。フィールドの差がこんなに出るとは……!
……クリスタ?
――――違う。そんな下等モンスターなんかを連れてるからだ。
おいおい。急展開すぎて訳分からん。
――――違う! リヴァアもアルティも同格のモンスターだ! 仲間をバカにするな!
おぉ、いいヤツだな、クリスタ。
――――人間と鳥は違うだろう?
――――……。
否定しろよ!
――――足手まといはいない方がいい。
――――っ! 何をするつもりだ!?
――――ボルケーノフレイム。
――――くっ。
ボルケーノタートルが噴火口から炎を放ってくる。
「フレイ」
「ピイ」
フレイが炎で身体を守って盾になる。
「人が黙って聞いてりゃ、足手まといだ何だと好き勝手言いやがって」
「ピイイ!」
――――主?
「お前なんかよりクリスタの方が何倍も強いに決まってんだろ!」
ビシッ、とボルケーノタートルを指差して言う。
「っと」
アルティの背中から下りて、クリスタとボルケーノタートルの間に入る。
――――主、何を?
「決まってんだろ。クリスタの喰らった分のお返しだ」
「ピイイ!」
フレイが同意して俺の肩に止まる。
――――ほう?
「俺とフレイが足手まといじゃねえってことを教えてやるぜ」
――――いいだろう。かかってこい。
「余裕だな。クリスタ、リヴァア、アルティ、エアリア。下がっててくれ。こいつとは俺らでやる」
他のヤツを下がらせる。エアリアは聞こえてないみたいだから論外。
――――主! 危険だ!
「何言ってんだよ、クリスタ。余裕だろ、こんなヤツ」
ニィ、と笑って言う。
――――さらばだ、下等生物。ヘルボルケーノ!
「残念だが、効かねえよ」
「ピイイイイ!」
フレイが間に入り、フレイを中心にして火柱が上がる。
「フレイ」
フレイに向けてトリガーを引く。
「ピイ」
フレイの持つ脅威の眼力で銃弾に掴まり、そのまま突進した。
「……さすがフレイ」
恐ろしいヤツだ。その気になれば、攻撃全部避けられるんじゃねえの?
「【ワンショット】」
一回だけトリガーを引く。狙い済ました一撃だ。
――――ぐあっ!
ボルケーノタートルの眼に当たった。
「おおおおおぉぉぉぉ!」
俺は懐まで突っ込む。
「【連撃】、【連華】!」
手足で攻撃しながら、剣を連続して放ち、タイミングを見計らってトリガーを引く。
――――ぐあっ! くっ!
ボルケーノタートルのHPが三分の一を切った。
「おおおおおぉぉぉぉ!!」
俺は攻撃の手を休めない。
「【ペンタゴンフレーム】」
銃弾が当たった場所が五角形になれば発動出来る。
「それは的だ」
銃弾はあらゆる障害物を避けて的に当たる。
――――ぐあああああ!!
ボルケーノタートルが悲鳴を上げる。
「……クリスタ。最後はお前が決めろ」
――――えっ?
「同じ世界四大亀なんだ。最後ぐらいお前にやるよ」
――――ありがとう、主。
――――いい仲間を持ったな、キャニオンタートル。
――――当たり前だ。キャニオンタートルの選ぶ主が弱かったら目が腐ってるんだよ。
……選ばれて良かったよ、ホント。
――――そうだな。最後に、お前に俺の力をやるよ。
――――えっ?
――――お前は俺より強い。それだけで、充分だ。
――――これは……。
――――俺の心臓だ。食って、亀の中でお前が最強だと証明してみせろ。
――――ありがとう、ボルケーノタートル。
――――おう。頑張れよ、キャニオンタートル。
そう言って、ボルケーノタートルは消えていった。
「……。クリスタ」
何て言って励ましてやろうか。結局はいいヤツだったしな。
バクッ。
残った心臓を食った。
「はは……」
泣いてるな、多分。
「コオオオオォォォォ!!」
ボウッ。クリスタが炎を纏った。
「おいおい。やっぱお前は強いな、クリスタ」
二属性を持つモンスターなんて初めてみた。
「キュウッ!」
アルティが子供に戻って俺の肩に乗った。
「お前には俺達がついてるからな。それを忘れんなよ」
それだけ言って、クリスタの炎が消えてからモンスターBOXに戻す。
「エアリア、いいアイテムは出たか?」
「ああ。やはり、リューヤを呼んで正解だったな。ありがとう」
「いいって。クリスタも強くなったしな。とりあえず、戻るか」
俺は言って、アーメリア王国に戻っていった。




